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バイオ・ベンチャー・セラノス創業者エリザベス・ホームズに有罪評決

女スティーブジョブズと言われ、90億ドル(約1兆円)の資金を獲得した米国バイオベンチャー、セラノスの創業者、エリザベス・ホームズが詐欺罪で有罪評決を受けました。カリフォルニア州サンノゼの裁判所での陪審評決で、判事による判決はまだ出ていませんが。

特許などの専門的で高度な判断が必要な場合は、陪審の評決ではなく、判事の判決で決まる場合も多いようです。

しかしながら、エリザベス・ホームズは最大20年の禁固刑になる可能性もあるそうです。

セラノスは血液一滴で様々な疾病検査ができる、との触れ込みでヘンリー・キッシンジャー元国務長官や、メディア界の大物ルパート・マードック氏、ジェイムズ・マティス元国防長官ら多数の有力者をだまし、多額の資金を集めていました。ウォルグリーンズなどの薬局チェーンとも協力関係を構築していました。

しばらく女スティーブ・ジョブズなどと言われ、マスコミでも寵児の扱いでしたが、ウォールストリートジャーナルが詳細を調べたところ、セラノスが発表している検査は不可能で実体がないことがわかったそうです。

2015年、セラノスの血液検査機器が機能しないことが発覚しただけでなく、実際には他社の製品を使って検査を行っていたようです。これは、自社の製品ではうまく行かないことを認識していたことの裏付けにもなり得ます。

セラノスの開発責任者も自殺しました。それでもエリザベス・ホームズはウソを言い続け、だまし続けたようです。しかし、実際にはセラノスの技術ではうまく行かず、それが証明されて、詐欺であることが発覚してしまいました。

何か、STAP細胞の小保方晴子をほうふつとさせる事件ですね。詐欺を働いた本人は何の責任も感じていませんが、上司である笹井芳樹先生は良心の呵責からか自殺しました。セラノスのチーフ開発者もウソをつき続けることに耐えられなかったのでしょう。しかし、詐欺師は最初から騙す意図でやっているので、技術がうまく行かなくてもそれが当たり前と思っているのかも知れません。あ、バレちゃったか、くらいの感覚で。

開発責任者の自殺後もエリザベス・ホームズはウソをつき続けていましたが、ウォールストリートジャーナルに詐欺であることを見抜かれ、提携先も提携を解除し、全てを失ってしまいました。

理論的には、PCRをやれば、1分子からでも遺伝子増幅をすることは可能ですから、1滴の血液から種々の疾患を診断することは不可能ではないと思います。ある程度の時間と手間をかければ、ですが。なので、本当に優秀な研究者であれば、可能にできたかも知れません。

しかし、セラノスは一滴の血液をかなり薄めて使っていたようで、それではうまく行かないかな、と思います。キャピラリーPCRという非常に少量でPCRを行う方法でやっていれば、あるいは、うまく行っていたかも知れませんが、検出までにある程度の時間がかかるので、売り込み文句とは違っていたのでしょう。

最初は、すごい起業家、発明家が出てきた、と私も大学院の知財講義などで取り上げたりしていたのですが、とんだ茶番でした。

ただ、エリザベス・ホームズが詐欺を働いた裏には、夫の影響があったとの説もあり、夫が詐欺を主導していた可能性もなくはないと思われます。

米国のバイオベンチャーには、明るい未来を見せて資金を集めて、会社を倒産させることも昔はありました。しかし、それには夢のような技術の可能性があってのことです。うまく行かないとわかった上でウソをついて資金を集めるのは詐欺です。このあたりの境界線は微妙ではありますが、全くのウソをついてはダメだと思います。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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