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北の達人vsはぐくみプラスの不正競争防止法に基づく訴訟

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北の達人コーポレーション(木下社勝寿長)は、はぐくみプラスに対し、不正競争行為について東京地方裁判所で損害賠償金1835万7803円の支払い判決を勝ち取った。

この事件の経緯は、2018年2月7日、北の達人コーポレーションは、はぐくみプラスを被告として、品質誤認表示・信用毀損行為の差止め、品質誤認表示の抹消、虚偽の事実を記載した文書の回収、13億7944万円の損害賠償のうち一部である1億円の支払いなどを求めて、東京地方裁判所に訴訟を提起したものである。

この訴えに対し、2021年2月9日、東京地方裁判所は、原告である北の達人コーポレーションの訴えを認め、被告はぐくみプラス社に対し損害賠償金として1,835万7,803円の支払いを命じた。

不正競争防止法がらみでよくあるのは、他社の著名な商品の模倣品を販売等する行為だが、この場合は、商品名ははぐくみオリゴと、北の達人の製品「カイテキオリゴ」とは違っているが、配送の外挿箱のデザインやページ上の開発秘話のストーリーがそっくりだったそうです。

名前は異なるので、商標権侵害ではないですが、外装箱のデザイン、開発秘話のストーリがそっくりというのは、不正競争行為に該当すると思われます。そっくりでしたから。

しかも、はぐくみオリゴは、オリゴ糖純度100%を謳っていたそうです。これは現在の技術では不可能なので、虚偽表示に当たります。

これだけなら、技術の素人がよく知らずに書いているということかも、と北の達人はスルーしていたそうです。しかしながら、アフィリエイトのイベントで、はぐくみプラスの社員が、アフィリエイターに大して、「北の達人のカイテキオリゴは純度100%ではない、はぐくみオリゴの方が商品として優れている」と宣伝していたそうです。

これを木下社長が知り、虚偽の情報ではぐくみプラスの商品の方が優れている、と売り込むのは不正な行為です。しかし、アフィリエイターは真実を知らずに宣伝文句として使う可能性が高いです。

これに対し、弁護士を通じて抗議したら、はぐくみプラスの側はすぐに弁護士を通して謝罪したそうです。はぐくみプラス側は違法なことをしている、という認識はあったのでしょう。

ところが、その後も同じように、はぐくみプラス側は、「オリゴ糖純度100%」をアピールして販売を続けたそうです。

これは、謝罪して、悪いと知っていながら、故意に虚偽の情報で売り込むわけですから、不正競争行為です。そこで、北の達人が、はぐくみプラスを訴えた、という経緯です。

健康食品関係の会社は、小さいところもあり、法律をよく知らないのかも知れません。私も1人社長で、かなりたくさん売っている会社もあったりします。売る量によっては見つけられない、と思ったのかも知れません。

しかし、訴訟になり、虚偽の情報により、北の達人の商品の売上が減ったことが証明されたのでしょう。それにより、はぐくみプラス側は、損害賠償金として、1800万円あまりの支払い命令が出ました。控訴しなければ、判決が確定し、1800万円あまりが北の達人に支払われ、はぐくみプラスは、表示や宣伝文句を変える必要があるでしょう。

はぐくみプラス側の反論は、いいかげんなものが多かったようです。これは技術的に正確な知識を持っていないことも関係したようです。

最終的には、北の達人側が、はぐくみオリゴの純度を分析した証拠を提出して判決が出たようです。本来、はぐくみオリゴ側が純度100%を主張するなら、そのデータを持っていなければおかしい話です。

他社の製品を偽装してその会社に損害を与えた場合は、その損害を賠償する必要があります。

北の達人は、今回の裁判を機会に、「競合模倣対策室」を設置したそうです。社内弁護士2人体制で、模倣品や虚偽広告などの監視を行っていくそうです。実際には、営業マンが模倣品や虚偽表示を見つけてきて、弁護士が法的な判断をするのでしょう。

日本では、裁判できちんと決着がつきますが、中国等では難しい面はあると思います。下手すると、模倣品を1回だけ販売して、会社を潰すケースもあるようです。

他人の売れている商品を模倣して利益をあげるのは簡単なので、会社によっては不正競争行為をするのでしょうが、今回のようにきちんと裁判しておけば、抑止力にはなると思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7bb489e594a2eeac8bb39e36ccd59e2981db30f3?page=1

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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