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特許事務所は儲かる?

特許事務所は儲かるか?と言われれば、儲かっている事務所もあれば、儲かってない事務所もあるし、儲からなくて吸収合併されたり廃業する事務所もあるので千差万別、と言ったところでしょうか?

もっと具体的に言えば、高額の料金を支払ってくれ、大量に出願してくれるお客様がいる特許事務所は儲かっていますし、厳しく値引き要求をしてきて、出願数も少ないお客様が多い特許事務所はそれほど儲かっていないです。さらに言えば、個人とか中小企業を相手にしていて、1社あたりの出願件数が年間数件でかつ外国出願もしない、という事務所は相当経営が厳しいと思われます。

似たような話として、弁護士事務所でも、大企業のクライアントを持っているいわゆる4大事務所は儲かっていて、新人でも年収1000万以上にもなるそうですが、弱小事務所だと個人中心であまり儲かっていないところもあるようです。年収300万円で毎日終電まで働かされるブラック事務所もあるという噂もあります。

つまり、業界の上の方は昔とあまり変わらず儲かっていて、儲かっていない下の方の新規参入者が増えて、下層の弁理士は廃業の憂き目にあうこともあるようです。

ただ、標準料金表があった時代はどんな弁理士でも、出願30万円とか、価格競争のない世界だったので非常に儲かっていたそうです。一説には特許出願1件出すだけで2ヶ月何もしなくても食べていけた、という話もあります。また、面白い規定としては、解任は成功とみなす、と報酬表に書かれていて、弁理士が気に入らないからと解任したら、登録成功報酬を請求されるのが普通だったそうです。これは、登録成功報酬は出願料の後払いという位置づけですので、代理人を解任されたらその分がもらえなくなるので、解任されたら登録成功報酬をもらう仕組みになっていたようです。何ともうらやましい時代です。

昔は弁理士の人数も少なく、非常に儲かる職業で、ベンツに乗り、妾(愛人)を持つ弁理士もいたそうです。

しかしながら、2000年頃から弁理士の合格者数が増え始め、一番多い時は年に900人くらいが合格していました。900人といえば、愛知県をはじめとする中部地方の弁理士を合わせた数ですから、毎年そんなに増えたら仕事の取り合いになるのは目に見えています。

2000年以前は毎年100人程度しか合格しなかったので、ちょうどよい人数で、勤務弁理士の報酬もある程度の経験があれば年収1000万円程度と大企業と遜色ない収入が得られていました。それが、弁理士の合格者数が増えたことで社内弁理士が増え、それによりブラックボックスのおいしい仕事が値引き要求されるようになりました。さらに、2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災でも知財予算が減額され、出願数自体も減ってきました。その際、止むを得ず値引き要求をのむ事務所も多く、ボーナスカットや、都心からやや不便なところに事務所を移転して家賃を浮かせる事務所もあったようです。

リーマンショックや東日本大震災から回復して、企業は儲かっていても、以前の料金まで戻してくれない会社も多いようです。

値引き要求は日本国内のクライアント様に限らず、海外のクライアント様でも厳しく要求してくる企業もあるので、そういうのをいいなりに受けていると経営的に厳しく、かつかつになってしまうところもあるようです。そういう意味では、適正な料金で仕事を受けないと大変で、値引きする事務所は儲からないところが多いと思われます。もちろん、薄利多売で、大企業から大量に仕事を受けるというやり方もありますが、そういう事務所でもやはり所員の給料にしわ寄せが行くので経営はぎりぎりのようです。。

いずれにせよ、高度成長の時期のように、実用新案を1件4万円(当時の新入社員の初任給相当)の料金で出願して、2件出願すれば人を1人雇えていた時代とは様変わりしています。しかも、どんどん出願件数が増えていた時代とは全く違うようです。多い時は弁理士1人あたり年間150件の出願がありました。今は弁理士数が当時の3倍以上に増え、出願数が44万件から28万件程度まで約6割に減った結果、弁理士1人あたりの年間の特許出願件数は最盛期に比べると5分の1、つまり年間30件位まで減少しています。

