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欧州統一特許(Unitary Patent)と欧州統一裁判所

 2017/10/25 米国特許庁 欧州特許庁 USPTO EPO CAFC
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欧州特許が2015年位から欧州統一特許(european unitary patent)に変更できるようになりそうです、と、約4年前の2013年11月29日に書いたのですが、2017年10月25日にドイツの代理人弁理士が来ていうには、イギリスは批准の意思表示をしましたが、ドイツは異議申立中で、これらの2ヵ国も批准して、欧州統一特許制度が発効するには、まだ数年はかかるだろう、とのことでした。

ですから、以下に書いたことが実現するには、まだしばらくかかりそうです。

それというのもドイツの最高裁は、他の裁判所がドイツ最高裁の決定に影響を与えることを認めない立場だそうです。

欧州統一裁判所ができて、そちらの判決が各国の最高裁の判例に影響を与えたり、判決に拘束力を持つのは各国の最高裁としてはあまり好ましいことではないでしょう。

それ以外にも、BREXITの影響やその他の問題があるので、欧州統一特許制度が発効するにはまだ相当の期間がかかるだろう、とのことでした。

私もクライアントに欧州統一特許を勧めていたのですが、予定よりも遅れそうです。

欧州統一特許への変更とは、特許出願が登録査定になり公報が出てから1カ月以内にvalidationの手続きをすれば、欧州特許が欧州統一特許に変化するというものです。

ですから、特許出願の審査はこれまでと全く同じです。登録後に従来どおりの欧州特許を選択するか、欧州統一特許を選択するか?を選ぶ必要があります。

オプトアウトというのをやると、欧州統一特許にならずに済みます。

欧州統一特許の場合、裁判管轄が決まってしまいますし、セントラルアタックのように1回負けると全部消滅してしまいます。

欧州特許の場合は、各国の権利なので、ある国では無効になったけど、別の国では有効、ということもあり得ます。

そういう意味では、欧州統一特許が全ての面でメリットがあるわけでもなく、用途に応じて選択すべきでしょう。

例えば、ある特許出願は何とか特許になったけど、無効審判で無効になる確率が高い、と判断すれば、従来型の欧州特許にして各国毎に権利化するのも一つの考え方でしょう。

ただ、税関で水際で差止めしたい場合は、欧州統一特許にしておけばベルギーも自動的にはいりますから、アントワープの港で差止めできるので効率よく水際規制ができます。しかし、そうでない場合は、かならずベルギーに国内移行しておく必要があります。

欧州統一特許のもう1つの問題は、特許の維持年金です。25か国分の年金を支払うとすると、1か国1万円でも25万円になります。企業にとっては大した金額ではないですが、中小企業にとってはかなり苦しいと思います。この維持年金がいくらになるかによって欧州統一特許が利用されるかどうかが決まりそうな気もします。

 

 

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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