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拒絶査定不服審判請求の理由と知恵を出すこと

特許出願して、審査請求し、拒絶査定に意見書や補正書で応答してもなお、拒絶査定が出ることはあります。

あるいは、補正をせずに、意見書を出したところ、いきなり拒絶査定を受ける場合もあります。

審査官の提示した引用文献が明らかに勘違いと判断し、意見書のみで反論したら、審査官の意図とずれていて、拒絶査定にされる場合もありますし、審査官がそれについては認めても、さらにサーチしてさらに勘違いの引用文献で拒絶査定をしてくる場合があります。

後者の場合は、不運としか言いようがありませんが、審判請求すれば覆る可能性はより高くなるので、審判請求する意味が大きいとも言えます。

ともかく、拒絶査定不服審判を請求する場合は、拒絶理由に対する意見書よりもかなり詳しく反論を書くことになります。

通常の意見書が数日で書くとすると、審判請求書は1カ月以上、長い明細書に対する拒絶査定だと、2~3カ月かけて審判請求の理由を考えることもあります。

私が最近担当した案件もそういうもので、ファイルもものすごく分厚くなっており、引用例の1つは200ページ位の英文で、とても全部読める量ではありませんでした。

3つの英文の論文と1つの日本語文献が引用されたのですが、元々の明細書の記載が薄く、記載要件も問題になっていました。

さらに、現地代理人からの指示が日本の実務とはずれていて、その指示通りにやれば100%拒絶されるのは目に見えていました。海外の代理人は日本の記載要件がそんなに厳しいということを知らない場合もあるようです。また、日本の補正の要件もおかまいなしに補正案を送ってきます。

とはいえ、こちらで勝手に補正案を変えて提出するわけにもいかず、これだとこういう問題があるので、こうした方がいいと思うがそれでよいか?という質問をすることになります。しかし、それでも、今回はこれで行ってくれ、と言われると、その補正案で行くしかありません。

そういうことをやってうまく行けばいいのですが、言う通りにやって拒絶審決になるのもせっかくやっているのだから避けたいところです。

ですので、できる限り、きちんと説明して、日本の実務にあった応答をするようにしました。

それでもきちんとしたメールを書けば問題なく、現地代理人が回答してくれます。

そうしたコミュニケーションをしっかり取るということも非常に重要で、海外代理人との信頼関係の構築に役立つと思っています。

いずれにしても、非常に難しい拒絶理由に見えても、知恵を絞ることでいいアイデアが出て来ることは間違いないです。

ですから、これは無理かも、という拒絶理由が来ても、しっかり知恵を絞るべきだと思います。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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