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特許出願と誤記・誤字・脱字

特許出願明細書を書き上げて、出願人、発明者様等とやり取りし、完成して出願した場合でも、どうしても誤記・誤字・脱字が残ることがあります。これは文章を書いている人であればわかると思いますが、全く誤字・脱字の無い文章を書くのは至難の業です。さらに、わかりにくい表現が残る場合もあります。

さらにいうと明らかに故意に間違った表現を残したまま出願しているケースも見受けられます。これは、明細書を書いた人が会社に恨みがあったのでは?と思われるような特殊なケースですが。

特許出願明細書を書いていると、何度も読み返すのになぜか同じ誤記を見落とすことがあります。それも、何人もがチェックしても全員が見落とす場合すらあります。一度OKと思うと、読み直してもスルーしてしまうようです。

そういう意味では、特許事務所にチェック専門(文章校正専門)の担当者がいれば単純な誤字・脱字はかなり減らせます。技術の素人がチェックすることで、日本語的におかしいところとか、誤字、脱字に気が付くこともあります。もちろん、単に文章が複雑なだけで、専門的な表現として正しい場合は一見日本語としておかしく見えても修正は必要ありません。このあたりの判断は微妙なのですが、最終的には弁理士の判断になります。

多くの場合は、特許事務所の担当者が書き、その上司、クライアント様の最低3人はチェックすると思われます。クライアント様が知財部のある企業であれば、発明者と知財部員のダブルチェックするところもあります。

そうしたトリプルチェックをしたとしても、どうしても誤記や脱字が残る場合があります。特に特許の場合は、先願主義ですから、徹底的に文章を練って書くことは難しいですから、誤字・脱字を完全にゼロにすることはできないと考えた方がよいです。

では、誤字・脱字があった場合、どうすればいいのでしょうか?

誤字・脱字の訂正は、願書に最初に添付した明細書・図面の範囲内、つまり補正可能な範囲内であればできるので通常は問題ありません。

また、常識的に見て明らかな誤字であれば、その誤字によって特許権が無効になったり、拒絶されたりすることはほとんどありませんから、極度に神経質になる必要はありませんが、出願後に見直して誤字、脱字があれば、国内優先権主張時とか、パリ優先出願時に修正するのがよいでしょう。

ただ、稀に大きな問題になる場合があります。

それは、遺伝子の塩基配列の書き間違い(誤記)です。これは誤記訂正はできないので、最初から1文字も間違わないように正確に書いておく必要があります。

また、国内優先権主張出願する場合に、最初の出願時にDNA配列が1塩基間違っていて、それを国内優先権主張出願する際に正しい配列に置き換えて特許出願したら、優先権主張が認められなかったというケースがあります。

ですから、このような場合は、前の配列を削除せず、正しい配列を追加で付け加えるようにする必要があります。

そういう意味では、単なる誤記の訂正と出願人や担当の弁理士が思っていても、実際には、補正の範囲を逸脱する補正とされて、補正が認められない場合もあり得ます。

そういう意味では重要な語句の誤記はしないように極力注意したいものです。

そういう問題が起きないように、様々な表現で発明を表現するのも一つのやり方です。特許出願明細書が一見冗長に見えても、しっかり何度も書いておくことで上記のような問題を避けることができます。

大平国際特許事務所でも誤記、誤字の無い明細書をご提供できるように様々な知恵を絞っています。

大平国際特許事務所へのご相談は下記からお気軽にどうぞ。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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