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特許登録時の成功謝金(成功報酬)の意味

特許出願して、拒絶理由に対応して登録になった場合、あるいは、拒絶理由通知が出ずいきなり登録査定が出た場合、多くの事務所では、登録謝金(成功謝金)を取っています。

典型的には、10万円+1万円×(請求項数ー1)が標準料金みたいなものです。

上述のように、特許出願をして、審査請求した場合、ほとんどのケースでは拒絶理由が来ます。ところが、拒絶理由通知が一切来ずにいきなり特許査定が来る場合もあります。

その際も成功謝金を特許事務所は請求してくるのですが、請求項数が20位だと、1請求項あたり1万円が相場なので30万円位の成功謝金を請求されたことがあります。私がまだ大学のTLOに勤務していた頃の話です(2008~2010位まで)。

で、拒絶理由が来ずに何の苦労もなく特許になったんだから、成功謝金を取るのはおかしいではないか?と、それについて特許事務所の弁理士に文句を言ったところ、ある程度の値引きに成功しました。それに味をしめて、その次の拒絶理由に応答した際にも成功謝金を値引いてくれ、と言いましたが、2回目は1回目に比べてかなり値引きの額は少なくなりました。

この点について、弁理士によく話を聞いてみると、成功謝金は出願費用の後払い的な意味があり、特許出願後、拒絶理由対応等がなく、何もしなくても支払ってもらう根拠はある、と言われました。そしてそれ以降の成功謝金の値引き額は少なくなりました。

つまり、特許登録時の成功謝金というのは、特許出願費用の後払い的な位置づけなので、本来は最初にもらうものを後からもらっているだけとも言える、という理屈のようです。

確かに、日本の明細書作成料は米国等に比べて非常に安いです。米国では日本の弁理士にあたるパテント・エージェント(patent agent)が書く場合でも最低でも60万円以上、特許弁護士が書く場合は、1出願300万円の手数料(明細書作成料)も普通です。

1出願300万円というのは特許弁護士が約1週間かけて明細書を作るわけですが、特許弁護士の時給は最低でも約300ドルですから、1日10時間働けば3000ドル、つまり30万円程度。1週間なら210万円になります。さらに1週間で出願なら特急料金でやっているのでさらに上乗せされて、300万円になる計算のようです。ニューヨークでは時給7万円の特許弁護士も何人もいますから、そういう人に頼むと、1日10時間で70万円、5日だと350万円になる計算です。それに比べて日本では1出願20~40万円程度が標準的な相場と思われますから、米国の10分の1程度の料金とも言えます。

米国では、市場が日本の数倍あるのと、3倍賠償制度があるので、日本よりも特許の価値は高いと言えます。例えば、医薬品では日本の4倍の市場があり、3倍賠償と合わせると、12倍の特許の価値があるので、明細書作成料が10倍でもおかしくない、といえるかも知れません。また、米国では、ベンチャーファンドも日本とは比べものにならない位投資しますから、投資額の点でも特許の価値は1桁高いのかも知れません。

いずれにしても、成功報酬は、拒絶理由に対応して特許にしてそれが成功したことに対してのみ成功報酬をもらう、という理屈ではなく、出願時に未払いの料金(残金)を成功謝金でもらう、ということなので、拒絶理由が来ようが来まいが、成功謝金はもらう、ということのようです。それにしたって、成功報酬を30万円としても、最初の出願料金と合わせて60万円で、米国のパテント・エージェントの最低額になるだけです。

確かに成功謝金なしで特許出願を20万円程度でやると経営的に非常に厳しくなります。弁護士が着手金だけではやっていけないのと同じようなものかも知れません。また、成功報酬は、他の出願手数料、拒絶理由応答費用等のバランスも総合的に考えて決定すべきと思われます。

また、あまりに安くすると所員の給料を下げざるを得ず、それをすると所員のモチベーションが下がり、いい仕事をしなくなるおそれもあります。所員が最低限ではなく、ある程度まともな生活ができるだけの給料を払うべき、と考えています。

つまり、クライアント様が大切なのはもちろんですが、同様に所員の生活も大切です。所員が貧乏で苦しんでいて、事務所の給料だけではまともな生活ができないようでは、クライアント様に十分なサービスを提供できるとは思えません。

当所は、クライアント様、所員、社会の全てにとって良い事務所でありたいと考えています。

安値競争をして、成功謝金を一切取らないようにするやり方もあり得ますが、そういう事務所は所員を非常に安い給料でこきつかっている可能性があります。そうすると、そういう事務所には所員が長くいつかず、辞めてしまうため、明細書の質が担保されるとは限りません。

安値競争をしても、その業界が縮小(シュリンク)して、いい人材が入って来なくなり、最後はみんな潰れてしまう、というのでは、優秀な人材を確保できません。

実際、弁護士業界では、優秀な人材は司法試験に参入しなくなってきているようです。

そういう意味でも適正な水準の価格でサービスする方がお互いのためになると考えています。

成功謝金が出願手数料の後払い、という意味では、特許出願をして途中で代理人弁理士を変更しようとすると、元の弁理士が成功謝金を払ってくれ、という場合もあるようです。これも出願時の費用は全部ではなく、成功謝金も含めての料金体系になっているからでしょう。

このため、代理人を解任する際には、登録成功謝金を支払わなければならない特許事務所もあります。それ無しでは特許事務所としても経営が成り立たないからではないかと思われます。

以前、商標登録査定が来たにもかかわらず、商標登録費用が別途必要であることを知らず、それを払えなくて結局登録しなかったという話を書きましたが、さすがにその程度の知識は常識ではないかと思います。登録時に登録費用がかかるのは行政手続きでは当たり前ですから。

とはいえ、弁理士も受任の際に、どれだけかかるか料金表を渡す必要はあると思います。その料金体系を見て到底払えない、と諦める人もいるでしょうが、そういう人は最初から止めておいた方がトラブルにならなくて済むのでいいと思います。

今後は新規に受任する度に料金表を提示してその料金でよいか確認するのがよいと思っています。

大平国際特許事務所では、高品質な明細書をリーズナブルな料金で提供しています。当所からの出願をご希望の方は以下からお気軽にご相談下さい。

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弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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