1. TOP
  2. 利用発明 応用発明 利用特許 応用特許 基本発明 基本特許 周辺特許
  3. 利用発明の特許で基本特許の範囲を埋め尽くす戦略

利用発明の特許で基本特許の範囲を埋め尽くす戦略

 2013/09/24 利用発明 応用発明 利用特許 応用特許 基本発明 基本特許 周辺特許
この記事は約 3 分で読めます。 1,477 Views

かつては、基本発明は欧米からの特許出願がほとんどでした。例えば、コピー機の基本特許はゼロックスが抑えていたのは有名な話です。昔は欧米の基本特許が強すぎてエスケープしようがない面がありました。

そういう場合、基本特許を日本企業にライセンスしてくれればコストアップにはなりますが、製品は製造販売できるので、まあ何とかなります。

しかし、基本特許保持者がライセンスをしてくれない場合もありえます。そのような場合にどうするか?といえば、基本特許の権利範囲に被せて応用特許(利用特許)の出願を大量にして、相手が改良製品を出そうとしたら抵触するようにします。

そうすると、基本特許を持っていても、利用特許と重複する範囲はライセンスを受けないと実施できないので、クロスライセンスしないと両社とも製品を製造販売できなくなります。すると、結局基本特許権者もクロスライセンスを交わさざるを得ず、結果的に両社が販売できるようにする、という戦略がありました。

特許は本来先願主義ですから、先に発明して、特許出願し、特許権を取得した人の方が有利なはずです。

しかし、このように、先に基本発明の特許を取られていても、その利用特許を取りまくれば、基本特許を持っている人や会社を身動きできなくすることが可能です。

ある弁理士はこの状況を説明する際に、これじゃあ、先願主義でも何でもないじゃん、と言っていました。後から利用発明を出願することで、先に基本特許を出願した人が実施を制限されるわけですから。

しかし、この制度のおかげで、日本の企業も欧米の基本特許に対抗できたわけですから、少数の基本特許に対して、大量の利用発明特許を被せる、というのは一定程度有効だったと思われます。発明者としては弱者の戦略とも言えますが。

今では日本からもノーベル賞クラスの基本発明も出るようになったので必ずしも上のような利用特許戦略は取らない場合もありますし、特許庁が大量出願を控えるように、との要請もあり、昔に比べて特許出願数自体は減っています。さらに、企業(個人)も重要な特許に絞って海外出願に力を入れるようになってきています。

利用発明で基本特許の範囲を埋め尽くす方法は、今でも後発組が先発メーカーと戦う場合にも使えます。後発メーカーが応用特許を大量に出願して先発メーカーが改良製品を出せなくすればいいわけです。

そういうことを考え合わせると、先願主義といいながら、後願で先願の実施を制限できるのはちょっと不思議な気もしますが、これも1つの知財戦略です。これができるので、うまくやれば後発メーカーでも先発メーカーと互角の勝負ができるというわけです。

\ SNSでシェアしよう! /

特許出願依頼(特許申請の依頼)の注目記事を受け取ろう

NO IMAGE

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

特許出願依頼(特許申請の依頼)の人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

この人が書いた記事  記事一覧

  • 特許収入だけで生活できる人

  • 使用許諾(ライセンス)交渉、契約書作成の得意な特許事務所

  • 特許性(進歩性)を出すための発明者へのヒアリング

  • マルチマルチクレームが禁止 特許請求の範囲の記載要件が変更されました

関連記事

  • 基本特許と応用特許、利用発明

  • 300に1つ使える発明があれば満足 アルフレッド・ノーベル

  • 進歩性の低い特許出願