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外国に特許出願する際のクレーム補正

日本から外国に特許出願する場合、その国の制度に合せたクレーム(請求項)に補正する必要がある場合があります。これを自発補正(preliminary amendment)といいます。

例えば、医薬の用途発明の場合、日本は剤クレームの形で、「Xを有効成分とする、抗がん剤」のように書きます。欧州でも似たような感じですが、A compound X for use in treatment of disease Yという形で書く必要があります。

日本の表現をそのまま訳すと欧州特許庁から拒絶理由が来ます。例えば、An anti-cancer agent comprising X as an active ingredient.では物として新規性が無いという拒絶理由が来ます。

以前は欧州特許庁では、物質Xの医薬Y製造のための使用、というスイスタイプクレームのみが医薬用途発明として認められていましたが、今ではこの形式は欧州では認められません。不思議なことに中国はこのスイスタイプクレームのみが認められるようです。カナダではスイスタイプと今の医薬用途クレームの両方が認められます。これらも将来的には統一の方向に向かうとは思いますが。

アメリカの場合は、医療方法も特許が認められるので、「Xを用いて病気Yを治す方法」というようなクレームになります。アメリカでは日本のような剤クレームは認められません。

このように、国毎に認められるクレームが違う場合があるので、外国出願をする場合は、各国のクレームに対応できるように明細書を作成する必要があります。

他に、マルチのマルチディペンデントクレームが認められない国の場合は、従属関係を補正する必要があります。例えば、以下のような場合です。

クレーム3  ・・・である、請求項1または2に記載の●●
クレーム5  ・・・である請求項1~4のいずれかに記載の●●

この場合、2つの請求項に従属する3が、さらにクレーム5で複数の請求項として従属しています。このように複数の請求項に従属する請求項をさらに複数従属させたクレームがマルチのマルチディペンデントクレームになります。

この場合は、どちらかを1項のみに従属させる形に補正します。

マルチのマルチ・ディペンデント・クレームが認められる国も多く、インドやインドネシア等もマルチのマルチが認められます。そういう国ではマルチのマルチ解消のための補正は必要ありません。

それ以外にも、日本語としては意味が通じるけど、それをそのまま翻訳したら外国では不明確になる表現などもあり得ます。そういう場合は、明細書の本文の記載を元に意味が通じるように補正するか、不明確の拒絶理由が来てから補正することができます。米国では移行の際にCIP(一部継続出願)にして意訳して提出することも可能です。

不明確であるという拒絶理由が来る場合は、補正の示唆がある場合もあるのでその国の審査官の言う通りに補正すればよいです。

ただ、極く稀に、審査官の補正の示唆と裁判所の判例とが異なる場合があり、そのような場合は現地代理人(弁護士または弁理士)の意見に従うのがよいと思います。

これらのクレーム補正は、優先権主張してPCT出願する場合には、その段階で明細書中に入れることもできますし、最初の出願から入れておくやり方もあります。ただし、医療方法のクレームなどは米国に出願する予定があれば最初から入れておいた方がよいと思います。

パリ条約による優先権を主張して外国に直接出願する場合は、その段階でその国に合うように補正したクレームで出願すればよいですが、優先権の基礎となる最初の出願にもそのようなクレームに補正できるように記載しておく方が確実でしょう。多くの場合は日本の通常の明細書の書き方で書いておけば補正可能ですが。

大平国際特許事務所では、海外出願も得意としております。お気軽にご相談下さい。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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