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引用文献の多い拒絶理由通知

審査請求をすると、通常は拒絶理由通知が来ます。その際、先行文献(引用文献)が付いてくるのですが、普通は5報程度が多いです。

しかし、案件によっては、15件位文献が引用される場合もあります。

また、海外の分厚い数百ページもある文献が引用されるケースもあります。そういう分厚い引例ばかりのときも・・・

すると、読むだけで何日もかかってしまうので、全部精読するのはさすがに無理で、必要な部分だけを精読し、他はさらっと読む感じで対応する場合もあります。

分野によっては、この引用文献が非常に分厚くて多い、という分野があり、その場合は、拒絶理由への応答にかなり苦労します。

拒絶理由への応答で一番簡単なのは、請求項を補正により限定(減縮)することです。

引用文献に記載されている部分を全部削除すれば、一応新規性は出ます。虫食いみたいな権利になってしまいますが。

しかしながら、進歩性の場合は、それだけでは足りないので、いかに当業者であっても容易には思いつかないか、というのを説明します。

さらに、有利な効果(予想外の効果、予想の範囲内ではあるが際立って優れた効果など)があれば主張します。

発明の構成自体は容易に思いついたり、動機づけがあったとしても、予想外の効果があれば、それは進歩性があることの重要な証拠として考慮されます。

最近は科学技術関連の文献が幾何級数的に増加しており、1年経てば、それまでの全ての情報を合わせた以上の新たな情報が生み出されている、とも言われています。

特許出願も米国、韓国、中国などは出願数が増加していますから、どこかに何かしら記載があったりします。

そういう意味では構成が全く思いつかない、という発明はどんどん少なくなっていくように思います。

とすれば、予想外の効果(surprising effect)を主張するしかありません。実験でそうした予想外の効果があれば、きちんとデータを取っておいて、進歩性の主張に使えるようにすべきと思います。

また、データの取り方は、当然ですが、ピークから落ちるまで、つまり、例えば、順次増加しているとしてその増加が止まり、下がり始めるまでの範囲で取る必要があります。

増加し続けている途中でデータを取るのを止めてしまうと、もっと上(下)の方にもっといい発明があるのに、その証拠が取れずに権利範囲が十分でなくなるおそれもあるからです。

そういう意味では、必ず臨界的な意義のあるところまでデータを揃えるように最初から実験を計画すべきと思います。

今後はどんどんそうした実施例によるサポートが重要になると思われます。個人発明家としてやる場合でもこれは同じことです。必ず臨界的変化が起きる点までデータを取るようにしましょう。

また、2つ要素があるならマトリックスでデータを取るようにする必要があります。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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