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植物品種登録と特許出願

バイオ・テクノロジーが得意な弁理士
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植物の新品種を育種した場合、農林水産省の植物新品種登録をすれば種苗法により権利が保護されます。植物にもよりますが、20年~30年位保護されたはずです。

以前は品種登録か、特許登録のいずれかしか認められなかったのですが、1990年前半頃に両方の登録を禁止しない条約upov条約が批准され、両方に登録して重複保護できるようになりました。

品種登録出願は植物毎に特性表に特徴を記載して出願し、登録要件を満たせば登録されます。

特許出願については、それまでにない植物であれば新規性はあります。そして、誰でも容易に考え付くものでなければ(進歩性があれば)特許登録されます。

品種登録と特許の違いですが、品種登録は請求の範囲のようなものがなく、特性表の記載に基づいて同一かどうかを判断します。

したがって、かなり項目数が多く、権利範囲としては狭いです。ですから少し違えば異なる品種とされます。例えば、色が違うだけで新品種になりえます。

特許の場合は、特許請求の範囲は技術的思想なので、一定の広がりのある概念となります。例えば、小輪形ペチュニアというものがなければ、花が小さいペチュニア、という概念が特許になりますからかなり広く保護できます。

しかし、こうした広い特許はむしろ少なく、特許出願する場合、種子や植物を寄託してその寄託番号で特定して、その系統及び子孫と言う形で請求項を記載することも多いです。

この場合は、その寄託した種子や植物由来でなく、独自に開発した新品種であれば特許権は及びません。例えば、独自に突然変異処理をして新品種を開発したような場合です。

そういう意味では寄託番号の植物とその子孫という形の請求項を書いた場合は、正にその植物を使って交配して子孫を作った場合が侵害となるので、ある意味本当の侵害者のみを排除できるとも言えます。

ただ、市販品種の突然変異株のような場合は、寄託番号で特定しておいても、他の圃場で偶然同じ変異が出現する可能性はあるので、そういう場合は、権利として少し弱いです。その場合は、自社の品種を確実に識別できるよう、特殊な遺伝マーカーを入れておくのもよいでしょう。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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