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中小企業と大企業の間の知財契約の問題点(知財吸い上げ)

企業や大学との間で共同研究や共同開発をする場合、秘密(機密)保持条項も問題になり得ますが、知的財産の取り扱いに関する条項が問題になることがあります。

契約は、力関係もあるので、大企業の方が有利な契約書になることもあります。これは、取引をするためには必要なケースもあるので、契約的に不公平でも、注文を取りたい場合は丸呑みするのも一つの考え方(戦略)です。

しかし、どうしても仕事を取りたい、という相手でなければ、一応引っかかる条項について質問したり、修正を依頼してもいい場合があります。不平等な関係だと長続きしにくい場合もあります。双方が納得した形で両方にメリットのある契約ができれば、両者が長く発展し続けられるでしょう。

そういう意味では、大企業が中小企業の優れた知財を吸い上げるような不平等な契約は日本経済の発展を考えればあまり好ましいものではありません。中小企業の発明も守る必要があります。

ただし、中小企業側がどうしてもその有名企業と一緒に仕事をしたい、という場合は、ちょっとおかしいと思っても、リスクが大きくなければ、丸呑みしてもいいと思います。そのような企業は相当の売上が上がっているでしょうから、コンプライアンス上も変なことはしないと思われるますし、細かいことをいちいち指摘すると、取引を断られる場合があり得ます。それでは本末転倒ですので、そのあたりは戦略的に考えてやる必要があります。

ただ、最近では、国の政策として、こうした不平等な契約を減らす方向性になっており、経産省がひな型を作って、片務契約ではなく、双務契約(双方を平等に縛る)にするように推奨しているようです。このようなひな型を使えば、不平等な契約を防止できる場合があります。

このようなひな型の契約では、共同開発の成果は共有となります。また、大学と企業間の共同開発では、通常は企業のみが製品を製造販売して、大学は発明を実施しないのが原則です。そのような場合は、いわゆる不実施保証として、製造販売する企業が製造販売しない大学や企業にライセンス料相当を支払うのが公平でしょう。

また、装置メーカーとその装置を使って製品を製造するメーカー(例えば飲料の製造業)との間の契約の場合、共同開発した装置をライバルメーカーに売らないように、一定期間共同開発先のみに販売する、という契約になる場合があります。その場合は、双方の交渉で3~5年程度はライバル他社に販売しない、ということになる場合もあります。

また、相手から提案された契約書をぱっと見ただけではわからないですが、よくよく読むと、大企業に有利な不公平な契約になっていることもあります。

しかし、中小企業の場合、法務部で法律の専門家がいない場合もあり得ます。総務部が契約書チェックをしている会社もあります。すると、巧妙に不公平な条項を契約に潜り込ませられると見落とす場合もあり得ます。

とはいえ、毎回弁護士にチェックをしてもらうと、かなりの費用がかかります。その点、弁理士に依頼するとやや安くチェックできる場合があります。

しかし、弁理士でも契約書を作成した経験のない弁理士だともちろん契約書チェックはできません。

大平国際特許事務所の弁理士の大平は、会社員時代や、大学知財部員時代に契約書をたくさんチェックしていましたので、契約書のチェックも得意です。特に英文契約書のチェックも得意です。英文契約特有の問題点も熟知していますから、海外の企業との契約のチェックもお気軽にご相談下さい。

契約書で問題になる場合とは例えば以下のようなケースです。

部品メーカーが製造メーカーに部品を販売する場合に、特許は取らない、という条項を入れる場合もあります。これは、製造メーカーの仕様の部品なので、それを特許を取られると、その後別の会社に同じ部品を発注できなくなるおそれがあるためです。

あるいは、消費者が改良品を作っても特許を出させない契約も実際に見たことがあります。これは、利用発明の特許を取られると、将来その会社が改良品を販売する場合に障害になるおそれがあるためです。これはちょっとわかりにくいのですが、抗体関係の試薬だった記憶があります。

こういうのは、良く考えると、そうでないと、その会社のビジネスモデルが成立しないこともあるので、そういう場合は理屈で考えておかしい、と思っても、その商品を購入したいならその契約に同意しなければならない場合もありえます。

もちろん、弁護士や弁理士は原則に従って、おかしい条項があれば指摘します。不公平な条項があった場合、相手と対等であれば、普通修正案を提案します。しかし、そこと取引するだけで、こちらに大きなメリットがあるのであれば、契約的には不公平であっても、耐えられる範囲の不公平であれば、その契約書で契約するのがいい場合もあり得ます。

要は、機械的に、不平等だから修正してくれ、と反論するのではなく、それ以前に相手の企業との取引がどのくらい大切か、相手との力関係も考慮して、戦略的に対応することが重要と思います。

 

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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