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医薬品のライフサイクルマネジメント(LCM)と特許

医薬品の場合、研究開発費が増大しており、1製品を開発するのに、20年200億~800億円の研究開発費用が必要、と言われます。1980年代は10年20億と言われていましたが、それから比べると開発期間が2倍、研究開発費は10倍~40倍にも増加しています。

それほどの期間と費用をかけて開発した医薬であれば、特許権の存続期間の満了で独占期間が終了するのはできれば避けたいものです。そこで、最初の特許権の存続期間が満了する前、というか、最初の特許出願から数年後~十数年後に第2用途発明、安定化方法、結晶多形、用法用量、組成物、組合せ医薬(合剤)等の出願をすることで、この第2用途発明についてはそこからまた25年間の独占期間が確保できることになります。

第3、第4、・・・・用途発明や周辺発明をすることにより、さらに独占期間を延長することも可能です。

これを製品のライフサイクルマネジメントと言い、製薬企業にとってはいかに製品の独占期間を延ばすかが収益を増やす重要な戦略になっています。

ただ、ライフサイクルマネジメントは必ずしも医薬のみに限って行われるものではなく、電化製品等でもどんどん改良特許を出願することで、製品の独占期間を延長して行くことは可能で、実際に行われています。

つまり、特許出願をしたとしても、20年(延長できる場合は25年)で存続期間は満了して特許権は消滅します。それ以上に長く製品を独占販売する特許戦略を立て、計画的に用途発明や周辺発明を特許出願することでその製品の利益を最大化することができます。

このライフサイクルマネジメントは企業にとっても非常に重要な特許戦略となっています。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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