特許出願明細書の下書きと報酬
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特許事務所では技術者が特許出願明細書の下書きをする場合があります。それを弁理士がチェックして最終的な明細書に仕上げ、出願する形にするのですが、完成度の高い下書きもあれば、間違いや記載不足があり、ほとんど書き直さなければならないレベルの下書きもあります。
これは何も特許事務所に限らず、企業や公的研究所の研究員から送られてくる明細書案についても言えます。何度も特許出願している研究者の場合は、同じジャンルの発明は似たようなパターンで書いてくるので、完成度は相当高いです。少しチェックするだけでそのまま出願できるレベルのことも多いです。
完成度が高ければ弁理士も少しだけ修正してすぐに出願できますが、修正点が多ければ弁理士が修正に時間を取られますし、ひどい場合は弁理士が自分でゼロから書いた方が早い場合もあります。日本語として支離滅裂な文章を書く研究者もいたりします。そういう文章しか書けない場合には、特許事務所の技術者であれば給料が低くなるか、クビになる可能性もあると思います。企業であれば、特許部(知財部)が修正してくれて出願までつなげてくれる場合はあるでしょうが。
明細書をうまく書けるかどうか、はやはり日本語の文章センス、才能が関係しているようで、最初からかなりいい明細書を書ける人と、教えてもうまく書けない人がいて、センスの問題のように感じます。文章がうまい人もいれば下手な人もいます。ひどい人だと、日本語がメチャメチャの場合もあります。
なので、特許事務所に入っても明細書がうまく書けなくて辞めていく人もいます。そういう人は別の仕事についた方が能力を発揮できるでしょう。
企業から来る特許出願明細書でも非常に完成度が高く、数カ所だけ修正すればすぐに出願できる場合もあれば、A4のペラ1枚のメモから特許出願明細書を作成する場合もあります。それらを同じ料金でやるのが妥当か、あるいは、かかった時間によりタイムチャージでやるのか、は事務所の方針によるでしょう。
また、会社によっては、自分でもほぼ完全な特許出願明細書を書けるけど、特許事務所とのダブルチェックでより完全を期す、という方針のところもあります。企業から来た明細書にほんの一言、二言を追加することでいい特許が取れる場合もよくあります。自社でも最低レベルは超えているけれど、弁理士がチェックすることでさらによりよい明細書になることもあります。
また、弁理士の場合は、多数の拒絶理由対応をしているので、リアルタイムで特許庁の実務の変化を肌で感じています。例えば、進歩性が認められる範囲が微妙に変わったというのを肌で感じる場合等があります。
特許庁ではボーダーラインの上にある出願については、審査官が集まって議論してどちらかに決めるそうです。極めてグレーで五分五分であったとしても、どちらかに決めざるを得ないので、どうしても不合理に見える判断も出てくるのでしょう。例えば、3対2の多数決で特許する、と決めたとしても、その判断はおかしい、と思う人が実際特許庁にかなりの数いるわけですが、止むを得ません。
そういう情報を知って特許出願明細書を書くのと、知らずに書くのとでは、自ずと権利範囲の広狭に差が出ると思います。僅かな書き方の差で非常に強い権利になることもあります。その差が売上で億以上の差を生むこともありえます。
弁理士に依頼するということは、そうした知識も含めてコンサルティングを受けているのと同じような意味があります。
大平国際特許事務所は、審査官との面接を頻繁に行って、審査実務の動向をリアルタイムで得ていますから、特許にできる確率は非常に高いです。
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