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会社員、大学教員、公務員等が個人で特許出願する場合

会社員で会社の製品に関係するアイデアが出て、特許出願する場合や、大学の教員、公務員等が出願する場合、職務発明、業務発明、自由発明のどれに該当するかで出願する方法が変わります。

職務発明は、会社員や公務員が、会社や国、地方公共団体などから発明することを期待されている研究員や開発部員の場合は、職務として発明しているわけですから、職務上出てきた発明は会社や大学などが特許出願する権利を承継するような職務発明規定を置いていることが多いです。

2016年4月1日以降は職務発明制度が大きく変わり、使用者が特許を受ける権利を取得することができるようになりました。ですから会社の職務発明規定によっては、職務発明の完成により、使用者が特許を受ける権利を得ることが可能です。

そして、発明の対価についても職務発明ガイドラインが公表され、発明の対価として、留学、ストックオプション、昇進・昇格、有給休暇を余分に付与、実施権許諾なども認められるようになりました。ですから、青色発光ダイオードなどのように職務発明訴訟をして数億円規模の発明の対価を得ることは今後は難しくなると思われます。

以前は、発明して会社に評価され、研究所長になって相当の給料をもらっていた人が、退職後職務発明訴訟を起こして億単位の対価を得る、というようなことが実際にありましたが、今後は、発明により昇進した場合は、それが職務発明の対価とみなされ、職務発明の対価訴訟をしても負けるケースも出てくるでしょう。

あとは、会社が発明者にどの程度の報償金を出すか?の問題でしょう。それは会社にとってどれだけ特許が重要かによって変わってくると思われます。製薬企業のように1つの特許で数千億円、数兆円の売上げを守るような場合は、特許が会社の存亡を握っているとさえ言えます。

しかしながら、電機業界では、ほとんどの場合に代替技術があり、少し性能は落ちても、別の方法で特許を回避できる場合も多いです。また、一山いくら、で特許がまとめて取引される場合もあります。そういう意味では1つの特許の価値が製薬業界ほど高くはないことが多いです。

食品業界では、製品の寿命が3年程度のものが多いですから、特許の審査請求をする頃には商品が製造販売終了している場合もよくありますから、特許の価値はそれほど大きくないとも言えます。むしろ、広告宣伝により売れるかどうかが決まるので、特許発明はそれほど重要視されない可能性があります。健康食品、機能性食品は別で、サントリーのセサミンの特許は相当の収益(おそらく毎年数百億円レベル)を生み出しましたが。

多くの会社では、職務発明の対価(報償金)は、その特許製品の売上げの%で計算する規定があると思われます。個人的には会社の場合は、0.01~0.1%程度が妥当かな、と思います。0.01%の場合は、1億円の売上げで1万円、100億円の売上げで100万円ですから、社員としては少ないと感じるかも知れませんが、それ以外に昇進や海外留学などで報いられることになるのでしょう。

まずは就業規則をしっかり読んで、職務発明の取り扱いを調べるとよいです。あるいは、直近の上司に聞いてみて、それでわからなければ知財部に問い合わせれば教えてくれると思います。知財の取扱は法律で定められていますから、メチャクチャなことにはならず、常識的な解決になると思われます。

ただ、例えば、電気会社の研究員が研究テーマとして液晶パネルの発明を命ぜられ、それに関する発明をした場合は職務発明として明確ですが、会社の職務と関係ない発明もありえます。例えば、冷蔵庫の発明で液晶パネルとは関係ない発明とかです。ただし、会社が冷蔵庫の製造販売もしている場合は業務発明に該当するので、会社に届け出る義務がある場合もあり得ます。あるいは、毛生え薬とかの発明なら会社の業務とは全く関係ない自由発明なので自分で勝手に出願しても大丈夫です。

その場合、会社の業務に関連する発明の場合は業務発明と呼ばれます。これは会社からその分野の発明をすることは期待されていないけれども、たまたま発明してしまったような場合です。研究員ではない、営業部員が新製品のアイデアを思いつき、発明したような場合です。

例えば、冷蔵庫を会社が販売していた場合、社員が職務でなく冷蔵庫に関する発明をした場合は、通常は、会社に有益な発明ですから、まず会社に届け出るよう職務発明規定や就業規則に書かれていると思います。そして、会社が必要となれば職務発明に準じて取り扱われる場合が多いと思われます。つまり会社が特許を受ける権利を承継して出願し、報奨金も職務発明と同じか、それ以上が支払われるのが一般的です。

会社がその発明は不要、ということになれば、会社員個人に特許を受ける権利(出願する権利)が戻りますから、自分で特許出願をしてもいいですし、他社に売り込んでもよいです。ただ、あからさまなライバル会社に売り込むと会社に不利益を与えたということで別の意味で会社の処遇が悪くなるおそれはあり得ます。

最後は自由発明です。これは、製薬企業の研究員が自動車部品や冷蔵庫などの発明をしたような場合です。会社の設備も使わず、勤務時間外に、自分の趣味で車の整備をしているときに思いつき、試作したらとてもよかった、というような発明です。

このような発明については、会社の業務にも無関係ですし、発明に対して会社の寄与はほぼゼロですから会社に届け出ずに個人で出願しても通常は問題ないと思われます(特殊な規定があれば別です)。

ただ、裁判では何とでも争えますから、会社としては、給料を払って生かしているから発明ができた、会社が発明に貢献しているから会社に発明を届けないのは会社に不利益を与えている、等という主張をしてくるかも知れません。しかし、それは単なる嫌がらせで終わる可能性が高いとは思いますが。

いずれにしても、問題が起きないようにするためには、知財部(特許部)に発明について相談して個人出願してよい、というお墨付きを得ておくのが確実と思います。

上のような問題に限らず、大平国際特許事務所では読者の皆様からのお問い合わせを受け付けております。以下からお気軽にご相談下さい。

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大平 和幸

弁理士、農学博士、特定侵害訴訟付記弁理士。東京大学大学院(修士課程)修了。修了後、大手洋酒食品メーカーでバイオテクノロジーの研究開発に約18年従事。その後特許情報部(知的財産部)、奈良先端科学技術大学院大学特任教授。特許流通アドバイザー。大平国際特許事務所所長。弁理士会バイオライフサイエンス委員会副委員長。iPS細胞特許コンサルタント。食品、医薬品、化粧品、バイオ等の化学分野が得意。機械、装置、ソフトウエア等の出願実績あり。

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