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共同研究打ち合わせの注意点

大学や企業では、他の大学や企業等との共同研究をやる場合も多いです。

その場合に一番注意しなければならないのは、アイデアのコンタミでしょう。

他社との打ち合わせで出たアイデアは、相手が言った場合、相手のアイデアになるのが普通です。あるいは少なくとも打ち合わせの成果ですから、その後それを実用化した場合、相手との共同発明になる場合がありえます。すると、特許出願する場合は共同出願になり、相手も自由に使えることになります。

その場合に何の制限もないとするとまずいことになる場合があります。

例えば、製薬企業が特殊な薬剤の製造装置を装置メーカーと共同開発したとします。すると、製薬企業としては、その製造装置は自社だけでずっと独占的に使って利益を独占したい、と考えます。

ところが、装置メーカーはできるだけ多くの会社に装置を販売して装置の売上を上げたい、と考えます。ここで、製薬企業と装置メーカーの利害が対立します。

この場合に何の特約もなければ、法律上は、製薬企業も装置メーカーも共同出願の特許を自由に実施できますから、装置メーカーとしては、その装置を共同開発した製薬企業だけでなく、そのライバルメーカーにもその装置を販売すれば売上げを増やすことができます。製造販売は特許発明の実施ですから共有者は自由に販売できます。

しかしながら、その装置には製薬企業も開発の労力と開発費を使っているわけですから、製薬企業としては、少なくとも一定期間は利益を独占しなければ開発費を回収できません。ですから、こういう場合は、共同出願契約で特約として、共同開発した装置については、3~5年はその製薬企業以外には売らない、独占期間経過後は装置メーカーの装置販売の利益の●%を製薬企業に支払う、等の特約を付けるのが普通です。

しかし、もし、この装置の基本となるアイデアを製薬企業の方が独自に持っていたとして、先に特許出願していたらどうでしょう?そうすれば、装置メーカーも自由に販売することはできません。

そこまで行かなくても、装置メーカーのアイデアをきちんと保管して、装置メーカーとの打ち合わせとは関係なく独立にアイデアを得ていた、ということを証明できれば打ち合わせ後でも製薬企業単独で特許出願できる場合もありえます。

そういう意味で、アイデアのコンタミを避けるために、打ち合わせ前にアイデアを実験ノートに記載して、他人が署名、押印するなどして、きちんと打ち合わせ前の自社保有のアイデアは整理しておくのがよいでしょう。

大平国際特許事務所では、共同出願戦略も得意です。お気軽にお問い合わせ下さい。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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