国際特許出願(PCT出願)と国際調査報告
外国に特許出願する場合、パリ・ルートと、PCTルートがあります。
パリルートでは、直接その国の特許庁に優先権を主張して出願します。ですから、その国の言語に翻訳し、その国の特許庁に出願します。
これに対して、国際特許出願(PCT)の場合は、PCT(patent corporation treaty、特許協力条約)に加盟している世界約150か国に出願する権利を確保するものです。
出願は国際事務局(WIPO)または、受理官庁に対して行います。日本国特許庁も受理官庁ですから、日本語で日本の特許庁にPCT出願することができます。
その場合、日本語で審査され、日本語の国際調査報告が送られてきます。
ここで、重要なのは、PCT出願後、比較的早期に国際調査報告が送付されてくる点です。
大体、2~3カ月後に国際調査報告が送られてきます。
すると、もし、その時期が優先日から1年経っていなければ、その国際調査報告を見てさらに内容を追加することができます。1カ月余裕を見て、優先日から8カ月以内にPCT出願をするとこのようなことが可能になります。
そして、国際段階で特許性有の評価にすると、PCT-PPHという手法が使えます。
PPHというのは、patent prosecution highwayというもので、例えば、アメリカで特許になった場合に、その特許になったクレームを日本で出願すればそのまま特許になる、というものです。
ただし、必ずしも、アメリカと同じクレームが全て認められるわけではなく、アメリカよりも日本の方が狭くなるケースもあり、その逆のケースもあります。
それでも特許になりやすいことは確かでしょう。
そういう意味で、最初の出願から8カ月以内に国際特許出願(PCT出願)をすることで、早期に国際調査報告を得、それによりさらにPCT出願をすることでより特許性の高い出願にできると思われます。
もちろん、これの変形として、日本の特許出願で早期審査を請求して、その結果を反映して国際出願する、というやり方もあると思われます。