神谷明日香さん(小学校6年生)が空き缶分別箱の特許取得 TEDで講演
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以前この記事を書いたのですが、最近、神谷明日香さんの弟の神谷響君(小学5年生)が、ペットボトルの分別機の発明をして、特許を取ったそうです。
これは、神谷明日香さんのアルミ缶、スチール缶の分別機にくっつけても使えるようです。その場合は、明日香さんの発明の利用発明の位置づけになります。
これに関するフェイスブックの記事はこちらです。
姉弟で小学生のうちに発明をして、特許を取った経験は、将来に自信がつくと思います。ぜひ、実用化して大金を稼いで欲しいですね。
そうして、他の小学生の期待の星になって欲しいものです。
(ここからは2016年10月14日のの記事です)
愛知城市の丈山小学校6年神谷明日香さん(12)が、夏休みの宿題として、磁石の力を利用してスチール缶とアルミ缶を自動的に分別するごみ箱を開発し、特許を取得したそうです。
TEDの動画がyoutubeにアップされていたのでシェアします。こちらの方が文章で読むよりも実物の空き缶の動きが見えるので発明がわかりやすいです。
上の動画では、神谷明日香さんは、「発明はとにかくやってみる、諦めかけたときにうまく行く」などと言っていますが、まさにそのとおりで、とにかくまずはやってみて、失敗しても改良して試作を繰り返して成功するまでやり続けることでしょう。
よく言われる話ですが、エジソンは7000回の失敗をして白熱電球に使える京都の孟宗竹に行き着きました。エジソンは、これらは失敗ではなく、うまく行かない方法を7000見つけただけだ、と言ったそうですが。つまり、発明は1回目からうまく行くことは滅多になく、何度も失敗して改良を繰り返すことで素晴らしい発明ができるということでしょう。
小学生の特許取得の例としては、他に、犬の糞取り器の発明で年商1000万位になり会社を作った子供がいました。また、有名なドクター中松(中松義郎氏)は、5歳のときにしょうゆチュルチュルという灯油ポンプのような発明をしています。
こうした例はありますが、小学校で特許出願して特許を取得するのはかなり珍しいでしょう。まず、誰か特許をある程度わかっていて、特許出願の経験のある人が周りにいる必要があります。
さらに、本格的に特許出願する場合は、弁理士に依頼する必要があるので、出願費用だけでも30万円程度、その後の審査請求、拒絶理由対応、成功報酬まで考えれば、70万円~100万円程度かかる可能性もありますから、それだけの費用を出せる必要があります。
この点、神谷明日香さんの場合は、お父様がシニアソムリエで会社経営者で、料理に合うワインを判定するプログラムの特許を取得した直後だったのが幸いしたのでしょう。また、神谷さんの祖父はスーパーを経営しているようですから、孫娘が発明で新聞に載るなどして有名になれば地元でも話題になり、スーパーの売上げもあがるでしょうから、特許取得に費用をかけても父親や祖父の事業に対する宣伝効果を考えれば十分ペイすると思われます。
そういう意味では、通常のサラリーマンや公務員の家庭に比べれば特許出願に対するハードルは低かったのかも知れません。
研究が専門で雇われている会社の研究員でもほとんど特許を出さない研究者もいたりしますから、小学生のうちに特許出願と審査を経験しておくのはとてもいいことだと思います。
その小学生の神谷明日香さんの特許ですが、以下のとおりです。
【特許番号】特許第5792881号(P5792881)
【登録日】平成27年8月14日(2015.8.14)
【発行日】平成27年10月14日(2015.10.14)
【発明の名称】空き缶分別箱
【出願日】平成26年12月8日(2014.12.8)
【審査請求日】平成26年12月19日(2014.12.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年9月8日~9日に安城市立丈山小学校の体育館において開催された、平成26年度安城市立丈山小学校夏休み作品展で発表
これは夏休み作品展で公開してしまったので、新規性を喪失しています。そこで、特許法第30条第2項で新規性喪失の例外規定の適用をして出願しています。これにより発表から半年以内であれば新規性を喪失しなかったものとして扱われます。
次にこの出願は早期審査対象です。通常は特許出願から3年以内に審査請求するので、多くの場合は、出願公開される、出願から1年半後位か、またはぎりぎりの3年の直前位に審査請求するのですが、この出願は出願後すぐに早期審査をかけているようです。
早期審査をかけると、大体2カ月で最初の拒絶理由か特許査定が来ますから、早期に権利化することができます。ちなみにスーパー早期審査の場合は1カ月でアクションが来ます。
この出願では、6月に拒絶理由通知が来ていますが、新規性、進歩性がない、という拒絶理由ではなく、36条6項1号の記載要件違反(サポート要件違反)のみでした。そういう意味から言えばもっと広い請求項を書いても良かったかも知れません。
【早期審査対象出願】
【特許権者】
【識別番号】514312527
【氏名又は名称】神谷 明日香
【代理人】
【識別番号】100087778
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 明夫
ここを見ると弁理士に依頼していますから本格的な明細書を専門家が書いていることが分かります。
【法定代理人】
【識別番号】514312516
【氏名又は名称】神谷 豊明
【法定代理人】
【識別番号】315002128
【氏名又は名称】神谷 文香
【発明者】
【氏名】神谷 明日香
法定代理人がいるのは、独立して法律行為をできる年齢でないため、父母が法定代理人となっています。ライセンス契約等は法定代理人が契約主体になって交渉、締結をすることになります。
特許請求の範囲は以下の通りです。かなり詳細に要素(構成要件)を書き込んでいるので、アイデアのみをパクって、この特許に抵触しない分別箱を作れる可能性もあるように思います。
例えば、縦方向に空き缶を投入しそれが途中で横になって転がる構成にすれば、略長方形状を成す開口がありませんから、形式的には非侵害になります。ただし均等論の適用の余地が全くないかは断言はできません(発明の主要部なのでおそらくないと思いますが)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、該天板部の下方側の周壁部と、該周壁部の下方側の底板部と、を有する箱体形状を成し、
前記天板部に設けられ、横向きの空き缶を投入可能な略長方形状を成す開口と、投入される空き缶を前記開口の一方の長辺側から他方の長辺側へ案内して該他方の長辺の下方に連なる他方側の壁部に当接させる案内板とを有する投入部と、
前記他方側の壁部の下端付近に設けられた磁石と、
前記他方側の壁部から下垂された下垂シート片と、
鉛直に下垂されている前記下垂シート片の鉛直下方位置に設けられ、前記下垂シート片の下方の箱体内を2室に分割する分離壁と、
を有する空き缶分別箱。
【請求項2】
請求項1に於いて、
前記下垂シート片の上下方向の長さは20mm~40mmの範囲である、
ことを特徴とする空き缶分別箱。
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