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特許の価値を上げるには特許侵害訴訟?

特許訴訟 侵害 差止 和解 訴訟戦略 管轄
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特許部(知財部)をコストセンターからプロフィットセンターにしたい、というのは多くの会社が目指しているところでしょう。

しかし、直接利益を生む事業部と違い、事業部が事業で成功しなければ特許出願していても無駄になります。

例えば、ある製品を守るために複数の特許や意匠、商標等を出願し、鳴物入りで発売したにもかかわらず、早い時には3カ月、普通なら半年~1年、長くて3年位で終売になって製造中止になることもありえます。

するとせっかく特許出願や意匠登録出願して参入障壁を作っても製品がなくなるわけで、その製品しか守れない特許は不要になります。

そういう意味では、特許で利益を出すには、製品のマーケティング的な成功が前提になります。

しかしながら、商品開発で成功するのは1000に3つとか言われ、すると全部に特許出願すると1000件の特許出願になり、そのうち製品としてヒット商品になるのが3つになります。

その場合、費用的には、1000件の出願費用が30×1000で約3億円、ヒット商品が100億売れて、利益が10%で10億円の利益、このうち、独占販売による利益が100%なら10億ー3億で7億円のプラスになる、とも言えます。

そういう意味では、わずかなヒット商品であっても数十億規模の売上が得られるのであれば、特許出願はコスト対効果がプラスになる、とも言えるでしょう。

しかし、私はそれだけでは十分特許で利益を生み出しているとは言えないように思います。やはり、特許は侵害警告や侵害訴訟で使ってこそ抑止効果があるので、知財部としては、侵害を発見したら、それを止めさせるために特許を活用すべきではないかと考えます。

米国の特許訴訟では、、数十億円以上、時には1000億円以上の賠償金を請求されることもあります。日本でもそうした巨額の賠償訴訟があれば、特許部(知財部)が何百億円稼いだ、ということでプロフィットセンターのような立場になれるのではないでしょうか?

もちろん、日本は訴訟文化の国ではないですし、会社の方針として自分から侵害訴訟はしかけない、受けて立つだけ、という方針の会社であれば、また違った形でも特許権活用の方法があると思いますが。

ただ、特許は持っているだけで無言の抑止効果がある、という面もあるので、そのあたりを考慮すれば必ずしも訴訟まで持っていかず、警告状だけで止めさせられればそれに越したことはないのかも知れません。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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