わかりやすく数式で書くと、出願数(0.6)÷弁理士数(3)=0.2 と弁理士1人あたりの出願数は5分の1になっています。それに加えて、下で書くように自社で明細書を書く(内製する)会社も増えているので、事務所弁理士の仕事は1人あたり5分の1よりもさらに減ってきています。

単純に計算すれば、弁理士の収入もそれだけ減るわけで、昔の開業弁理士が平均年収2000万円と言われていましたが、今は出願件数が当時の5分の1ですから、平均年収400万円になる計算です。もっとも、最近では、国内出願件数は減っていますが、国際出願件数は増えているようで、単純に国内出願数のみで収入が決まるわけではないですが。

高度成長期には電機会社は1社で年間6万件位特許を出願していましたが、特許庁が多すぎる、と指導したために、今ではどこも1万件を切っているようですから、以前に比べ特許事務所の売上げは落ちていると思われます。さらに、パナソニックのように、自社で知財カンパニーを作って、弁理士事務所を通さずに社内弁理士が明細書を書いて出願する、という内製をする会社も増えていますから、事務所弁理士1人あたりの出願件数は5分の1どころではなく、もっと減っている可能性もあります。

実際、医薬系の大企業では、医薬の出願はほぼ全て内製する、という企業もあります。武田薬品などは外部の事務所に依頼していますが、アステラス製薬などはほとんど自社で内製しているようです。

さらに、弁理士の合格者数を増やしたことで、会社に勤務する企業内弁理士が増え、作業内容や作業量も大体わかるので、なぜ、この料金なんだ?高すぎる、と指摘されることも多くなりました。以前はブラックボックスだったので、非常においしい料金体系だったものが実態がバレることにより、値下げさせられて、いわゆるボロ儲けができなくなりました。

その一例としては、国内優先権主張出願で、ほとんど作業無しで出願料30万円が請求できていたのが、何も修正や追加作業無しでただそのまま出願するだけで、0から発明を理解して新規に明細書を書くのと同じ料金なのはおかしい、ということで、30万が10万円等に値引きさせられるケースもあるようです。

このように、企業内弁理士が増えると、弁理士の業務のブラックボックス部分が少なくなり、値段もおいしい料金の仕事は叩かれて安くなる傾向があります。これは、企業内弁理士が弁理士として会社に貢献するためには、コストダウンだ、と考えているからと思われます。が、その様な行為は、実は、自分が将来独立した際に自分で自分の首を絞めていたことに気づくかも知れません。

これは他の士業でも同じで、例えば、弁護士のデュー・デリジェンス(例えば、買収時の相手の企業価値算定のための企業価値調査のようなもの)も以前はブラックボックスだったので、非常に高額をチャージできていたのが、社内弁護士が増えることによって社内でもある程度可能になり、以前ほどの高額ではできなくなっているそうです。

そういう意味で、士業は全般的に昔ほど儲からなくなり、廃業する弁理士も増えている印象です。それを受けてか、弁理士試験の受験生数も減り、合格者数も最近では300人台に落ちているようです。最盛期は900人程度合格していましたから、かなりの減少です。

これは司法試験受験生や法科大学院入学者が減っているのにも似ています。弁護士も人数が増えたことにより、毎日終電まで働いて年収300万円程度、というブラック企業よりもひどい弁護士事務所まであるそうです。

さらに、今後は人工知能が発達して、AI弁護士やAI弁理士が出てくればさらに士業は厳しくなる可能性も考えられます。弁理士や特許弁護士の仕事は全部AIで代替できる、と予測しているコンサルティング・ファームもあるそうです。

