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味の素が韓国企業シージェイチェイルジェダン社らを特許権侵害で提訴

味の素は8月2日、うま味調味料「味の素」の主成分でもあるグルタミン酸ナトリウムの製造方法に関する特許を巡り韓国のシージェイチェイルジェダン社とその関連企業3社に対して特許侵害訴訟を起こしたと発表しました。

シージェイチェイルジェダン社とは、Wikipediaによると、以下の会社のようです。

CJグループ(シージェイグループ)の企業で、会長は李在賢(イ・ジェヒョン)。
1953年にサムスングループ初の製造業として제일제당(チェイルジェダン、漢字表記:第一製糖)工業株式会社を設立。表記の通り製糖業をはじめとする食品工業では韓国でもトップクラスに入るが、1993年にサムスングループと分離。アメリカの映画会社ドリームワークスSKGへの出資を手がかりにエンタテインメント事業へも進出し、映画製作、映画館経営、ケーブルテレビ放送向け番組制作および配給、インターネットサービスなども手がける。

ホームページによると、CJバイオ事業部門は、世界トップクラスの発酵技術で生産するMSG、核酸等の食品添加物や、L-リジン等の飼料添加物を国内外に提供しているそうです。この事業ドメインは完全に味の素と競合しますね。

味の素としては、ドイツのデュッセルドルフ地方裁判所と東京地裁で1日(現地時間)、提起したそうです。

製造方法の特許権侵害は、工場内で行われるため、通常発見することが難しいのですが、味の素がどうやって侵害を発見したのか、証拠を集めたのか、興味深いものがあります。

特許訴訟の場合、ディスカバリーや3倍賠償のあるアメリカで訴訟を起こすのが有利だと思うのですが、今回、味の素は日本とドイツで訴訟を提起したそうで、この訴訟戦略もどういう意味があるか、不明です。

侵害の発見、立証の目処が十分立っているのかも知れません。このあたりの証拠が不足している場合は、米国で提訴すれば、ディスカバリーで証拠を集められるので、侵害の立証が容易になります。今回はその必要がない位立証できる証拠が揃っているのかも知れません。

訴訟を提起する国の選択としては、まず日本とドイツだけ訴えておいて、相手が徹底的に争うようなら、米国等でも訴訟をする戦略なのか、あるいは、米国では特許が成立しなかったのか、いろいろな原因が考えられます。

いずれにしても、訴訟を好まない、日本企業が特許訴訟をしかけるのは看過できない相当な被害が出ているのではないかと推測します。日本の食品企業の代表である味の素社には、ぜひ勝訴して欲しいと思います。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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