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特許(知財)部員が発明した場合、特許出願人や発明者に入るべきか?

企業の知財部員が発明をすることはありうると思います。

例えば、私が以前勤務していた会社では、特許部員(元研究者)が研究所に行ってLC-MSMSやNMRを使って、発明の有効成分の分子構造を特定して出願したこともありました。知財部員が研究所に半年位出張して特許出願に必要なデータを出して特許発明を完成させたわけです。このような場合はこの知財部員が発明者に入るべき、と思うのですが、なぜか入りませんでした。このケースは訴訟すれば発明者に入れるような気がします。

また、知財部が専用の研究室を持っている会社もあると聞いたことがあります。理論的には、発明をブラッシュアップしたり、完成させるのに知財部員の研究が有効な場合もあると思われます。知財部員の多くは元研究者や開発部員であることも多いので、実験をやりたい知財部員も多いような気もします。

それに発明者は一度発明が完成すれば(1点でも成功データが出れば)、それについてさらなる補強データを細かく取るよりも、別の面白いテーマに移りたがる人が多いです。研究テーマも複数平行して走らせていることも多いですから、特許用に再度データを取り直すのはやりたくない、という研究員もいます。そういう意味でも知財部員が周辺データを固める役割を果たせば、発明が好きな研究者にとっては助かると思われます。

このような知財部員の場合は実際に実験に関わっているので、発明者に入ることは抵抗がないと思われます。

では、研究者の発明を特許部員(知財部員)がブラッシュアップして、このような実験を追加したら、このような全く異なる画期的な発明ができる、とアイデアをアドバイスし、研究者がそのアドバイスに従って実験し、データを出して画期的な特許を出願できたとします。

この場合の知財部員は果たして発明者になるのでしょうか?

吉藤先生の特許法概説では、発明者でない者の例として、単なるテクニシャンや単なる一般的な助言をした管理者などをあげており、発明者とは、アイデアを出した人か、実際にデータを出した人(発明を具現化した人)、という定義になっていたと記憶しています。若干表現は違うかも知れませんが、本質はそうだと思われます。

とすれば、アイデアを出し、それが発明につながったのであれば、吉藤説によれば発明者に該当します。ですから、特許部員がアイデアを出し、それが新規な発明につながったのであれば、理論的には、特許部員も発明者に入ってもおかしくありませんし、法律上、むしろその方が正しい扱いのような気がします。

それを裏付けるように、特許部員が過半数の特許出願の発明者に入る、という会社も現実にあるようです。

しかし、一般的には、知財部員が発明者に入る会社は少数だと思います。

一般に研究者の方が優秀で、特許部員はそれより下、と考えている研究者もいますから、そういう人にとっては、知財部員が発明者に入るのはおかしい、と感じることもあり得ます。

また、知財部員が研究開発まで出しゃばるべきではない、という元知財部長もおられました。

しかし、もし、知財部員が研究者出身で、若い研究者よりもずっと優秀な研究者であれば、本来、その知財部員のアイデアが新たな発明につながることは十分ありうることです。とすれば、そのような場合は知財部員を発明者に加えるのも法律上はもちろん、条理上もおかしくないと思われます。

そうすると、研究者(発明者)として優秀な知財部員は発明者に入れるが、大したアドバイスができない知財部員は発明者には入れないことになりますが、そこは個別具体的に知財部員が発明に貢献した事実を検討して判断すればよいと思います。

そうすれば、以前は研究所で使い物にならなかった研究者のおじ捨て山的な扱いで、特許部に行くのが嫌でたまらなかったような人でもやる気になるかも知れません。アイデアを出してそれが特許になれば給料以外に発明報償金を得られる可能性があるわけですから。知財部員のモチベーションアップという意味でも知財部員を発明者に入れるのは有効かも知れません。

では、特許事務所の弁理士が、発明者のデータ解釈の切り口を変えて、全く新しい分野を拓く発明コンセプトに変えた場合は、どうなるでしょうか?上記の理論から言えば、その特許事務所の弁理士も発明者に入ってもおかしくない、ということになります。実際、弁理士がクライアント様から発明者または出願人に入って下さい、とお願いされる場合もあるようです。

ですから、実験者とそれをブラッシュアップする知財部員や特許事務所の弁理士との関係を考えると、法律論から言えば、知財部員や弁理士が発明者に入ることもありえなくはありません。

ただ、弁理士の場合はお金をもらって明細書を書くのが仕事ですから、その過程で発明をブラッシュアップすることも料金のうちに入っていて、弁理士がした発明は明細書作成料を対価として会社に譲渡する、という論理もありえます。

大平国際特許事務所ではほぼそれに近い考えで、発明者様からの提案をさらにブラッシュアップして、全く違う切り口の特許請求の範囲を提案することもあります。しかし、それについては、現状、発明者(もちろん出願人にも)に入ることはしておりません。

が、もし、クライアント様が、発明者や出願人に入って欲しい、という場合は検討させていただきます。

その場合のメリットとしては、出願人に入れば、共同出願になるので、持ち分に応じた負担となるので、特許出願費用が安くなる、というメリットがあります。

また、弁理士が出願人や発明者に入った場合はその後の展開によっては、出願以外の事業収入や、ライセンス収入が見込めるので、通常の特許よりも当事者意識が強くなり、その特許のマーケティングや事業化により高いレベルの知恵を出せるかも知れません。

そういう意味で、特許部員や弁理士を発明者に加えることは、その特許を強化する方向に働く可能性があると思われますので、発明者も一考の余地があると考えます。

もちろん、発明者が増えれば、特許報償金の分け前が減る面はありますから、近視眼的に見れば発明者を増やさない方がいいかも知れません。しかし、弁理士や特許部員が戦略面やビジネス面に優れた人であれば、共同発明者に入れておいた方がその後の事業化がスムーズに行き最終的に売上げが何倍にもなるケースもないとは言い切れません。

そのあたりは、弁理士や知財部員のセンスを見て決定すればよいと思われます。

例えば、どうしても海外出願して権利化したい場合は、担当の知財部員を発明者に入れておくと、外国出願や各国移行の際に知財部で通りやすい、などの事情があれば、知財部員を発明者に入れるのも一つのやり方でしょう。とはいえ、全員がそれをやり始めると優位性がなくなりますが。

大平国際特許事務所では弁理士が出願人や発明者に入ることも可能ですので、もしご希望の方がおられればお気軽にご相談下さい。もしかしたら弁理士の知恵により、大発明が出るかも知れません。

それ以外のメリットとしては、モチベーションが上がるので、非常にいい明細書が書け、強くて広い権利が取れる、という可能性もあり得ます。

上記のような出願形態にご興味のある方はお気軽にご相談下さい。発明者と弁理士で発明をブラッシュアップすることで、より売れる発明にすることも可能な場合もあり得ます。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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