そういう意味で、今は士業は受難の時代、と言っていいのではないかと思います。もともと規制に守られて高額の手数料を取っていたわけですが、今は手数料も自由化され、試験も受かりやすくなって大量に有資格者が供給されるようになりましたから。

ただし、個人的には、天才的な弁理士で、クライアントの発明を全く違うものになるくらいにブラッシュアップできる弁理士は生き残れるのではないかと密かに思っています(ここに書いた時点で密か、ではないのですが)。他には、株式上場が得意、ファンドを取るのが得意、などベンチャー支援が得意な弁理士も、生き残れる可能性があると思っています。

さらには、売上げアップコンサルティングができる弁理士であれば仕事が取りやすいでしょうし、本当に実力があれば、成功報酬制で売上げアップコンサルティングをすれば需要は相当あると思われます。

一般的に言っても、どんなに不況の時代にも儲かる会社があるように、弁理士も不況というか、全体としてはあまり儲からない状況だったとしても、その中でも儲かっている事務所が存在するのも事実です。

実際、少ない人数で数億の売上げを上げている特許事務所もあります。

他の士業でも、例えば、行政書士の先生でも平均年収300万とか、9割が廃業する、とか言われますが、そんな中でも年収1億以上稼いでいる行政書士もおられますから、どんな時代、環境でも稼げる人はいるのだと思います。これにはおそらく営業力とマーケティング力が関係しているように感じています。

さて、特許事務所の料金は高すぎる、という方もときどきおられます。個人や中小企業にとって、20~30万円の出願費用に加えて、審査請求、拒絶理由対応、登録成功謝金を合わせて1つの発明の出願から登録までに100万円近くかかったり、海外出願で1ヵ国あたり200万円以上かかったりすると驚くのも無理はありません。

ただ、海外の代理人弁理士(米国は特許弁護士)の時給は、米国ですと特許弁護士ですからjunior attorneyでも最低時給約3万円(280ドル)以上、高いシニアレベルだと時給7万円以上の人もかなりいるそうです。欧州でも拒絶理由等の検討では1時間あたり、2~3万円が相場です。

ですから、少しややこしい検討を依頼すると、すぐに、20万円とか50万円の請求書が来たりします。これを2~3回やっても特許にならない場合、米国では再審査請求(RCE)で再度審査できるので、米国で特許が取れるまでに総額で200万円くらいかかっても何もおかしくありません。これらは純粋に現地代理人の費用であって、日本の代理人にはこれらは1円も入りません。

以前、非常に重要、と言われた案件で、米国の特許法律事務所に拒絶理由対応で複雑な案件で専門家証言や宣誓書を出し、インタビューなどをすると1回の拒絶理由対応で150万円の請求が来たこともあります。

また、中国では、拒絶理由が5回~8回も来ることもあり、8回拒絶理由に対応すると、1回30万円(中国代理人費用20万円、日本代理人費用10万円で計算した場合)として、移行費用を除いて240万円がかかることになります。これにPCT出願の中国語への翻訳と中国国内移行費用が60万円かかれば、中国で特許を取るまでに300万円以上かかることも十分あり得ます。それまでやっても拒絶査定になり拒絶査定不服審判(覆審請求)をすればさらに費用がかかります。

これは、中国の外貨獲得政策では無いか?と疑いたくなります。何度も拒絶理由を出すことで、中国の特許事務所は儲かり、結果として、外貨を多く獲得できるわけですから。

日本では、拒絶理由対応ではかなり時間がかかっても5万円とか10万円で処理することも多く、欧米などの海外の先進国に比べれば安い方、と言えるでしょう。

個人の方や中小零細企業の方にとっては、特許出願費用が20万円~50万円するというと高い、というイメージがあるようです。個人の方の中には特許事務所にたくさんお金を取られた、と文句を言ったり怒っておられた方もかなりいました。

