弁理士を指名して特許出願を依頼すべき
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特許申請(特許出願)を弁理士に依頼する場合、特許事務所だけ決めて、どの弁理士に依頼するかは事務所に任せる会社や人も多いと思います。
しかしながら、大手の事務所ですと腕のいい弁理士は既に大手のクライアントがついていて忙しく、あまり経験のない新人弁理士は仕事が少なく暇なことが多いです。
すると、弁理士を指定せずに特許事務所に特許出願を依頼すると、1,2年前に弁理士になった人が担当になったりします。そういう弁理士は経験が不十分ですから、いい明細書が書けない場合もあり得ます。場合によっては、知財部員の方から基本的なこと(判例など)を教えてあげる必要があったりします。
ですから、特許事務所に特許出願や特許調査、拒絶理由対応、拒絶査定不服審判、無効審判対応、訴訟等を依頼する場合は、弁理士名を指定して依頼すべきです。弁理士によって全然レベルが違いますから。事務所も弁理士を指定された場合、コンフリクト(利益相反)が無ければその弁理士を担当にしてくれます。
もし、弁理士を指名できない事務所があるとすれば、その事務所はおかしいです。好き嫌いで仕事を割り振っている独裁的なボスがいる事務所かも知れません。そういう事務所は品質にあまり力を入れず、明細書もコピーペーストみたいな形式のみ整えた明細書を書く可能性があります。
私も昔、大学からある大手事務所に出願を依頼したところ、基本的なことを知らない弁理士に当たり、ほとんどこちらが教えるような形になってしまったことがありました。大手だからと弁理士を指定しなかったために、1年前に入って、あまり明細書を書いた経験のない弁理士が担当して苦労しました。
会社員時代にも、数百人いる特許事務所に依頼したとき、特許庁の元審判官の方が明細書を担当されたのですが、あまり明細書を書いたことがなく、審判が得意な方だったようで、明細書としてはあまり素晴らしいものではありませんでした。
弁理士の役割としては、明細書は、研究者の科学技術を法律的な権利に翻訳することだと私は思っています。ですから、科学技術の知識、法律知識の両方を熟知して、しかも、最新の国内外の判例を熟知して作成する必要があります。場合によっては、将来の法改正の方向性まで予測する必要があります。
しかしながら、弁理士の能力には個人差があり、それができる弁理士もいればできない弁理士もいます。
ですので、特許事務所に仕事を依頼される場合は弁理士名を指定して依頼するのがよいと思います。というより、弁理士を指定することが必須と言っていいでしょう。
ただ、弁理士を指定するといっても、弁理士の腕がわからないと指定のしようがありません。そのような場合は、いくつかの特許事務所に依頼してみて、一番腕がいいと思った弁理士に依頼するのがよいです。
個人の方の場合は、そんなに大量に特許申請しないでしょうから、その弁理士の経歴、得意分野、博士号を持っているか、大学の教授等をやっているか(いたか)、政府の委員をやっているか(いたか)、委員会活動をやっているか(いたか)などを総合的にみて信頼できると思える弁理士を選べばよいと思います。
ただ、弁理士も他に仕事がないというわけではなく、常に数件から数十件の案件を並行して処理していて、あなたの案件だけをやっているわけではありません。他の会社や研究所、個人などの緊急な案件とか、期限が間近な案件などを常に抱えています。
ときには、その会社の重要な商品(例えば、売上数百億円など)に絡む特許権の無効審判や異議申立事件、あるいは侵害訴訟事件に関わっている場合もあり得ます。
そうしますと、必ずしも、すぐに返事が来ない場合もあり得ますから、スピードが速いからいい弁理士とも限りません。むしろ暇な弁理士かも知れません。
そういう意味では、単に一番対応が早かった弁理士を選ぶのではなく、様々な視点で弁理士を比較して、一番自社に向いていると思われる弁理士を選ぶことをお勧めします。
また、分野毎に依頼する弁理士を変えるのは当たり前です。例えば、地方にはバイオテクノロジーをあまり知らない弁理士がバイオの出願をしていたりします。そういう場合は遠くても、都会の弁理士事務所に依頼することをお勧めします。今は電話、メール、インターネットだけでも十分いい明細書を作成することが可能ですから。
当所も一度も会ったことのない方が鹿児島県から北陸地方あたりまでいます(なぜか当所は東北地方や北海道のお客様はおられません)が、問題なく出願し、権利化もできています。
ただ、ものすごく重要な案件は、できれば、直接会って議論する方が好ましい場合はあり得ます。その場合は、必要に応じて出張可能ですので、その旨ご連絡いただければ、と思います。
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