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出願審査(拒絶理由通知)への対応時の面接審査

特許出願して、3年以内に審査請求すると、いきなり登録査定(特許査定)になることもあれば、拒絶理由通知が来ることもあります。

拒絶理由が来た際、拒絶理由の意味がわかりにくい場合もあります。審査官の文章が抽象的で非常に短く書かれている場合などは、出願人や代理人も特に誤解しやすいと思われます。

誤解に基づいて反論を書いても拒絶理由は解消しませんから、その場合は、次の段階で拒絶査定が出る可能性もあります。拒絶理由なら普通に意見書、補正書で対応できますが、拒絶査定が来れば、審判で争うことになり、費用も余計にかかります。

審査では審査官1人ですが、拒絶査定不服審判では審判官3人が相手となり合議で判定されますから、より客観的で合理的な判断が出るのでいい面もありますが。

拒絶理由を誤解する可能性がある場合は、当所では特許庁審査官に問い合わせることにしています。簡単なことであれば、電話インタビューで聞けば教えてもらえます。複雑な事情があれば面接やインターネット面接で技術説明をしながら、拒絶理由の意味を聞くことも可能です。

拒絶理由が非常に明確で、こう反論すれば確実に特許査定が出る、とわかる場合や、審査官から補正の示唆があり、このように補正すれば拒絶理由は解消する、と書かれている場合は、わざわざ審査官に面接する必要がない場合が多いです。

しかし、それでも、補正の意味がよくわからなかったり、具体的に書かれてなくて、どう補正したらいいかわからない場合は、審査官に電話インタビューして聞くのがよいです。あるいは、補正案をFAXして事前に確認をもらっておけば確実に特許になります。

といいたいところですが、実際には、面接審査で審査官がこれなら特許にしてよい、という心証を開示したとしても、その後、別の拒絶理由を発見することも稀にですが、あります。

本来、審査官は、すべての拒絶理由を最初の拒絶理由で書くべきですが、実際には、後から他の拒絶理由を見つける場合もあります。単純に見落としている場合もありますし、他の文献を見つけたりする場合もあります。

その場合は、せっかく面接審査して、審査官のいうとおり補正をして、なおかつ拒絶理由が来る、というかなり理不尽なことになります。

もっと理不尽なケースでは、審査官のいうとおりに請求項を削除して他の請求項についても補正したにもかかわらず、拒絶査定を出していいか?と言ってくる場合です。

実際そういうケースがあったのですが、これでは何のために面接審査をして、審査官のいうとおりに補正する意味がありません。

このケースでは、さすがに、審査官にそれは無いでしょう、と強く言って、拒絶理由を出してもらい、補正して最終的に特許になったので何とかなった面はあります。

とはいえ、さすがに、審査官がこう補正すれば特許になる、と言われてそのとおりに補正して、拒絶査定を出していいか?と言われたときは衝撃でした(笑

笑い事ではないですね。出願人はその特許にかけているわけですから、私も真っ赤になって怒りまくりました。

他のケースでも、審査官のミスで変なことが起きたことがあり、そのときも、非常に特殊なやり方でやり直してもらい、こちらの希望どおりの権利を取ることができました。

審査官の人間ですから、こう補正すれば特許になる、とそのときは考えていてもその後考えを変えたり、上席審査官(スーパーバイザー)の意見により、方針を変更したりすることはありうる、ということです。

また、制度がおかしかったり、審査官が多数決で白黒決める場合もあるようです。例えば、7人で議論して、4:3で拒絶されるケースもあり得ます。こういう場合は、審判、訴訟に持っていけば勝てる可能性もあると思われます。

拒絶理由通知が来た場合、意見書、補正書を提出して完全に自信を持って反論できる場合はよいですが、複雑な理論を説明する必要があったり、審査官の誤解を解くために文書で説明するのが煩雑なときは、面接審査をする方が早いです。

審査官も発明者との面接を好む場合も多いです。特に発明者が大学の先生や企業のベテラン研究員であれば、審査官の有益な情報が得られる面もあるでしょう。

それに、直接話を聞けば、わからない部分があっても、すぐ聞けるので疑問が即座に氷解し、どういう補正をすれば特許査定が出るか、もわかるので、書面で何回もやり取りをするよりも、迅速な処理が可能です。

もっとも、東京近郊の特許事務所ではなく、北海道とか、九州の事務所、あるいは関西の事務所などに依頼している場合は、東京まで面接に行くと1日仕事になりますし、旅費や日当も必要になりますから、下手すると、意見書、補正書提出の2倍位の費用がかかります。(と言っても1回できれいに片付くのでその方が結局は安いと個人的には思いますが)

そういう場合は、審査官が地方に来る巡回審査というのがありますから、それを利用するとよいです。京都とか、関西に来てまとめて面接審査をしてくれる場合もあります。

もっと簡単には、電話インタビューで相談すればそれで結論が出る場合もあります。

そういう意味では、書面だけでなく、電話インタビューを活用して審査の対応をするのがよいと思われます。電話インタビューであれば、直接特許庁に出張する必要もなく、時間もあまりかかりません。

ただ、将来の訴訟対応を考えると、本当は何も提出せず、包袋にはできるだけ何もないのが理想ではあります。そのためにも特許庁に行って面接し、その場だけで審査官に見せるデータを出し、それにより特許査定をもらい、包袋にはそのデータは残さない、というようなことができると理想的です。

そういう意味でも、将来の訴訟を考えても、特許庁での面接審査がお勧めです。

2016年8月23日追記

その後、特許庁は新しいTV会議システムを導入し、インターネット回線とウェブカメラなどがあれば、最大10台を接続してTV会議形式で面接審査ができるようになりました。これにより、地方の企業や発明者もわざわざ東京に出張しなくても、自分の会社や研究所、自宅から特許庁のTV会議システムに連結し、面接審査を受けられるようになりました。

これにより、例えば、出願人が九州で、特許事務所が大阪のケースでもそれぞれが自分の会社や事務所からインターネット回線を通じてTV会議システムにアクセスし、特許庁と3者間で直接顔を見ながらディスカッションできることになりました。ぜひこれを活用されることをお勧めします。

 

平成25年4月に、特許庁は、特許庁と各特許室をISDN回線で結ぶ従来のテレビ会議システムを廃止し、インターネット回線を利用した新たなテレビ会議システムを導入しました。これにより、特許出願人等が自身のPCから面接審査に参加して、審査官とコミュニケーションを図ることが可能となりました。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/telesys_mensetu.htm

 

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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