中国、米国は特許出願件数が増加
今日はある知財関係の懇親会に参加しました。
そこで特許庁審査部長が言っていたのは、中国は特許出願件数が52万件、実用新案登録出願が58万件もあるとのことでした。米国も50万件以上と特許出願件数が伸びています。
韓国の特許出願件数も10%程度伸びているようです。さらに、韓国は日本の特許を買いに来ています。
これに対して日本の特許出願件数は以前は40万件を超えていましたが、昨年は33万件とかなり減少しています。
これは、リーマンショック、東日本大震災等の影響もあると思われますが、早く出願数が回復して欲しいものです。リーマンショック直後は、知財予算が3割削減され、知財の維持費用は変わらないことから、出願数が半分程度に減った会社もあったようです。
また、特許事務所への値下げ圧力もあり、リーマンショックがあったために値下げせざるを得なかった事務所も多いようです。しかし、こうした値下げは、一度下げてしまうと、リーマンショックの影響がなくなっても回復しないことも多いので、特許事務所にとっては所員の給料を下げたり、ボーナスを無くして対応したりしていますが、知財業界にとってはあまりいいことではないでしょう。
実際、特許事務所の中堅の所員が企業知財部に転職する動きが活発化していました。優秀な弁理士が企業知財部に移って知財戦略をやるのはいいことですが、特許事務所の優秀な人材がいなくなるのは知財業界全体にとっては問題と思います。
それに加えて米国、中国、韓国が特許出願件数を伸ばしているときに日本だけが取り残されるのはますます競争上不利になります。日本経済復興が遠のくでしょう。
企業も大学も厳しい状況ではありますが、だからこそ、より質の高い優れた発明をして特許出願することにより、日本の産業を復活させてほしいものです。頭を使うのは、リーマンショックや東日本大震災とは関係ないですから。
2016年12月15日追記
先日日中韓特許庁シンポジウムというのに行って来たのですが、中国では年間108万件出願があったそうで、すごい勢いで特許出願が増えています。そして、それに対応して、北京の知財に関する裁判所も46人もの裁判官がいるそうです。
日本では、知的財産高等裁判所(知財高裁)がありますが、裁判官は26人しかいません。中国では北京のみで46人ですから、日本の倍近い裁判官がいることになります。
日本も出願数はともかく、特許の質を上げて、基本発明をして、世界で通用するような画期的な技術を開発し、世界でのヒット商品開発につなげて欲しいものです。