しかし、それは特許の世界ではあり得る話で、もともと特許性が微妙な案件を海外で権利化しようとすると難しいケースもあります。そういう場合、一番いいのは、現地に乗り込んで、審査官とインタビューするのが一番いいのですが、それも費用の面から難しいでしょう。

すると、日本人から英語への伝言ゲームになり、微妙なニュアンスを海外代理人が正確には理解できず、そのために拒絶理由が解消しない、ということも起こりえます。

日本の場合でも、特許2件を取るのに審判まで行って2件で300万円かかり、その特許発明を販売して2000万円の売上げをあげた会社もありました。この場合など、コストパフォーマンスはかなりプラスなので、それほど文句をいうケースではないと思いますが、やはり安ければ安いほどいいのは確かでしょう。

通常、弁理士が明細書を書けば30万円、その後の審査請求では15万円程度(これは特許庁に支払う印紙代が大部分なので特許事務所の収入はわずかです)、意見書、補正書の提出に1回10万円程度、登録になれば登録謝金(成功報酬)が10~30万円。で、合計70万円~80万円かかります。

さらに、審判にまで進むと1件の登録までに150万円程度かかる場合もあり得ます。私のクライアントさんも、私が代理する前の案件で2件出願して両方とも審判まで行って総額で300万円位かかったそうです。審決取消訴訟まで行けばさらに100万円位かそれ以上かかります。

特許を取るのに70万円~250万円もかかるのは、個人や中小企業にとっては高いと感じられるようですが、要は、コストパフォーマンスの問題だと思います。70万かかっても1000万円儲かれば問題ないわけですから。問題はせっかく特許を取っても、それがお金を生まない場合です。それは単なるコストです。いくら安く特許が取れたとしても、誰も必要としない特許であれば、事業も守れず、ライセンス料も入らず、特許を取るまでにかかった費用はコスト以外の何物でもありません。

また、仮に特許が取れたとしても、その後侵害された場合に侵害訴訟をすれば、数百万円はかかりますから、それが出せないなら特許権を取得する意味は小さくなります。現に侵害訴訟をするには600万円かかると言われ諦めた、という社長さんもいました。

このあたりは一部請求訴訟にして、訴額を抑え、勝てば、残りを請求する、ということにすれば、初期費用はそんなにかからない可能性はありますのでやり方次第でしょう。

企業知財部員にとって、コストになる特許発明とプロフィットになる特許発明を見分けるのは簡単ではありません。その特許を利用した製品がヒット商品になればプロフィットになりますし、製品がヒットせずに終わった場合は単なるコストになり得ます。

とはいえ、事業をしていれば、特許申請中、と製品に書くだけで他社の参入をある程度おさえられますから、数百万円以上の利益には貢献しているでしょう。うまくヒットして、年間100億円売れたとすれば、特許で他社がマネすることを防止することで、シェアが維持できますから数十億円程度の価値がその特許にあるとも言えるでしょう。

自分で事業をせず、ライセンスしてライセンス収入を得て特許取得費用をペイさせようとすると、これはかなり難しいです。会社も自社で研究開発部門を持っていますから、同レベルの発明なら自社開発の技術を使いたがります。よほど優れた技術でないと会社はライセンスを受けません。研究員にしても自分自身の存在意義を危うくするようなライセンス・インには反対すると思われます。自社開発するより、外部の特許を買った方がよければ研究員は不要になりますから。

ライセンス収入が得られる場合としては、大学等で何年も専門家の教授が研究をして画期的な成果が出た場合などは会社でもライセンスを受けるケースがありますが、個人がジャストアイデアレベルで考えて、試作もしていないような発明は企業がライセンスを受けることは少ないです。

ですので、ライセンス料で出願から登録までの費用をペイできる可能性はかなり低く、ライセンスして本当に儲かる特許は個人的な印象では出願全体の5%以下ではないかと思います(この数字は単なる印象ですので実際は異なる可能性もあります)。

