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特許収入だけで生活できるか?生計を立てるマーケティング戦略

特許収入は究極の不労所得(不労収入、受動所得)の一つです。不動産収入、印税収入も不労所得で、このような何もしなくてもお金が入って来る仕組みを作り、それが生活費を上回れば、もう生活のために働く必要はありません。これは、ロバート・キヨサキの金持ち父さん、貧乏父さんの本に書いてあることです。

特許収入やアイデアで稼いだ例としては、主婦が洗濯機の糸くず取りで3億円の特許ライセンス収入、初恋スリッパで15億円の売上、小学生が犬の糞取り器で年商1千万円などが話題になりました。

最近では、日本の個人発明家がアップルを特許侵害で訴え、3億円の損害賠償を勝ち取ったのも有名です。

他にも、大学教授が特許ライセンスで数百万円~数千万円(海外では700億円以上のライセンス料を得た大学教授もいます)、ベンチャーで株式公開(IPO)して資産10億円、など、発明を特許出願し、大儲けした話はよく聞きます(厳密には初恋スリッパは特許出願などはされてなくてネーミングとマーケティングでの成功事例です)。

それでは、こうした僥倖のような幸運に恵まれない普通の一般人でも、発明をしてその特許収入だけで、暮らしていけるのでしょうか?私はきちんと発明に取り組めば不可能ではないと思っています。おそらく多くの人は1つ発明してうまく行かなければ諦めてしまうのではないかと思われます。売れるヒット商品が出るまで継続して発明し続ければいずれ売れる発明ができるはずです。

そうは言っても現実には、普通の会社員などで日本で特許収入で億万長者になった人はそれほど多くはないと思われます(企業の研究者で高額の報奨金を得た人は除く)。

特許収入だけで生活するには、最低でも年収500万程度は必要でしょう。自宅があれば、家族がいる場合は、年300万円程度、独身で1人暮らしなら年200万円以下でも可能かも知れませんが。

ライセンス収入で年間500万円を得るにはどのくらいの売上が必要でしょうか?

医薬等であれば、ライセンス料20%のこともありますから、年間2500万円の売上があれば、年収として500万円のライセンス料が入ることはあり得ます。しかし、それは例外的で、例えば、酵素等の分野では0.5~1%のライセンス料ですから、同じ売上だと年間12.5万円~25万円程度の収入にしかなりません。電気関係の特許ではもっと安くなるかも知れません。もっとも、家電製品などは売上げが多いので、数百億円売れれば、0.1%でも、数千万円のライセンス収入になり得ます。

医薬特許の場合、最近ではブロックバスター、つまり数千億円規模の売上の医薬が多いですから、そういうのを発明した研究者は莫大な特許報奨金をもらっていると思われます。数千万円~ものによっては億をもらっている人もいるかも知れません。そういう人は特許の報奨金だけで生活できるでしょう。ただし、大企業の研究者で数年に1人~数人程度だと思われます。

そういう医薬は年間数千億円の売上とすれば、報奨金が0.1%だとしても、ライセンス料は数億円になります。

そういう人は会社の上司よりも多くの収入があるでしょうから、何も怖くないと思います。というより、数年間で生涯年収を特許ライセンス収入だけで稼げるでしょうから、いつでもリタイヤして好きなことをやって暮らせます。

一方で、電気系や機械系の発明の場合は1つの特許の価値が低いことも多いです。1つの製品に数千個の特許が関与している場合もありますから、1つあたりのライセンス料は低くなります。売上げに対して、発明の寄与度をかけて算出する場合、寄与度が低いとライセンス料も低くなります。

例えば、機械の場合、売上の3%とかがライセンス料になります。すると1000億円売れた場合、30億円がライセンス料。そのうちの0.1%が寄与度だとすると、発明者がもらえるライセンス料は300万円になります。これでもかなりいい臨時収入ではありますが、機械で数千億円売れるものはそれほどないでしょうから、実際にはもっと少ないと思われます。

