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食品製造に関する特許出願

昨日は食品関係の知財関係者の懇親会に参加したのですが、そこで話したのは、食品はライフサイクル(製品寿命)が短いから、製品そのものを守る特許、実用新案、意匠、商標を出願しても審査請求前にその製品が終売になる場合が多いので無駄になることが多い、という話でした。

それに加えて、食品は多産多死の世界で、秋に発売して、春まで残っている製品は非常に少ないことも特許出願、意匠出願、商標出願のインセンティブが少なくなる理由です。

今はコンビニの棚取り競争に負ければ棚に陳列されませんから、あっという間に終売になることもあります。7月に発売して9月には終売というようなケースさえあります。

飲料などの商品開発は、いわゆるセンミツ、1000個新商品を出しても、翌年まで残るのは3個、というような世界です。実際にはもう少し多いとは思いますが。

とはいえ、食品の製造方法であっても、様々な食品に使える汎用的な製造技術であれば、長期間使用できる場合があります。例えば、コーヒーのドリップ方法、お茶の葉の乾燥方法、果物の凍結粉砕技術、超臨界抽出技術などです。これらは、様々な製品に応用できるような汎用性の高い技術です。そのような技術に関しては、特許出願しておく価値があります。

また、通常は製品寿命が短いのですが、物によっては予想外に長くヒットし続ける飲料もあります。例えば、サントリーのウーロン茶は1984年頃の発売ですが、予想に反して長期間ヒット商品となっていますから、短期間しか寿命がない、と決めつけないで、商標くらいは出願しておいた方がよいと思われます。

食品製造法の基本技術の例としては、例えば、メグミルクのデザートの製造方法に関する以下のような特許が成立しています。

これは多層のデザートを作成する際に広く使われる可能性があります。ただ、脈流させながら、とありますが、ここを脈流させないで製造できる方法が開発されればエスケープも可能ですが。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下層部となるゲル化性溶液や流動食品を充填後、上層部となるゲル化性溶液や流動食品を脈流させながら多孔ノズル又は複数のノズルを用いて容器に積層することを特徴とする多層食品の製造方法。

【請求項2】
上層部の充填時における上層部の粘度ηUと下層部の粘度ηLの関係が、ηU≦ηLであることを特徴とする請求項1に記載の多層食品の製造方法。

多層食品及びその製造方法:特許第4022558号
日本ミルクコミュニティ株式会社

雪印メグミルク(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:中野 吉晴)は、『重ねドルチェ 4層がとけあう カシスオレンジ』(120g)を平成24年6月12日(火)より全国にて新発売します。

「重ねドルチェ」は、雪印メグミルク独自の特許製法(※)により製造した、魅力的な味わいと口どけを、それぞれ4層に重ねたデザートです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120601-00000012-maibz-ind

大平国際特許事務所は食品に関する特許出願も得意です。ご相談は以下のフォームからお気軽にどうぞ。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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