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サントリーがビールテイスト飲料特許でアサヒを提訴

これは今年3月19日に投稿した記事なのですが、一度ブログが消えてしまった時になくなっていたので再掲します。

食品業界に限らず、日本企業は特許出願は多数して特許権は持っていても、あまり特許権侵害訴訟をせず、和解で終わらせるのが美徳、のような風 潮があり、企業によっては、受け身の訴訟はするが、攻撃の訴訟はしないのが方針、というところもあります。これは一部には、無効になる可能性がかなり高い ので、攻撃して反撃で自社の特許が無効になるのが怖いから、という面もありますが。

食品業界では、サトウの切り餅やラーメンの訴訟が有名ですが、それほど大きな訴訟は少ないです。

今回は、サントリーvsアサヒということで、食品業界でも最大手同士の争いですから注目を浴びることは必至でしょう。

サントリーが特許権者で、アサヒがその特許権の技術的範囲に入る製品を製造販売しているので、特許権侵害で訴えたようです。これに対してアサヒ側 は、特許が無効であるとの主張をしているそうです。サントリーの特許が無効である、と信じて製造販売したとすれば、故意が阻却されますから、刑法犯は阻却 されます。

いずれにしても、食品業界でも特許訴訟が頻発するようになれば、業界自体の特許出願のレベルは高くなるので弁理士としては歓迎すべき事態とは言えま す。とはいえ、サントリーが今回取ったような広い特許権を他社もどんどん取るようになれば、特許侵害だらけになるおそれもあります。

では、サントリーの特許権はどういうものでしょうか?以下のような特許権をサントリーが取得しています。

【特許番号】特許第5314220号(P5314220)
【登録日】平成25年7月12日(2013.7.12)
【発明の名称】pHを調整した低エキス分のビールテイスト飲料
【出願番号】特願2013-516897(P2013-516897)
【出願日】平成24年11月19日(2012.11.19)
【国際出願番号】PCT/JP2012/079973
【審査請求日】平成25年5月24日(2013.5.24)
【優先権主張番号】特願2011-255388(P2011-255388)
【優先日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【早期審査対象出願】
【特許権者】サントリーホールディングス株式会社

国際出願して、しばらくしてから日本国内に移行手続きをして、早期審査で特許化したようです。特許請求の範囲は以下のようにかなり広いです。請求項 1は、エキス分の総量が2重量%以下のビールテイスト飲料で、pHが3~4.5ということで、本当にこれまでこうしたビールテイスト飲料がなかったのか不 思議な気がします。審査でも拒絶理由が出ずに一発で特許になっているようで、本当に先行文献がないのかも知れません。

