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弁理士受験生が減少傾向と企業内弁理士の増加と出願料金

弁理士試験は昔は難関試験で、私が受験していた頃は合格率2.7%で、合格率2.8%の司法試験よりも倍率が高かったこともあります。

それというのも、合格者が毎年100人位で、この位の人数だと、毎年優秀な人100人が合格して抜けていくとしても、毎年自分より優秀な人が100人新たに参入してきたら、いつまでも経っても受からない計算になります。実際100人程度は優秀な人材が参入していたと思います。ですから、いくら勉強しても合格できないので諦めて別の試験を目指すようになった人もいました。

弁理士受験塾の答案練習会等でトップクラスの人でも何度も不合格になって司法試験の方に移ったという人もいました。

浪人生にも25浪という人もいて、非常に難しい試験でした。

しかし、試験に合格さえすれば、独立して平均年収2000万円の時代でしたから、何年もかけて合格する価値は十分ありました。資格さえ取れば、人生大逆転ができたわけです。プラチナ資格だったとも言えます。このあたりは、弁護士、公認会計士、司法書士なども似たようなものでしょう。

しかし、このところ、合格して弁理士として独立してもとても年収2000万どころか、食べて行くのがやっと、という弁理士も多いようです。年間売上が100万円にも満たず、廃業した弁理士もいたそうです。

独立開業すれば、仕事が無ければ収入はゼロです。田舎で開業してお客さんがいなければ、年商100万円も行かないことも十分あり得ます。これでは事務所を維持することさえできないでしょう。

特許は、出願件数が以前は40万件以上あったものが、今は30万件よりも少なくなり、弁理士数は以前の3倍位に増えているのですから当たり前と言えば当たり前でしょう。

単純計算すれば、年収が3分の1の700万円以下になる計算です。これでは会社員でいた方がマシでしょう。50歳を超えれば年収1000万程度にはなる会社が多いですし、部長とかになれれば年収1500万円以上もありえますから。

さらに、社内弁理士が増えたこともあって、明細書を社内で書く会社も増え、外部の弁理士事務所に仕事を出さなくなった会社も増えているようです。それも弁理士の収入減に働いています。

また、従来ブラックボックスだったために、労力が少なくて高額の報酬が取れる、国内優先権主張出願や、海外出願についても社内弁理士が増えたことから手数料のディスカウントを求められることも多くなりました。

これは社内弁理士としては、コストダウンも成果になりますからそうするのもわかりますが、弁理士手数料をディスカウントさせることで将来自分が弁理士として独立した場合にも安い料金体系に甘んじるしか無くなるので諸刃の剣であることにも気づいて欲しいところです。

事務所弁理士としては、より付加価値の高い仕事をしてより高額の手数料をもらえるように努力することも必要でしょうが。

さらには、パナソニック等は、自社内で特許出願業務をやる子会社を作って、自社で出願するようにしました。これによっても弁理士事務所への出願依頼数は激減したようです。一部は外部の事務所に出すこともあるようですが。

それに加えて、将来的にはAI(人工知能)が発達して、明細書チェックをしてくれるようになるかも知れず、そうなれば、弁理士に依頼しなくても研究者が自分で明細書を書けるようになる可能性があります。すると弁理士の仕事そのものが無くなってしまうかも知れません。

そのような事情もあって、弁理士試験の受験者数も減っているようです。この傾向は司法試験でも同様のようで、法科大学院も定員割れで補充募集が20人~30人のところも多いですし、それでも定員よりはるかに少ない人数しか合格させないようです。

最近の弁理士合格者でも、年商100万以下の弁理士が1,2割はいたと思います。そういう弁理士は事務所の家賃すら払えないので廃業したり、企業に再就職したりしていました。

もちろん、経費を引いた後の年収が100万円であれば、まだぎりぎり何とかなる場合もあり得ます。自営業のメリットで様々な費用を経費で落とせるため、それであえて収入を減らしているケースもあるでしょう。

