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Crispr-Casの特許が日本で成立

ゲノム編集の基本技術である、Crispr-Cas(クリスパー-キャス)の特許が日本でも登録されています。この技術はノーベル賞確実と言われていますし、植物や動物(ヒトを含む)でも幅広く使える技術です。

さらに、実用化される可能性が遺伝子組換え技術よりも高いことから、数兆円以上のライセンス料が動く可能性もあり得ます。

有名な遺伝子組換えの特許はライセンス収入が300億円でスタンフォード大学の稼ぎ頭ですが、Crispr-Casのライセンス収入は、最初の一時金だけで100億円以上、その後のマイルストーンでは、数千億円のライセンス料のようです。それ以降もランニング・ロイヤリティ(実施料収入)が入り続けるでしょうから、総額では数兆円を超えるライセンス収入も十分ありえると思います。

ハーバードグループのブロード研究所が、カリフォルニア大学よりも1年位早く登録されています。

いずれにしても、Crispr-Cas9を使用する限り、両方の特許のライセンスを受ける必要があります。

いずれも、ガイドRNAとCas9ポリペプチドを含んでおり、かなり長い請求項になっています。

特許権の侵害になるのは、米国でいう、All element rule、つまり、全ての要素を使用している場合になりますから、請求項が長いということは、その中から一部でも要素を抜いたり、置換すれば、その特許をエスケープ、すり抜けられることを意味します。

上述のように、ブロード研、カリフォルニア大学ともCas9ポリペプチドを使用していますから、同様の機能を持つ別のCasポリペプチドを使用すれば、この特許には抵触(侵害)しない可能性があり得ます。例えば、Cas8、7,6などを使用すれば文言上請求項の侵害にはなりません。

そういう意味では、ライセンス料の総額が数千億円~数十兆円になるのではないか、と推測されるこの2つの特許の抜け道が見つかる可能性もあり得ます。

しかし、もちろん、ブロード研、カリフォルニア大学ともに、そうした抜け道対策もしてくる可能性あり得ます。

兆単位のお金が動く以上、何があっても不思議はないですから。

日本で登録された特許の特許番号、書誌事項と第1請求項は下のとおりです。

ハーバード大、ブロード研究所
【特許番号】特許第6203879号(P6203879)
【登録日】平成29年9月8日(2017.9.8)
【発行日】平成29年9月27日(2017.9.27)
【発明の名称】配列操作のための系、方法および最適化ガイド組成物のエンジニアリング
【特許権者】
【識別番号】515236259
【氏名又は名称】ザ・ブロード・インスティテュート・インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】507324290
【氏名又は名称】マサチューセッツ・インスティトュート・オブ・テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ

【請求項1】
クラスター化等間隔短鎖回分リピート(CRISPR)-CRISPR関連(Cas)(CRISPR-Cas)ベクター系であって、
I. CRISPR-Cas系キメラRNA(chiRNA)ポリヌクレオチド配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に結合している第1の調節エレメントであって、
前記ポリヌクレオチド配列が、
(a)真核細胞中の標的配列にハイブリダイズする、10~30ヌクレオチドの長さを有するガイド配列、
(b)トランス活性化CRISPR RNA(tracr)メイト配列、及び
(c)tracrRNA配列
を含み、
(a)、(b)及び(c)が、5’から3’配向で配置されており、
前記tracrRNA配列が、50以上のヌクレオチドの長さを有する、
第1の調節エレメントと、
II. 真核細胞の核中の検出可能な量のII型Cas9タンパク質の蓄積をドライブするために十分な強度の、1つ以上の核局在化配列を含む前記Cas9タンパク質をコードするヌクレオチド配列に作動可能に結合している第2の調節エレメントと
を含む1つ以上のベクターを含み;
成分I及びIIは、前記系の同じ又は異なるベクター上に位置し;
前記ヌクレオチド配列が転写されると:
前記chiRNAは、前記II型Cas9タンパク質へと集合し、前記II型Cas9タンパク質と複合体を形成し、
前記tracrメイト配列は、前記tracrRNA配列にハイブリダイズし、
前記ガイド配列は、前記真核細胞中の前記標的配列への配列特異的結合を指向し、
それによって、(1)前記真核細胞中の前記標的配列にハイブリダイズされる前記ガイド配列、及び(2)前記tracrRNA配列にハイブリダイズされる前記tracrメイト配列と複合体形成している前記II型Cas9タンパク質を含むCRISPR複合体が形成される、
CRISPR-Casベクター系。
カリフォルニア大学
【特許番号】特許第6343605号(P6343605)
【登録日】平成30年5月25日(2018.5.25)
【発行日】平成30年6月13日(2018.6.13)
【発明の名称】RNA依存性標的DNA修飾およびRNA依存性転写調節のための方法および組成物
【特許権者】
【識別番号】592110646
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【特許権者】
【識別番号】514297970
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ヴィエナ
【特許権者】
【識別番号】514297981
【氏名又は名称】チヤーペンテイエ,エマニユエル

【請求項1】
標的DNAを修飾する方法であって、
該標的DNAを複合体と接触させることを含み、
該複合体は、
(a)Cas9ポリペプチド並びに
(b)単一分子DNA標的化RNAであって、
(i)該標的DNA内の配列に対して相補的なヌクレオチド配列を含むDNA標的化セグメント;および
(ii)前記Cas9ポリペプチドと相互作用するタンパク質結合セグメントであって、該タンパク質結合セグメントは、ハイブリダイズして二本鎖RNA(dsRNA)を形成する、2つの相補的な一続きのヌクレオチドを含み、前記dsRNAは、tracrRNAおよびCRISPR RNA(crRNA)の相補的なヌクレオチドを含み、前記2つの相補的な一続きのヌクレオチドは、介在ヌクレオチドによって共有結合的に連結されている、該タンパク質結合セグメントを含み、
前記DNA標的化セグメント、前記crRNAのヌクレオチド、前記介在ヌクレオチド、前記tracrRNAのヌクレオチドは、この順に5’側から3’側に配置されている、単一分子DNA標的化RNA
を含む複合体であり、
該接触は、インビボのヒト細胞ではなく、ヒト生殖細胞ではなく、およびヒト胚細胞ではない細胞内で行われ、
該修飾は標的DNAの切断である、
前記標的DNAを修飾する方法。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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