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投資対象を選ぶには、特許や論文も調査するデューデリジェンスは必須

先日、知人に誘われてあるベンチャー企業のセミナーに参加しました。そこは、医薬を開発して上場するので、未公開株を売ることをやっているようです。しかし、ネットで情報を調べてみると、詐欺、とか、集団訴訟、闇金、逮捕、等の記事が多数出てきました。

バイオベンチャーの場合、本当にいい技術であれば、ベンチャーファンドがつくので、未公開株を一般人に売って資金調達する必要はありません。そんなことをしたらややこしくなるだけです。

なので、おかしいな、とすぐに気づきました。そこで、帰宅してから、特許調査をしてみたのですが、特許は遠隔医療の特許が1件見つかっただけで、医薬の特許はありませんでした。

通常、医療ベンチャーは特許が命です。特許が無ければ医薬品を開発しても、マネされて終わりです。もっとも、臨床試験のデータ保護期間の6~8年は独占できるかも知れませんが。

そこの会社はコロイドヨウ素を使ってガンを治す、という触れ込みで、将来上場するから、という名目で一般人にセミナーをして投資を促しているようでした。1株5万円なので、買えない金額ではないし、たくさん投資したい人はいくらでも買えます。

しかし、配当金が2月に入る、と言っていて、無かったり、株主総会も4月にやると言っていて、延びたり、やらない可能性もある、という噂もあります。IPOもやらない、と言ったという話もあります。

まぁ、ここまで聞けば、未公開株詐欺だと気づくでしょう。

そういう詐欺を見抜くのには、そこが出願している特許や論文を調べるのがいいです。詐欺の場合は、特許も論文もないと思います。

普通の企業買収時のデューデリジェンスでも、特許を調べますが、未公開株に投資する場合も、その会社の特許を調べることをお勧めします。そうすれば、その会社の技術の本質がわかり、どのくらい価値があるか、どういう競合技術が出てきたらまずいか、などもわかり、売るタイミングもわかる可能性がありますから。

今回の知人はいたってまともな人で、企業の研修講師や大学講師などもやっているのですが、技術については素人なので騙されたのでしょう。文系とはいえ、特許調査はやって欲しかったです。

そういう怪しい会社と関係を持ってしまうと、抜けるのも難しくなるかも知れませんね。

未公開株詐欺に騙される人を減らすには、真っ当な、高い技術を持つベンチャー企業がたくさんできて、本当に投資で億万長者になる人がもっと出て欲しいところです。そうした技術は、大学や公的研究機関にも眠っているはずなので、目利きのできる人がそれを実用化して成功して欲しいですね。

 

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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