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知的財産収入と税制 パテント・ボックス

オランダでは、特許権等の知的財産から得られる収益には、通常の法人税率よりも低い税率(5%)を適用するイノベーション・ボックス税制を採用している。法人税は25%なので、その5分の1である。

つまり、特許権のライセンス収入については、各国間で租税条約等により税率が決まっているが、日本では通常の消費税よりも高かったが、ライセンス・アウトとライセンス・インのいずれかが税金がかからない制度になっていたと記憶している。

こうした知財収入は、日本の企業でも100億円規模のライセンス料を支払うことがあるが、その場合、ライセンス料にかかる税率が法人税よりも低い税率であれば、収入が増えることになる。100億円に対し、25億円か、5億円か、では大きな差が出る。

つまり、オランダで研究開発して、特許出願し、特許権を取得し、それをライセンスして収入を得た場合、5%の税金を払えばいいので非常に有利である。

日本では法人税は40%位なので、その8分の1の税金を支払えばよい。

このような税制だと、研究開発拠点がそうしたパテント・ボックス制度を持つ国に流れる可能性がある。

実際、トマトケチャップで有名な、ハインツが、オランダのナイメーヘン市に米国外で最大の研究開発センターを開いたという。つまり、研究開発拠点の選択にもパテント・ボックス税制が大きな影響を与えている。

いずれアジアでも同様なパテント・ボックス税制を採用する国が出てくる可能性もあり、日本も研究開発拠点の海外への流出を防止するためにはパテント・ボックス税制の採用を検討することになる可能性もある。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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