それに、弁理士の仕事は一度出願を受ければ、その後、審査請求、拒絶理由対応、登録謝金と出願後も収入があり、多くの場合、リピートで発注してくれることも多いので、しばらく維持できれば徐々に仕事も増えてきます。さらに、腕がよければ知り合いの会社などを紹介してくれる場合もあり得ます。

そういう意味で、特許事務所は立ち上げさえうまく行けば、後はその顧客を維持するだけでもやっていけるとも言えます。単価を維持できれば、ですが。

ところが、大手の特許事務所はリーマンショックの際に大きな打撃を受けました。研究開発費が7割位に減り、特許部予算も7割に減ると、発明数が減り、知財部としては、従来の特許を維持するための費用は削れませんから、新規出願を絞るようになります。すると新規出願数が5割などになり、それに加えて経費削減、値下げ圧力が強まり、弁理士にとっておいしい仕事はどんどん値切られるようになっていきました。

多くの所員を抱えていて、解雇しない方針の大事務所や中規模事務所はボーナスを無くしたり、いろいろご苦労されていました。

私もある事務所の所長が毎週のように所内ミーティングで、「売上が足りない」と怒っていたのを思い出します。毎週そんなことを言われるのは営業マンの売上会議みたいですごく嫌でした。

それとともに、企業内弁理士が増えて、明細書を内製する動きが広がってきたことによっても特許事務所への出願依頼数が減っているように思います。年間数十件程度の出願であれば、弁理士が1人で書ける量と言えなくもありませんから、社内に明細書を書ける弁理士がいれば内製化する会社もあると思われます。

とはいえ、特許事務所は常に明細書を書いていますが、企業内弁理士は戦略を考えたり、訴訟や契約、調査など明細書を書いてばかりいるわけではないので、特許事務所の弁理士ほど特許庁とのやり取りは多くはなく、ケーススタディ量としては、特許事務所よりも不足する場合が多いので、弁理士のように最新ノウハウを駆使して明細書を書けない弁理士も存在すると思われます。

それを考えれば、専門の特許事務所に依頼するのも一つのやり方でしょう。ダブルチェックにもなりますし、責任問題になれば特許事務所の弁理士が悪い、と責任を押しつけることもできます。

それでも、時間が取れるなら社内で明細書を内製するのも一つの考え方でしょう。特に、製薬企業などで、年商数千億円のブロックバスター医薬の特許の場合は、ミスがあれば、数千億円の売上げが無くなるおそれもあり得ます。

そのような場合は、知財部員が開発者と何ヶ月もかけて何度もやり取りして数百ページの特許明細書を書き上げる場合もあると思います。そのような重要な特許については、製薬企業の優秀な社内弁理士が何十にもチェックする方が特許事務所に依頼するよりもいい明細書が書ける場合もあると思われます。

しかし、企業の知財部の本当の役割は知財戦略を立て、交渉し、自社に有利な契約を締結することではないかと個人的には思います。

明細書をいつも書いているのではない人が書いた特許出願やPCT出願を自社でした後で、拒絶理由が来てから特許事務所に依頼される場合もあるのですが、正直拒絶理由対応が難しいことがかなりあります。最初にきちんと明細書を書いてないと後からは追加できないですから、どうしても狭い権利範囲しか取れないか、拒絶査定を受けて拒絶査定不服審判で争うことになり、費用がかさみます。

そういう意味で、自社出願しておいて、後から特許事務所にその後の対応を依頼するのであれば、最初から特許事務所に出願を依頼した方が結局はいい特許が取れて費用対効果がよいのではないかと思います。

また、出願後は自分でやりたい、という個人の方もおられますが、拒絶理由対応はやる人の腕によって全く結果が異なりますので、ご自身で応答することはお勧めできません。素人の場合、もっと広い権利が取れるところを非常に狭く補正してしまうケースが多いからです。

それらを考え合わせると、最もいいのは、自力で完璧と思える明細書を作成し、それを特許事務所に送ってチェックしてもらった上で出願するのが一番確実と思われます。そうすれば、自社の明細書ノウハウも含まれ、さらに、特許事務所の最新ノウハウも組み合わせて最強の明細書になると思われます。

大平国際特許事務所でも、最強の明細書を作成することが可能です。お気軽にご相談下さい。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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