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特許出願と先行技術調査

特許出願や実用新案登録出願を依頼する人の中には、特許になるかどうか、登録されるかどうかとても気にする人がおられます。

企業であれば、専門家もいますから、先行技術調査をやればある程度はわかりますが、素人が特許庁電子図書館で調べても本当に全部見えているのかは不明です。

キーワード、国際特許分類、FI、Fタームなどを自由に使いこなせる10年位やっているベテラン・サーチャーでも漏れ、抜けは必ずある、と断言しています。

そういう意味では初めて調査して、完全に全ての先行特許文献を見つけられることはまずあり得ません。

それに今は、世界公知ですから、例えば、アルゼンチンの田舎の手書きメモにその発明が書かれていたら、新規性はないわけです。しかし、日本の特許庁の審査官はそこまでは調査しませんから実際問題としては、インドのアーユルヴェーダとか、中国の本草綱目とかまで調査することはないでしょう。

いずれにしても、そういうところまで調査しないと完全なことは言えず、特許になるかどうかは出してみなければわからない面はあります。そういう意味では確実に特許になるかどうかはわかりません。しかし、それを何度説明してもわからず、3回位全く同じような質問をして来られる方もおられます。

もちろん、弁理士は法律の専門家ですから、特許の対象となる発明かどうか、つまり、法律的に特許される対象の発明かどうか、は簡単にわかります。例えば、人体を必須の構成要件とする発明は特許されませんし、医薬発明も日本、欧州などでは特許されません。そういうのは瞬時にわかります。

しかし、先行技術があるかないかは、いくら調べても絶対的なことは言えない、ということです。調査対象が無限ですから。そういう意味ではある程度のことしか言えません。簡単には見つからない、おそらく無い、程度です。

100%無い、と言い切るには、上述のように世界中の文献を全部調べる必要がありますから非常に時間と費用がかかります。しかし、ちょっと調べてすぐにズバリがヒットするかどうかは調査する価値はあります。そして、そういう調査をやってとりあえず出願する、というのが大企業の実務だと思います。

しかし、もし完全な調査をやろうとすると、いろんな国の言語の文献を調査する必要があるので、その部分は現地人に依頼せざるを得ません。そうすると1カ国あたり、ものすごく安い国で数万、普通は数十万、高い国は100万円以上かかり、総額で数百万円から数千万円、翻訳料も入れると億以上かかる可能性もあります。

特許出願費用が30万円として、これが無駄になる可能性を調査するのに数千万円かけるのは変ですよね?30万円が無駄になるかどうかの調査に数千万円かけるよりも、リスクを30万円(+審査請求料)にとどめておいて、残りの予算でさらに新出願する、という考えもあるでしょう。大企業は大体こちらです。

それに、実際にテーマをやっていたら予想外の成果が出ることもあるので、先行技術があったとしても、その研究をやる価値はあるわけです。そういう意味では研究企画時の調査は徹底的にやって研究を止める、というようなやり方はあまりやりません。

ただ、事業に参入するかどうかを判断する場合は、ある技術を使うと他社の特許侵害になることが確実な特許が存在し、それを回避できず、しかもライセンス料を支払えないというような場合は、事業参入を諦める、という判断もありえますから、十分な調査が必要です。

このように、特許になるかどうかは、出願してみないとわかりません。しかし、ざくっと言ってしまえば、拒絶理由に対応できれば特許にはなります。その特許がどこまで広くできるかは先行技術のレベルにもよりますが。

つまり、拒絶理由対応がうまい弁理士、拒絶理由にうまく対応できる特許出願明細書を書ける弁理士に依頼すれば特許になる可能性は格段に上がります。大平国際特許事務所ではその点に留意して、拒絶理由が来た場合に補正したり、反論できるような明細書の書き方をしています。

さらに、審査官の拒絶理由に対して、それを真っ向から一刀両断するような反論ができる腕もあります。私の事務所では、妖刀「村正」のような、最高の切れ味の反論を書くように心がけていますから通常では特許にならないような拒絶理由がきてもあっさり特許になることもかなりあります。

そういう意味でも当所に依頼されることをお勧めします。

もちろん、特許になると言っても、ものすごく狭い特許が取れても、他人はエスケープし放題なら意味がないです。戦略的に、実効性のある特許を取得する必要があります。

あるいは、特許出願している、というだけで、他社の参入を抑制できれば、後に特許にならなくても、それなりの効果は得られています。特に商品のライフサイクルが3年以内の業界であれば、特許出願しても、特許になる頃には、その商品はライフサイクルを終えていますから、特許になるかどうかは関係無いとも言えます。

逆に医薬品のように、製品になるまで10年以上かかり、1つの医薬で数百億~数千億円の売上げがある場合は、絶対に特許にする必要がありますし、その1つの特許から得られる収益も数千億円~数兆円になる場合もあります。

つまり、特許になるかどうかについては、対象となる業界、商品、サービスによっても変わってきます。そうした戦略面も含めてどういう知財を取得するのがお客様にとってベストか?を常に考えて日夜最高レベルの改善に励んでおります。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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