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コントロール(対照試験)の無い実験に基づく発明の特許性

大企業や大学の研究室では、実験の際、必ず、対照として、ネガティブ・コントロール、ポジティブ・コントロールを入れるように指導されます。

それは実験自体がうまく行っているかを確認するのに必須だからです。

ポジティブ・コントロールがない場合、実験自体がうまく行ってなかった場合でもうまく行かなかったことが分かりません。例えば、温度制御が設定と異なっていた、停電があって、きちんと温度が保持できなかった、試薬を添加したつもりが添加していなかった、試薬自体が不良品だった、というような場合には、実験自体が成り立ってなくて正しい結果が得られません。うまく行かなかったとしても、それは実験系自体の問題であって、アイデアが間違っていたとは限りません。

また、何もしてないネガティブ・コントロールでも、実験の条件によっては一見効果が出る場合もあり得ます。だとすれば、ネガティブ・コントロール無しでできた、と思っても、実際にはできていませんから、実験のアーティファクトで、再現性の無い実験になってしまいます。

そういう意味で、実験する場合は、必ずネガティブ・コントロールとポジティブ・コントロールを入れるのが普通です。わかっていて意図的に入れないケースも無くはないですが、それは研究者が特許部を騙して、自分の実績を増やすために特許出願するようなケースです。こういう研究者は特許部としても困りますが、現実にいます。

そんなことをしても大学研究者等の論文や学会発表のデータねつ造と違って、会社の場合は、確認実験をするのですぐにばれるのですが・・・

ともかく、特許出願にもこのポジコンとネガコンはできれば入れてデータを出して欲しいです。まぁ、特許出願のテクニックとして曖昧に書いておいて、うまく行ったらうちが先にできてた、と主張するというやり方も無くはないですが。

特にライセンスする場合には、ネガコン、ポジコンが無いデータだと非常に交渉がやりにくいです。本当に効果があるの?と言われたときに反論のしようがありません。

そういう意味で、特許出願はもちろん、ライセンス活動を大平国際特許事務所に依頼される場合は、必ずネガコンとポジコンを入れてデータを取って下さるようお願いいたします。

なお、大平国際特許事務所では、実験計画の段階でも、どういう実験をすれば、より広くて強い特許につながるかについてのアドバイスをさせていただきますので、お気軽にご相談下さい。発明が行き詰まって悩んでいる場合も発明コーチングもさせていただいています。

大平国際特許事務所へのお問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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