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特許になる発明(特許法上の発明、産業上利用できる発明)

この出願は特許になりますか?とよく聞かれます。特に特許を出願したことのない初心者の方ほどこの質問を何度もされることが多いです。

しかしながら、それは先行技術調査をしてみないとどういう先行文献があるかわからないので相当厳密に調査をしないとわかりません。先行例がない、という証明は悪魔の証明ですから、きりがないとよく言われます。

それでも、ズバリそのものがあるか無いかは比較的簡単にわかります。キーワードや国際特許分類、Fタームなどをうまく使えば、その発明と全く同じ発明がない、ということは日本の特許については分かります。とはいえ、外国の全ての出願を調査しているわけではないですから、例えば、ベラルーシとか、ボツワナとかマイナーな国に同じ発明があることも無いとは言えません。

日本国内の特許についてのある程度の調査でも10万円程度、徹底的に海外も含めて調査するとすれば翻訳費用も含めると、1ヵ国数十万円はかかりますから、全部で数千万円かかる場合もあり得ます。

20~30万円の出願に特許性があるかどうかを調べるのに1000万かける人や企業はまずいないでしょう。

大企業の中には、特許庁に審査請求料を払って調査してもらう、という言い方をするところもあります。なぜなら、特許にならない場合の損失はせいぜい30万円~50万円程度なので、その損失の可能性をそれ以上のコストをかけてまで調査するメリットはない、ということなのでしょう。

それに加えて、アメリカの場合はIDS(information disclosure statement)という制度があり、知っている先行文献を開示する必要があります。すると調査して自分の出願の特許性を否定する文献があれば、それを提出することになります。

米国の審査官はそれを使って拒絶理由を出して来ます。もし提出しなければ審査官は見つけられなくて特許になっていたかも知れません。つまり、真剣に先行文献調査をすればするほど、近い文献が見つかりますから、それにより拒絶される可能性が高まります。言わば、自分の首を絞める先行文献を見つけることになるかも知れません。

そういう意味では、適格な先行文献を見つければ見つけるほど厳しい拒絶理由がきて、特許になりにくくなります。さらには、他の部署がその文献を見つけていて、別の部署から米国に出願し、侵害訴訟で、同じ会社が先行文献を知っていたのにIDSで提出していなかったとすると、詐欺(fload)により権利行使ができなくなるおそれもあり得ます。

そういう意味で、大企業では上記の不都合を考えて、調査をしない、という方針の会社もあります。

とはいえ、個人の場合はズバリの先行例がある可能性が企業よりも高いので、個人の方の場合は、ズバリの先行文献や出願がないかはチェックされることをお勧めします。

これらの調査は主に新規性、それに加えて進歩性の判断のためですが、それ以前に、特許法上の発明に該当しないと門前払いされてしまいます。特許法上の発明に該当するかどうかは以下の動画をご覧下さい。

特許法上の発明は、自然法則を利用した技術的思想のうち高度のもの、と法律に明記されています(特許法第2条第1項)。

現実には、審査基準には、産業上利用できない発明、というものが列挙されており、それに該当しなければ、自動的に法上の発明に該当する、という実務をしているようですが。

確かに、それぞれの発明について、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度なものに該当するか?を確認するのは煩雑なので、一定のパターンに当てはめてそれに該当しない発明は自動的に法上の発明に該当する、とするのが合理的と思われます。

最近米国の特許適格性の暫定ガイドラインにより、実務がかなり変化しましたが、今後も特許適格性は変化していくでしょうから、注意が必要です。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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