もし本当に先行文献が無ければ、この特許を潰せないので、エスケープするのはかなり難しい気がします。エキス分を2.1%にすればいいだけのこと、とも言えますが。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキス分の総量が2.0重量%以下であるビールテイスト飲料であって、pHが3.0以上4.5以下である、前記飲料。
【請求項2】
エキス分の総量が1.0重量%以下である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。
【請求項3】
エキス分の総量が0.5重量%以下である、請求項2に記載のビールテイスト飲料。
【請求項4】
エキス分の総量が0.3重量%以下である、請求項3に記載のビールテイスト飲料。
【請求項5】
エキス分の総量が0.01重量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項6】
pHが3.0以上4.2以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項7】
pH調整剤として、乳酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、コハク酸、及びそれらの塩からなる群から選択される一種又はそれ以上を含んでなる、請求項1~6のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項8】
pH調整剤として、乳酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、及びコハク酸からなる群から選択される一種又はそれ以上を含んでなる、請求項7に記載のビールテイスト飲料。
【請求項9】
カロリーが8.0kcal/100ml以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項10】
カロリーが4kcal/100ml以下である、請求項9に記載のビールテイスト飲料。
【請求項11】
カロリーが1.6kcal/100ml以下である、請求項10に記載のビールテイスト飲料。
【請求項12】
カロリーが1.4kcal/100ml以下である、請求項11に記載のビールテイスト飲料。
【請求項13】
カロリーが0.1kcal/100ml以上である、請求項9~12のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項14】
糖質の含量が2.0g/100ml以下である、請求項1~13のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項15】
糖質の含量が1.0g/100ml以下である、請求項14に記載のビールテイスト飲料。
【請求項16】
糖質の含量が0.5g/100ml以下である、請求項15に記載のビールテイスト飲料。
【請求項17】
糖質の含量が0.01g/100ml以上である、請求項14~16のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項18】
ビールテイスト飲料がノンアルコールのビールテイスト飲料である、請求項1~17のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項19】
ビールテイスト飲料が非発酵のビールテイスト飲料である、請求項1~18のいずれか1項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項20】
ビールテイスト飲料の製造方法であって、
飲料のエキス分の総量が2.0重量%以下となるようにエキス分の総量を調整する工程、及び
前記飲料のpHをpH調整剤により3.0以上4.5以下に調整する工程、
を含む、前記方法。
【請求項21】
飲料のエキス分の総量が1.0重量%以下となるようにエキス分の総量を調整する、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
飲料のエキス分の総量が0.5重量%以下となるようにエキス分の総量を調整する、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
飲料のエキス分の総量が0.3重量%以下となるようにエキス分の総量を調整する、請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
飲料のエキス分の総量が0.01重量%以上となるようにエキス分の総量を調整する、請求項20~23のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項25】
飲料のpHを3.0以上4.2以下に調整する、請求項20~24のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項26】
pH調整剤が、乳酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、コハク酸、及びそれらの塩からなる群から選択される一種又はそれ以上を含んでなる、請求項20~25のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項27】
pH調整剤が、乳酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、及びコハク酸からなる群から選択される一種又はそれ以上を含んでなる、請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
ビールテイスト飲料のカロリーを8.0kcal/100ml以下に調整する工程をさらに含む、請求項20~27のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項29】
ビールテイスト飲料のカロリーを4kcal/100ml以下に調整する、請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
ビールテイスト飲料のカロリーを1.6kcal/100ml以下に調整する、請求項29に記載の製造方法。
【請求項31】
ビールテイスト飲料のカロリーを1.4kcal/100ml以下に調整する、請求項30に記載の製造方法。
【請求項32】
ビールテイスト飲料のカロリーを0.1kcal/100ml以上に調整する、請求項28~31のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項33】
ビールテイスト飲料中の糖質の含量を2.0g/100ml以下に調整する工程をさらに含む、請求項20~32のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項34】
ビールテイスト飲料中の糖質の含量を1.0g/100ml以下に調整する、請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
ビールテイスト飲料中の糖質の含量を0.5g/100ml以下に調整する、請求項34に記載の製造方法。
【請求項36】
ビールテイスト飲料中の糖質の含量を0.01g/100ml以上に調整する、請求項33~35のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項37】
ビールテイスト飲料がノンアルコールのビールテイスト飲料である、請求項20~36のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項38】
非発酵性の方法である、請求項20~37のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項39】
ビールテイスト飲料への飲み応え及び適度な酸味の付与方法であって、飲料のエキス分の総量が2.0重量%以下となるようにエキス分の総量を調整し、飲料のpHをpH調整剤により3.0以上4.5以下に調整することによる、前記方法。
【請求項40】
飲料のエキス分の総量が1.0重量%以下となるようにエキス分の総量を調整する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
飲料のエキス分の総量が0.5重量%以下となるようにエキス分の総量を調整する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
飲料のエキス分の総量が0.3重量%以下となるようにエキス分の総量を調整する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
飲料のエキス分の総量が0.01重量%以上となるようにエキス分の総量を調整する、請求項39~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
pHを3.0以上4.2以下に調整する、請求項39~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
pH調整剤が、乳酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、コハク酸、及びそれらの塩からなる群から選択される一種又はそれ以上を含んでなる、請求項39~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
pH調整剤が、乳酸、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、及びコハク酸からなる群から選択される一種又はそれ以上を含んでなる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
ビールテイスト飲料のカロリーを8.0kcal/100ml以下に調整する工程をさらに含む、請求項39~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
ビールテイスト飲料のカロリーを4kcal/100ml以下に調整する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ビールテイスト飲料のカロリーを1.6kcal/100ml以下に調整する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
ビールテイスト飲料のカロリーを1.4kcal/100ml以下に調整する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ビールテイスト飲料のカロリーを0.1kcal/100ml以上に調整する、請求項47~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
ビールテイスト飲料中の糖質の含量を2.0g/100ml以下に調整する工程をさらに含む、請求項39~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
ビールテイスト飲料中の糖質の含量を1.0g/100ml以下に調整する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
ビールテイスト飲料中の糖質の含量を0.5g/100ml以下に調整する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
ビールテイスト飲料中の糖質の含量を0.01g/100ml以上に調整する、請求項52~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
ビールテイスト飲料がノンアルコールのビールテイスト飲料である、請求項39~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
非発酵性の方法である、請求項39~56のいずれか1項に記載の方法。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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