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iPS細胞に関する欧州特許の異議申立取下げ

京都大学iPS細胞研究所長の山中伸弥教授のiPS細胞に関する欧州特許に対して昨年5月に異議申立がなされていたが、今年8月2日に取下げの書類が出され、9/25に異議申立の継続が中止されることが決定した。

異議申立の理由自体は不合理なものではなく、争えば勝てる部分もあったと思われるが、何等かの理由で異議申立を継続するメリットがなくなったのだろう。

例えば、その事業から撤退することを決定したとか、別のもっとよい方法を開発した、等が考えられる。

あるいは、ノーベル賞受賞者に異議申立で勝って実施してもその後の協力が得られないので、争うよりも協力する関係の方が全体的にみてよいと考えた可能性もある。

いずれにしても、異議申立が取り下げられたことで、iPS細胞特許は今後も有効に存続し、アカデミアの研究の自由を確保し、会社には新薬の開発機会を提供するだろう。

特許制度の活用方法として、特許出願により、他者の実施を排除するだけでなく、他者の自由実施を確保する、というアカデミアの戦略は今後も増える可能性もある。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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