つまり、特許にかかる費用が高いか安いかは、その特許でどれだけお金を稼げたかによります。いくら安くても、売れない特許を取ると赤字ですし、いくら高くてもそれ以上の利益を生むのであれば、黒字ですから、高くても稼げる特許を取るべきです。

極端に言えば、10万円で出願でき、総額50万円程度で特許が取れたとしてもその特許発明の製品が売上げが0であれば赤字ですし、300万円かけて出願し、登録までにさらに200万円かかったとしても、利益が1億円なら黒字です。この場合は明らかに後者の方がよいと思います。

さて、特許を取るのにお金がかかるからといって、特許事務所が非常に儲かっているか?といえば必ずしもそんなことはありません。時給換算したら今は普通のサラリーマンとあまり変わらない弁理士もかなり多いと思います。

儲かっている事務所もありますが、リーマンショック後は全体的には利益率がかなり低下していると感じています。さらに東日本大震災によっても弁理士業界も打撃を受けました。

特許事務所は特許出願の明細書を作成することで成り立っています。完全な労働収入で、お店のように何かを仕入れて売って(左から右に流すだけで)利ざやを稼いでいるわけではありません。いわば、商品販売のように一瞬で利益が出る商品はなく、全てある程度の時間をかけて調査をしたり、明細書を書くという頭脳労働自体でお金をもらうしかありません。完全に労働収入です。

セールスして、売れたら終わり、その後はリピート販売ができて一度信頼関係を築けば放っておいても儲かる、というビジネスではなく、特許出願の場合は、営業などをして、注文が来たらそれから何日間~何十日間もかかる頭脳労働の仕事が始まるわけです。営業マンは注文が来たらそれで終わり、と言え、その後はリピート販売ですから、そんなに大変ではありませんが、特許の仕事は仕事が取れてから仕事が始まるので2重に大変です。

そして特許出願明細書は科学文献の意味もあり、科学論文(修士論文や博士論文のミニ版)を作っているようなものです。また、法律文書(権利書)でもありますから、法律面からも検討して特許請求の範囲を作ります。これにはかなりの知識と経験が必要です。

そして、クライアントの数億~数千億円、時には数兆円規模のビジネスがかかっているわけですから、責任を持って完璧な明細書を書く必要があります。

そして1つの明細書を書き上げるのに、延べ3日間程度で終わることは通常はありません。この3日間の労働の対価がどのくらいが妥当かちょっと計算してみます。

会社員の場合、年収600万円とすると、月50万円になります(ボーナスを考慮しなければ)。月20日間勤務とすると、1日2万5千円です。

もし、特許事務所の所員の給与が年収600万円とすると、上記同様、1日2万5千円で、3日で明細書を書き上げると、7万5千円の人件費がかかっています。これで20万円~30万円で納品すれば、粗利は12万5千円~22万5千円となり、これが全て利益であれば6割~7割5分の利益率となり非常に高い利益率となります。

しかしながら、実際には、それ以外に様々な経費がかかります。特許事務所では、明細書を書く人以外に事務スタッフや事務所の家賃、パソコン、コピー機のリース代、弁理士保険料、各種会員費用等がかかりますから、その分を考慮すると、特許出願の売上げの3分の1程度が明細書を書いた人(基本的には弁理士)の収入になります。年収600万を得るためには、1800万円の売上げをあげる必要があります。

別の方法で計算すると、3日で1件の明細書を書き上げるとすると、月20日間勤務の場合、6~7件程度になります。これを1件20万円でやるとすれば、月120万円~140万円になります。そのうちの3分の1が給料とすれば、月40万円~47万円、年収480万円~564万円で、上述の年収600万円の会社員よりも収入が低いです。

これではほぼワーキングプアに近いです。子供がいたら相当厳しい生活になるでしょう。わざわざ何年も苦労して予備校にも高いお金を払って資格を取って弁理士になるよりも、普通に会社に就職した方が給料は多いでしょう。会社員なら50歳位になれば年収が1000万円位になるところも多いですから。

