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欧州特許出願の予備的請求(Auxiliary requests)

 2014/05/13 米国特許庁 欧州特許庁 USPTO EPO CAFC
この記事は約 3 分で読めます。 12,133 Views

欧州に特許出願した場合、最初に欧州調査報告(サーチレポート)が来ます。このときから応答に予備的請求(Auxiliary request、副請求ともいう)が使えます。

予備的請求(Auxiliary request)とは、補正案を何個も出せる制度です。この場合、一番広いものから順に減縮した案を作成して提出します。それぞれ全く異なるクレーム案をいくつも出せるというわけではありません。また、異常に多くの案を出すと拒否される場合もあります。

通常は、3~4程度、複雑な事案なら20個程度までは出せる可能性があります。

特許出願人としては、一番欲しい広い権利から順に減縮した補正案を作り、それぞれのセットに対して審査官が特許性を判断していきます。あるいは、意見書のみでの応答、次に減縮補正、さらに限定した減縮補正などの案を出すことができます。

これにより、何度も応答せずに1回で全ての案を出すことができ、審査の促進に役立つと考えられます。

上から順番に審査して行って、どれかの案で特許性有り、となれば、それ以下の予備的クレーム(Auxiliary rclaims)は審査されません。

この制度は、審査官が審査をよりやり易くするためのものだそうです。

しかしながら、最初から減縮した案も出すので、審査官も、これなら簡単に特許査定を出せる、というクレームを見ながらその上位のクレームを審査するので、最初から落としどころを見透かされる恐れがあります。

とはいえ、Auxiliary claimsを3つ位提出してもことごとく、拒絶理由が解消しない、と言われることもあります。そういう場合は、何度もAuxiliary claimsを提出することもあります。

例えば、口頭審理召喚通知が来た場合は、かなり先に口頭審理日が設定されており、それまで何回もAuxiliary claimsを提出しても拒絶理由が解消せず、結局口頭審理の場で特許になったケースもありました。

また、単なる限定的減縮であれば、Auxiliary claimsを使わなくても、従属クレームで限定していくことも可能です。

予備的クレーム(Auxiliary claims)を使う場合、補正案、意見書案もセット毎に作りますから、それだけ費用がかかることになります(欧州の代理人はタイムチャージの場合も多いですから)。

予備的請求(Auxiliary requests)をすべきかどうか迷ったら、欧州の代理人に聞くよう担当の弁理士に依頼するのも一つの方法でしょう。微妙なケースなら的確なアドバイスをしてくれると思います。

大平国際特許事務所でも予備的請求(Auxiliary requests)による対応も可能ですので、お気軽にご相談下さい。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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