特許事務所(代理人弁理士)を変更する場合
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何等かの理由で依頼人から特許事務所の弁理士を解任したり、特許事務所から代理人を辞めさせてくれ、と言って来たりする場合があります。
例えば、非常に重要な特許権を期限徒過で消滅させてしまったり、審査請求期限を忘れていて出願から3年以上経ち、もはや権利取得が不可能になったりすることがあります。
特許出願の拒絶理由への対応が遅れて権利化が不可能になったり(この場合は拒絶査定不服審判で争えるのでそれほど深刻ではありませんが)することもあります。
極めて深刻な事故が起こった場合は、全ての特許と特許出願を別の事務所に移す(移管する)、という場合もかなりあるようです。
仕事をしているのが人間である以上、どうしても人為ミスを完全になくすることはできません。
こうした事故は滅多に起こりませんが、ごく稀にある1つの特許出願だけがコンピュータに入力ミスしてしまい、期限管理ができなかった、等という事件が実際にありました。しかも、そこは期限付きの雇用者が多く、3月末に退職する人が引き継がなかったために、審査請求担当者が誰もおらず、ライセンス契約していた特許出願が権利取得不可能になったとのことでした。しかも、なぜか担当の特許事務所の管理からも漏れていたそうです。
このあたりは企業であれば二重、三重のチェックがかかるのですが、大学関係の知財部門だったので、管理が甘かったようです。おそらく特許管理ソフトではなく、エクセル等で管理していたのでしょう。
そのケースではその特許出願にかなり高額のライセンス契約をしていて、ライセンス先の大企業もその事業にかなり力を入れていた案件でした。その件は他にも特許出願があったので何とか収まったのですが、取引完全停止になってもおかしくないような事件でした。
特許事務所がそのようなミスをすると、クライアント企業様が怒って全案件を引き上げる場合もあるようです。大企業が引き上げると、その事務所の売上げの3分の1位がなくなることもあり、特許事務所にとっては大きな打撃になります。
上記以外の形で特許事務所を変える場合は、過去から続いているシリーズの案件は従来と同じ特許事務所に依頼し、新たな独立した案件から新しい特許事務所に依頼する、という形が多いと思われます。と言うのも、従来から付き合っている弁理士の方がその経過を知っているので、説明が楽、という面があるからです。
そういう意味では、特許事務所を変えたい場合は、新しくて、従来とは独立した案件から依頼を始め、その事務所の特許出願明細書の出来が良ければ、従来からの案件もその事務所に移していく、というのがよいのではないかと思われます。
例えば、ある国家プロジェクトの案件だけは、その国家プロジェクトに関わりの深い(例えば審議委員をしているなど)弁理士に依頼する、ということも考えられます(ただし、研究資金の審査委員の弁理士は応募企業の出願等は受任できないので注意が必要です)。
弁理士も1万人を超え、専門分野も細分化し、非常に高学歴(博士号取得、大学の助教~教授、海外で研究歴がある)の専門家の弁理士など多様化しています。優れた弁理士に依頼することで、普通にやっていては特許にならない出願が特許化できる場合もあります。
実際、え、あれが特許になったの?と私は何度も言われました。他人が担当して米国で拒絶理由に対応できず、放棄した出願の欧州の対応出願を特許化したりできています。
弁理士ならみんな同じだろう、と考える人もいるかも知れませんが、やはり、得意、不得意はあります。文章の説得力も弁理士によって全く違います。
例えば、医者でも人によっていうことがかなり違います。医師が様子をみましょう、と言って放っておいたらとても痛くなって、大学病院で診てもらったらガンがステージ4になっていた、ということが現実に起きています。
弁理士でもこれと事情は同じです。ある弁理士なら強い特許が取れるけど、別の弁理士では普通の対応しかできず、難しい特許は取れない、というケースもあり得ます。
そういう意味で腕のいい弁理士を選ぶことは企業の知財部にとっても非常に重要な仕事だと思います。
重要な特許取得を考えておられる方は、大平国際特許事務所もぜひお試し下さい。セカンドオピニオンも承っております。費用についてもご相談に応じます。