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iPod関連特許で日本人発明家斎藤憲彦氏がアップルに勝訴

 2015/09/11 特許出願費用、特許出願料、商標登録出願料金、手数料、料金表
この記事は約 3 分で読めます。 4,141 Views

iPodの円形の操作盤の特許(クリックホイールの特許)で、日本人の発明家斎藤憲彦氏がアップル社に100億円の賠償を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は9日付で、米アップル日本法人と発明家斎藤憲彦さん(58)側の双方の上告を退ける決定をした。

これにより、2審の知財高裁の判決が確定し、約3億3千万円の賠償金支払いが斎藤憲彦氏にされることになる。

第1審の記事はこちら

アップル社に日本人発明家が特許侵害訴訟で勝訴

同記事関係で週刊誌FLASHに掲載された記事はこちら

アップル特許侵害訴訟に対するコメントがFLASHに掲載されました

3億3千万円の損賠賠償額とはいえ、斎藤氏に全額が入るわけではなく、訴訟費用も高額だ。申立費用が地裁で約1600万円、控訴審で2403万円、上告では3204万円もかかる。これら全てを斎藤氏側が申し立てた場合は、裁判印紙代だけで全部で7000万を超える。

さらに弁護士費用が100億円の訴訟の場合、標準着手金では約2億、成功報酬が4億になる。成功報酬は3,3億円に減額されているので、4億満額ではないと思われるが、着手金と成功報酬で1億円は下らないと思われる。

あるいは、アメリカのように成功報酬制弁護士に依頼したとすれば、勝訴額の半額の1億6千5百万円が弁護士に支払われることも考えられる。アメリカの場合は印紙代が訴額に拘わらず120ドルと非常に安いので、費用は弁護士費用がほとんどであるが。なぜ、日本の裁判の印紙代がこんなに高いのは非常に不思議である。

ともかく、いずれの計算方法でも斎藤憲彦氏には、3.3億円の半額以下しか残らない可能性がある。

この双方の上告、というのは記事によってまちまちで、アップルのみが上告した、という記事も存在する。アップルのみが上告した場合は、3204万円の申立費用が不要になるので、その分斎藤氏の取り分も増えることになる。

また、斎藤氏はさらに今後の特許使用料も得られるだろうから、さらに多くの収入が得られる可能性もある。

斎藤氏の特許は以下であるから、あと約3年間存続する。2006年登録から2015年の9月までの損害賠償額が3億3千万円なので、3年間だと1億程度の損害賠償額と推定される。

出願番号 特許出願平10-012010
公開番号 特許公開平11-194872
審判番号 不服2005-020649
特願2005-133824
特許-3852854(早)(2006.9.1登録査定)
接触操作型入力装置およびその電子部品

日本人の個人発明家が世界のトップ企業であるアップル社を特許侵害で訴え、最高裁判所まで争い勝訴した、というのはおそらく史上初ではないかと思われる。Dr中松こと中松義郎氏はIBMからフロッピーディスク特許で巨額のライセンス料をもらったという話もあるが、訴訟をして勝ったわけではない。

そういう意味では日本人の個人発明家もいい発明をして特許侵害訴訟を起こして億を超える特許収入を得ることも十分可能であることを証明したとも言える。

今後は日本でも成功報酬制弁護士が増えて、こうした特許侵害訴訟が増えると面白いかも知れない。そうなれば、日本の裁判所も儲かりすぎて裁判の印紙代を引き下げると予想される。裁判所が黒字で巨額の利益を出したとすれば国民の批判を浴びるだろうから。

 

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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