知的財産収入と税制 パテント・ボックス
この記事は約 2 分で読めます。 2,067 Views
オランダでは、特許権等の知的財産から得られる収益には、通常の法人税率よりも低い税率(5%)を適用するイノベーション・ボックス税制を採用している。法人税は25%なので、その5分の1である。
つまり、特許権のライセンス収入については、各国間で租税条約等により税率が決まっているが、日本では通常の消費税よりも高かったが、ライセンス・アウトとライセンス・インのいずれかが税金がかからない制度になっていたと記憶している。
こうした知財収入は、日本の企業でも100億円規模のライセンス料を支払うことがあるが、その場合、ライセンス料にかかる税率が法人税よりも低い税率であれば、収入が増えることになる。100億円に対し、25億円か、5億円か、では大きな差が出る。
つまり、オランダで研究開発して、特許出願し、特許権を取得し、それをライセンスして収入を得た場合、5%の税金を払えばいいので非常に有利である。
日本では法人税は40%位なので、その8分の1の税金を支払えばよい。
このような税制だと、研究開発拠点がそうしたパテント・ボックス制度を持つ国に流れる可能性がある。
実際、トマトケチャップで有名な、ハインツが、オランダのナイメーヘン市に米国外で最大の研究開発センターを開いたという。つまり、研究開発拠点の選択にもパテント・ボックス税制が大きな影響を与えている。
いずれアジアでも同様なパテント・ボックス税制を採用する国が出てくる可能性もあり、日本も研究開発拠点の海外への流出を防止するためにはパテント・ボックス税制の採用を検討することになる可能性もある。