ポスト・ドクトラル・フェロー(博士研究員)から特許弁理士へ
博士を増員した結果、アカデミック・ポジションはあまり増えていないのに、ポスト・ドクトラル・フェロー(博士研究員)が1万5千人にも増え、博士が定職に就けないことが社会問題になっている。
そうした博士の中には、35歳を過ぎても永久職が見つからず、ポスト・ドクを続ける人もいる。そういう人は40歳を過ぎるとポスト・ドクの就職先も無くなって、研究を続けるためには、アルバイトの技官のような形で研究室に残る場合もある。
そういうポスト・ドクの場合、定職が決まるまで結婚をしない人も多く、40歳を過ぎて独身というケースもある。
大学院大学等ではそういうケースがかなり多く、そうした実態を見ているポスト・ドクの中には、早めに自分の研究能力に見切りをつけて、特許事務所に転職する人もいる。
それはそれで本人の考え方だから別に何の問題もない。
博士研究員として培った研究能力を特許出願の明細書に使えば高度な明細書が書けるというメリットもある。
中には、アメリカに留学し、日本に帰ってから弁理士を取る人や、大学の助教(昔の助手)になってから弁理士になる人もいたりする。
あるいは、現役の大学教授が弁理士試験に合格したり、会社の取締役で弁理士試験に合格するなど、弁理士業界も人材が多様になって来ている。
そのような多様な人材が切磋琢磨して弁理士業界全体のレベルが上がることが日本の特許業界にとっても将来につながると私は考えている。