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企業と大学の共同研究

共同研究 委託研究 ライセンス契約 英文契約書 共同発明
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先日、ある社長と話していたら、大学と共同研究したけど、あまりうまく行かなかった、ということをおっしゃってました。大学には問題解決をして、特許出願をすることが求められるケースも多いと思いますが、企業側が期待するような形では問題解決ができない場合が多いようです。

これは、私が会社員時代にも、同じような話を聞いたことがあります。大学に委託研究してもうまく行った試しがない、という人までいました。

これは、大学側としても、それがメインテーマであれば、教授も最も優秀な学生にやらせますが、企業からのテーマだとどうしても応用的な面が強く、意欲の高い学生は大発見につながりそうなテーマを選ぶため、そうした会社からの委託テーマはあまり優秀な学生が手を上げないためだと思われます。

また、大学院生の場合、就職活動もやる必要があり、その間は毎日大学に来るわけでもないので、どうしても研究が止まりがちになります。さらに、最近ではうつ病で不登校になる学生や、退学してしまうケースもあります。それも大学への委託研究がうまく行かない理由と思われます。

私がいた大学の研究室が海外のベンチャー企業から委託研究を受けた際はポストドクトラルフェロー(博士研究員)1人分と、テクニシャン2人分の人件費も付けてくれました。海外の企業からの委託研究は、こうした人件費が付くことも多いようです。

そのベンチャー企業は米国の大学に研究開発を依頼する際にも専門のポストドクを付けてその研究だけに専念できるようにしていました。

そして、日本の大学では先生も博士研究員も非常に優秀だったので、かなりのデータはでました。その後、リーマンショック等もあり、その共同研究は終了してしまったのですが、相当なデータも出ましたし、特許も国際出願し、世界中でもかなりの国で権利取得しましたから成果は十分あがったと思います。

要は、企業側もポストドクとテクニシャンの人件費を負担し、かつ、先生とポストドクが非常に優秀であれば、委託研究、共同研究でも十分成果が出ますが、大学側が単にお金と論文が欲しいだけで、企業を単なる研究資金の獲得先、とだけ見ている場合はあまりうまく行かないと思います。

本当に成果を出してもらうには、四半期ごとにその大学の研究発表会を開催し、進捗をチェックするのが望ましいです。そうすれば、特許出願すべき発明も明確になりますし。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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