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特許法の職務発明制度の改正にノーベル賞中村修二教授が猛反対

特許法の職務発明規定が改正される方向で動いています。これは、従来は発明は発明者帰属なのを会社が譲り受ける形だったものを、改正して、最初から会社のものにする、という法改正です。

従来のように発明者に帰属させると、後から高額の職務発明訴訟を起こされるおそれがあるので、会社にとってリスク要因になる、というのが会社側の言い分で、それをそのまま法改正に反映させる、ということのようです。

これに対して、発明者側の従業員は特許庁や政治家に圧力をかけることもできませんから、せいぜい組合を通じて会社に文句を言う位でしょう。それも御用組合ではほとんど意味がありませんが。

しかしながら、今年のノーベル賞を受賞した中村修二教授が、この法改正に猛反対しているそうです。なぜなら、これ以上発明者をしいたげるような制度にしたら、日本からいい発明がでなくなるでしょうし、アメリカのように優秀な発明者がベンチャーを作れる風土がない日本では優秀な発明者が冷遇されることになる、ということなのかも知れません。

優秀な発明者は正しいことを正しい、と言う人も多く、例え上司であっても、間違っていることは間違っている、という人も多いです。すると上司はそうした発明者を煙たがり、自分のいうことは間違っていても何でも言うことを聞く茶坊主のような部下をかわいがるようになることも多いです。

そうした場合、優秀な研究者がすばらしい発明をしそうになれば、可愛がっている部下をそのチームに入れ、手柄をたてさせたり、成果を横取りさせたりする場合もありえます。

日本企業では優れた発明者であっても冷遇される場合があります。中村修二教授の場合が好例でしょう。世紀の大発明をしたのに、所長に祭り上げられ、ほとんど部下のいない閑職においやられたそうです。それは社長との関係が悪かったからだそうです。

こんな状況の場合、米国であればすぐに他社に引き抜かれ、また活躍の場が与えられます。しかし、終身雇用の日本では簡単には転職しにくい面もあります。最近は徐々に改善されては来ていますが。

そういう状況では、発明者を正当に評価させるには、職務発明訴訟しかないのかも知れません。それがなくなればどうなるか?

最近の若い研究者は、あまり自己主張せず、どうしてもこのテーマをやりたい、という気骨のある人は少ないそうです。そんな中で職務発明でも争えなくなるとすれば、必死になって大発明をしてやろう、という研究者はさらに減ってしまうのではないでしょうか?

ただ、ベンチャーが増えて、転職が容易になれば、こうした問題は少なくなるので、ベンチャーで成功者が出てきて、そういう人がエンジェルになってまた新規ベンチャーが成功する、というサイクルができてくればこうした問題は解決できるのかも知れません。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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