特許出願1件30万円でやれば、月180万円の売上で、月収60万円、年収720万円で、中堅企業の課長さんクラスでしょうか?大企業の課長であれば、年収1000万円~1500万円位なので、年収720万円では決して裕福な暮らしができるほどではありません。年収1000万円になるには、1件40万円で受任すれば月240万円の売上で、収入が80万円でやっと年収960万円となります。

しかも、若いうちはいいですが、子供が大きくなり、私立の中学、高校や、大学に入れば学費だけでも年間100万円はかかります。特許出願1件20万円の場合の年収480万円では到底やっていけません。

そういう意味から言うと、特許出願を30万円で受任しても大企業の社員に比べて裕福な暮らしができるわけでもありませんから、出願費用30万円は暴利ということは全くないと思います。

また、特許出願をすること自体の価値がいくらか、という問題もあります。しかし、企業の事業が守られる利益額を考えれば、数百万円以下ということはありえないので、ビジネス的には十分ペイすると思います。例えば、その特許出願を見て他社が参入を諦めればそれだけで数百万円、数千万円以上の利益が守られるわけですから。

もちろん、事業をしないことが明らかで、ライセンス先も無いような発明に特許を出願したら特許出願に価値が無い場合もありえますが、それは製品開発でも同じことでしょう。数カ月で終売になる製品にも巨額の開発投資をしているわけですから、特許出願にしても全てがヒットして利益を生むことまでは期待できないと思います。むしろ、製品開発の成功率と同じくらい、と考えておいた方がよいと思います。

いずれにしても、特許出願1件の価値が数百万円も無い、ということは事業会社ではありえません。とすれば、特許出願を30万円とか80万円で受任しても、企業としては元は十分取れるはずです。

それらを考え合わせれば、特許事務所の所員が通常の会社員並みの生活ができることを考慮し、かつ特許出願が企業にもたらす価値を考えれば、特許出願1件あたり30万円以上でも決して法外な暴利を得るわけではなく、妥当な金額だと思われます。

特許出願1件30万円でも上述のように所員は決して裕福でもなく、楽な暮らしができるわけでもありません。

ただ、一部の事務所は特許出願1件80万円~100万円とかでやっていて、そういう事務所はかなり儲かっているようです。高いとすれば、そういう特許事務所ではないかと個人的には思います。もちろん、明細書の質が20万円の明細書に比べて4倍高いなら高くはないのですが、個人的にはそこまで差があるケースは見たことがありません。むしろ、立派なオフィス、豪華なエントランス、美人秘書等にお金をかけているのではないでしょうか?

とはいえ、アメリカでは特許出願1件あたり特許弁護士に300万円を平気で払うベンチャー企業の社長はたくさんいます。ベンチャー企業にとって特許が命ですから。その特許で数億~数百億円規模の出資をしてもらうわけです。いい加減な特許だとベンチャー投資家も気づいて投資しなくなります。

私も特許出願に300万円払うのは当たり前、という米国ベンチャーの社長を2人知ってます。ベンチャー企業がビジネスをするのに、特許出願の料金をケチるようではその企業の将来は不安な気がします。

そもそも、300万円程度の利益も出ないようなビジネスであれば特許出願する意味は無いとも言えます。やるからには数十億円以上の市場規模がある事業に参入し、シェア10%以上、利益率10%として、数千万円以上の利益が出るビジネスに参入する際に特許出願すべきではないかと思います。企業によっては100億円以上の売上が見込めなければその事業に参入しない、というところもあるようですし。

とはいえ、個人や中小企業様の中には最初の出願費用が出せない方もおられると思いますので、当所では初回出願限定で激安出願というサービスをしています。とりあえずこれで出願しておいて、その後の収益で残りの中間対応の費用などを賄う、という予定であれば、この方法を試されるのも一つのやり方です。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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