欧州の口頭審理召喚通知
欧州特許庁(EPO)に出願(PCT出願の移行手続き)すると、サーチレポート、拒絶理由が来てから、口頭審理召喚通知が来ることがあります。口頭審理は審査官が事件を複雑と考えたような場合に出されます。
口頭審理では、当日1回で結論が出るので、できるだけそれ以前の補正書、意見書の段階で拒絶理由を解消して口頭審理を避けたいところです。通常口頭審理の日までには半年以上の期間があるので、その間に補正書、意見書を提出して、審査官に拒絶理由が解消するか、打診できます。
しかしながら、もともと複雑な案件なので、必ずしも事前に提出した意見書、補正書ですんなり拒絶理由が解消するとは限りません。何回も補正書、意見書を打診してみてもどうしても拒絶理由が解消できない場合もあります。
口頭審理の日(書面提出期限)までに拒絶理由が解消できない場合、可能であれば、日本の発明者(と知財部員)が欧州特許庁に出張して口頭審理に参加すれば一番よいのですが、費用の面から難しいケースもあります。
その場合は、欧州代理人(弁理士)にメールや電話等でこちらの意図を説明して、欧州代理人のみに口頭審理に行ってもらうことも可能です。その場合、この補正をすれば確実に特許になる、という補正をAuxiliary claimとして入れられれば少し安心して任せられます。
しかしながら、拒絶理由(objection)がどうしても解消できる見込みがない場合は、口頭審理の場での即興的な対応になるので、何が出て来るかわからない口頭審理にそうした成り行き任せで参加した場合、拒絶されるリスクが高くなります。
最悪、口頭審理で拒絶査定が出る恐れがあり得ます。そうならないように何とか知恵を絞って、確実に拒絶理由を解消する対策を考え出す必要があります。
私が以前担当したケースでも、最後の最後まで拒絶理由が解消できず、口頭審理の日を迎えてしまいました。口頭審理も途中まで厳しい流れだったようですが、どういうわけか、途中で一回休憩が入った後、なぜか一転して特許査定を認める、ということになりました。これは一つには、日本と米国で特許査定が出ていたためと思われます。
ただし、請求項や明細書を補正することが条件でした。
この場合、この審判官のいうことに反対して、異なる補正をすることも可能です。その場合は、その補正を再度審理し、OKであれば特許査定が出ます。しかし、拒絶される場合もあり、そうなったら、審判官の提案は無くなって審査がふりだしに戻ります。審判官の補正案が戦略上などの理由でどうしても受け入れられない場合は、審判官の提案以外の補正をするのも一法です。
大平国際特許事務所では、口頭審理召喚通知が出た場合の応答も得意です。ご興味のある方は以下からお気軽にご相談下さい。