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特許性の判断

1つ前の記事でこの特許出願は特許になりますか?という質問に対する答を一部書きました。

が、法律的な話は書かなかったのでこちらでそれについて書きます。

この特許出願が特許(登録)になりますか?という質問に対しては少なくとも8つの意味があります。

法律上の発明に該当するか?

新規性があるか?

進歩性があるか?

拡大先願違反でないか?

公序良俗違反でないか?

記載要件違反でないか?

共同出願違反でないか?

先願であるか?

このうち、新規性、進歩性については先行文献や先行技術を調査しないとわかりません。しかし、例えば、ロシアやインド、南アフリカ等あまりなじみのない国の学会で発表されているとすればそれを全て調査することは現実的には不可能です。もちろん、インドの特許事務所を使えばある程度は調査できますが、データベースに乗らない弱小学会とか、会社の雑誌に載っている場合には普通は見つけられないです。

そういう意味では新規性があるかどうか完璧に調べることは実際上は不可能で、やろうとすれば数千万円以上の費用がかかります。

これに対する考え方としては企業の言い方としては、30万円払って特許庁に調査してもらう、という考えです。弁理士費用が30万円として数千万円をかけて30万円を守る必要はないですね。とすれば日本の特許だけを調査して、全く同じものが無ければ特許出願する、という程度の調査でよいとも言えます。

拡大先願違反は特許出願してから1年半経ってから調査をします。これは、特許出願したときにはまだ公開されてなくて、その後公開されるのを全部待つと、自分の出願の直前に出願された特許出願が公開されるのは約1年半後ということになります。

ですので、そのタイミングで調査すれば、自分の出願の前に出願され、自分の出願日の後に出願公開された公開特許公報がヒットしますから、ここでヒットした明細書に自分の特許出願の発明が書かれていれば拡大先願違反となりますし、もし書かれてなければ拡大先願には該当せずこの点に関しては特許性がある、ということになります。

後の4つについては長くなるのでまた後日書こうと思います。

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ライター紹介 ライター一覧

大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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