そういう意味から考えれば、医薬や化粧品、健康食品などの高いライセンス率のジャンルの発明をするのも一つの考えでしょう。海外の大学でもバイオテクノロジーや医薬発明でのライセンス料が多いです。ある大学は医薬(エイズ関係)の特許群を500億円で売却しました。その資金で他の医薬のパイプラインを8つくらい立ち上げていました。アステラス製薬がパイプライン4つに絞った頃の話です。つまり、アメリカの大学の医薬品パイプラインの方が日本の大手製薬企業よりも2倍も多かったわけです。いかに米国の大学のTLOがすごいかわかりますね。

さて、特許ライセンスで稼ぐには、根本的な話として、売れる発明をする必要があります。売れる商品が発明できれば、特許出願してライセンス料で生活することが現実にできると思われます。もっと言えば売れる製品を出せれば、仮に特許がなくても収入は得られます(特許があった方が有利であることは間違いありませんが)。

あるいは、うまくマーケティングすれば、大したことのない発明でも売れます。そうしたマーケティングセンスがあれば、特許があろうがなかろうが、製品がすぐれていようが、大したことない製品だろうが、売上が上がりますから、それで収入が得られます。

マーケティングがうまければ、特許を取らなくても市場シェア1位を取れることは、初恋スリッパの例からも明らかでしょう。あるいは、飲料等では、ネーミングや味だけでシェアを上げることができます。例えば、CCレモンや鉄骨飲料とかは単にビタミンCや鉄キレートが入った飲料ですが、CMがうまかったために非常に売れました。

それよりもさらに重要なのが販売力です。販売力とは腕のいい営業マンをどれだけ抱えているか、のようなものです。セールス力の強い部隊を持てば売上げは上がります。斉藤一人さんという納税額日本一の銀座まるかん社長も強いセールスマンの部隊を持っているそうです。

そういう意味で、飲料の場合、最も売れるのは自販機が一番多いメーカーです。自販機=営業マンみたいなものですから。

そして、販売力さえあれば、技術的にそれほど優れていなくても売れます。目隠しテストではクラウン・コーラやペプシ・コーラの方がコカ・コーラよりもおいしい、という結果が出ていますが、それを知っていても多くの人はコカ・コーラを選びます。

食品の場合は慣れ親しんだ味(懐かしい味)の方が売れるという面もあります。そういう意味では食品で全く新しい味のものを売るのは難しいときも多いです。そのあたりはテストマーケティングをして調査してから全国展開するというやり方もあります。

最近では、リーン・スタート・アップというのが有名ですが、これは小さなテストを始めて、どんどん改良を繰り返していって、売れる商品を作る、というものです。シリコン・バレーではこの方法がいいとされています。

最初はちょっとした工夫をして商品を開発し、その反応を見て、改良し、またテスト販売して、そのフィードバックをもらって改良して、と繰り返していくといずれ売れる商品が開発できる、というやり方です。

これは、一般の発明の場合も当てはまります。最初の発明をしたら試作して、効果を確認し、さらに効果が高くなるように改良する、ということです。これは、中松義郎氏もやっている方法です。ケチョウスピゾケピケアイキの中には改良も含まれています。

まとめると、特許で稼ぐためには、特許を取れる発明をすることと、マーケットがあることの2つが最低必要です。いくらすごい技術で特許を取っても素粒子の特許では稼げるまでに100年はかかると言われています。逆にちょっとした工夫で特許を取って大儲けした洗濯機の糸くず取りの事例もあります。あるいは、犬の糞取り器もその1種でしょう。

ですから、発明の高度性と売れるかどうかは必ずしも関係ないです。ノーベル賞ものの大発明でも売れないものも多いですし、たわしのようなものでも莫大な売上になったりします。

ですから製品が売れるかどうか、というのがまずあって、そこに特許が取れる技術が必要なら開発すれば特許で儲けることができます。

市場がない製品を開発して特許を取得してもその特許は単なるコストにしかなりません。売上があがらないからです。

売れさえすれば、キャッシュが入りますから、さらにその発明品を改良することもできます。

ですから、まずはマーケットがあることを前提に技術開発をして特許を取得することで、特許収入だけで生活できるようになるでしょう。

特許収入で生活できるようになるコンサルティング

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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