弁理士の特許出願手数料が高額な理由
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特許出願は弁理士に依頼すると通常は、20万円~40万円の弁理士手数料を取られます。
これは、弁理士がその経験に基づいて、極力広い権利範囲を取得できるよう、知恵を絞るというコンサルティング部分も含まれているからです。コンサルタントなら1時間3万円~5万円が一般的な費用ですが、弁理士もそのようなコンサルティングを発明相談のときにしていますし、その後の明細書の作成時にもコンサルティングのようなことをしています。
そして、弁理士に依頼した場合は、最新の判例や審査の情報に基づいてその時点で最も広い権利範囲で特許請求の範囲を記載します。
しかし、一般の方はそういう実務をいつもやっているわけではないので、審査基準が変わったり、審判、訴訟で新しい審決や判決が出ていても、それに対応して明細書を作成するということはできません。
そういう意味で、弁理士以外の方が自分で明細書を書いた場合には、最新情報に基づくギリギリまで広い権利を取れないおそれはあります。
しかし、そこまで重要な特許出願でなくて、出願するだけで儲からなくてもよく、もし儲かったら儲けもの、という程度の考えで特許出願をされるのであれば、自分で明細書を書いて出願してもよいと思います。
ただ、その発明が確実に需要があって、数千万円、数億円以上のライセンス収入が見込めるような場合には、例え、弁理士に100万円~300万円払っても完璧な権利を取ることをお勧めします。それにより、利益が何倍にもなる可能性がありますから。
実際、ある会社のケースで、製造装置の発明について特許を取得したのですが、その際、製造方法の請求項を入れていませんでした。すると、製造装置を1台売る毎にライセンス料を取れますが、その製造方法を使って製品を作った分にはライセンス料は取れません。
これなど、典型的な片手落ちの請求項です。もし、製造方法まで請求項に書き込んでおけば、装置のライセンス料よりも多くのライセンス料が入っていたと思われます。
仮に装置が300万円で、ライセンス料が3%としても、1台売れて9万円のライセンス料にしかなりません。しかし、もし製造方法にもライセンス料がかかるとして、1製品100円で、100万個製造し、ライセンス料1%としても、100万円のライセンス料をもらえます。ヒット商品なら1億個以上売れる場合もあり、その場合は1億円のライセンス料がもらえたことになります。
このように、ちょっとしたミスで、1億円の収入をみすみす逃してしまうケースも現実にあります。個人のテレフォンカードの発明では500兆円市場の争いになりました。これも、補正をやり過ぎたために、侵害でなくなり、数兆円のライセンス料が取れなかった事例です。
そうならないためには、腕のいい弁理士に依頼するのがよいです。
特に会社で事業をしている場合は、特許が命ですから、そこにお金をケチって会社が潰れたら意味ないですから。どうせお金と時間を使って特許申請するのであれば、きちんとした方が結局はコストパフォーマンスがよいです。
もちろん、その特許製品が十分市場性があり、売れる見込みがある場合ではありますが。
とはいえ、絶対売れる、と思って発売したものがあまり売れず、何でこんなものが売れるんだ?というものがヒット商品になることはよくあるので、売れそうもなくても出願する必要はあるのですが。