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ベンチャー企業の特許出願戦略

米国のベンチャー企業の場合、特許が命なので、1つの特許出願に300万円位は平気でかける、という話を以前にも書きました。

私の関係していたベンチャー企業は全世界92か国に基本特許を出願したので、それだけで1億円を特許出願に使っていました。

日本との共同研究の成果についても1000万円以上の費用をかけて、10か国以上に特許出願(PCT出願を国内移行手続き)していました。

そのベンチャーは年間low 7 dignity、つまり、7ケタの低い方(ドルベース)の利益があるとのことでした。日本円にすれば数億円のライセンス収入がその特許から得られているとのことでした。

他のベンチャー企業は、1つの特許で日本企業から250億円位の委託開発費をもらっていたそうです。

それを考えれば、特許出願に300万円をかけても全くおかしくない話です。というよりも、そこまでお金をかけるからこそ、年間数億円のライセンス収入が得られたり、250億円の研究資金を得られるのだと思います。

しかしながら日本のベンチャー企業はそこまで特許出願にお金を出さないことが多いです。また、日本では、米国程広い権利を取得することが難しいので、徹底的に広げても途方もなく広い権利は取れないですが、米国では信じられない位に広い特許権が成立する場合もあります。

また、米国の市場は日本の3倍程度と言われています。すると権利範囲の広さと相まって、米国では特許出願の価値が日本の10倍位あるのではないでしょうか?そういう意味で日本の10倍、300万円を特許出願にかけてもそれ以上のリターンが得られるように思います。

日本でもアメリカ並みの広い権利範囲の特許が成立するようになれば、もっと特許出願にお金をかけて徹底的に権利範囲を広げ、巨額の利益を生む特許を取得できるようになると思われます。

しかし、いずれは、日本も米国のように広い権利範囲の特許を認めるようになるのではないかと思います。ノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学iPS細胞研究所長のiPS細胞特許の権利範囲は日本が一番狭いですが、それでは、日本はいつまでも世界の一流国にはなれないと思います。日本が世界のフロントランナーになるためには特許でも欧米と肩を並べる位の広い権利範囲を認めるべきでしょう。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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