大学への特許出願依頼
私が大学院大学にいた頃、発明家の方が発明を譲る、と言って来られる場合が何度かありました。
昔は先生が個人として特許出願できたので、自分の名義で特許出願をされた先生もかなり多かったです。そういう先生が大学が法人化して知財本部ができ、そちらに特許や特許出願を譲渡するケースはかなり多かったです。
それとは別に一般の発明家の方が大学に発明を譲渡したい、と言ってきたこともありました。これは自費では負担しきれなくなったり、ライセンスの目途が立たなかったりして、自分では手に負えなくなって大学に持ってくる場合もあるようです。もちろん、それで収益が得られれば発明者に一定割合を分配するのが発明者の希望です。
しかし、それを受任すると、相手は全くリスクなく、成功報酬だけをもらうことができます。一方で、大学側は権利化のための費用と作業が発生し、権利化後は権利を維持するための費用を支払い、さらにマーケティングも行うことになります。これではバランス上おかしいとも言えます。
特許出願を依頼してくる発明がよほどいい発明であればいいのですが、通常はそれほど売れそうな発明はありません。なので、そういう申し出はお断りしていました。ですから、自分の発明を大学から出願し、大学のライセンス力を利用して稼ぐ、というのは簡単ではないです。
ただ、発明者が特許出願をした後の段階でなら、ライセンス(マーケティング)を依頼できる特許事務所もあります。大平国際特許事務所では、特許出願について完全成功報酬制でライセンス活動を行っています。その場合の報酬は、ライセンスの成約額の30%をいただきます。
この30%が高いと思うか安いと思うかは、人それぞれで違います。しかし、海外のライセンス機関の中には、成功報酬50%というところもあります。また、弁護士が訴訟する場合は、着手金1割、成功報酬2割でやはり30%程度が報酬というのが一般的のようです。
30%の成功報酬が高い、と思われる方はご自身でライセンス活動されればいいと思います。それで成約できれば100%ご自分の利益になりますから。
しかし、それができず、全く収入が得られないのであれば、例え成功報酬30%を支払っても収入ゼロよりはよいと思います。例えば、1億円のライセンス料であれば、7000万円が得られるわけですから。