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イチゴ品種が韓国流出で220億円の損失 農産物の品種登録による国内、外国での保護の必要性

植物新品種については、日本国内では、種苗法により保護されます。つまり、品種登録すれば、育成者権という保護が得られます。

植物により、育成者権の存続期間は異なります。通常の植物の品種登録の有効期限は25年、樹木などの永年性植物は30年有効です。

また、特許によっても植物新品種を保護することができます。典型的なのは、遺伝子組換えした植物で、例えば、植物ウイルス(キュウリ・モザイク・ウイルス等)の外皮タンパク質遺伝子を導入したウイルス抵抗性ペチュニアなどが特許申請されています。

日本国内で品種登録する以外に外国で品種登録や特許申請することも可能です。例えば、米国では植物特許(Plant patent)が取れます。また、米国では特許を取得することも可能です。

植物特許と一般の特許との違いは、日本での品種登録と特許権との関係に似ています。米国でもPlant patentは品種登録のようなもので、特許権よりもピンポイントの権利になります。

品種登録は、植物の特性表で品種を特定します。数十項目あり、例えば、節間の長さ、葉の角度、花の色など細かく指定するので、例えば、色が違うだけで別の品種になります。品種登録の問題は、権利範囲が狭いことです。特性表と同じか違うかにより判断されるので構成要件が非常に多くエスケープが容易です。品種登録にも特許請求の範囲のような、請求の範囲があれば、もっと広い権利が取れると思うのですが・・・

特許を取った場合はもっと抽象的な概念が守られるので、より広く押さえることができます。例えば、小輪系ペチュニアという特許が成立すれば、花が小さいペチュニアは他の特性が違っていても全て特許侵害になります。

あるいは、遺伝子組換え植物では、BTコーン(バチルス・チューリンゲンシスの毒素タンパク質遺伝子を導入・発現させたトウモロコシ)で特許申請することで、BT毒素遺伝子を導入発現されたとうもろこしは品種に関わらず、その特許の権利範囲に入ります。

そういう意味で、植物特許を取るよりも通常の特許を取った方がずっと有利ですが、概念的に新規性、進歩性が必要なので、植物新品種について通常の特許を取るのは非常に難しいです。

また、欧州では、品種登録による保護が受けられます。欧州共同体植物品種庁(フランス)または、各国の個別に出願し登録を受ければ、EC加盟国の全領域または出願した国で育成者権を取得でき保護が受けられます。

EC加盟国以外の東欧諸国での保護には、その国に直接品種登録の出願をする必要があり、翻訳費用等がかなりかかります。しかも、各国毎に必要な特性の内容が異なるので、拒絶理由が来たときの対応はかなり面倒です。

品種登録による保護は、国毎に異なっていて、最近まで韓国ではイチゴが、中国ではイグサが品種登録の対象ではなかったです。

韓国ではイチゴが品種登録の対象になりましたが、その前に品種が流出して、その交配種が出回って、日本の農家が不利益を被っているようです。

今後は農家も海外での品種保護も考える必要があると思われます。

イチゴ品種 韓国に流出 損失5年で220億円 農水省試算

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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