メールのやり取り(インターネット上のやり取り)のみでの発明相談⇒特許出願完了も可能です

私の事務所は川崎と大阪にあるのですが、九州の長崎県や鹿児島県など遠方の発明者からのご依頼もあり、その場合は、直接お会いすることなく、メールのみで相談を受けてメールのやり取りのみで特許、実用新案、意匠、商標登録出願まで完了させる場合も多いです。

直接お会いして相談するのは半分位でしょうか。ご要望があれば、skypeでの相談も承りますが、今のところそのようなご要望はなく、メールと電話、FAXで出願まで完了しています。

中にはたまたま大阪出張があったから、武蔵小杉は近いから、実家があるから、等の理由で面談を希望される方もおられますが、ネットからのご依頼の半分位です。

ですから、ご相談のある場合は、まずは、メールでご連絡いただき、面談を希望されない場合は、パスワードをかけたファイルで発明内容をお知らせいただき、パスワードは別途携帯メールアドレス(お問い合わせがあった場合に個別にお知らせしています)にお送りいただいています。

その後、ご依頼があれば、先行技術調査をし、出願決定となれば、明細書の作成に着手します。先行技術調査はしないケースもあり、その場合は、出願人様ご自身で特許庁のJplatpatなどで調査していただきます(調査の簡単なやり方はこの記事の最後の動画をご覧下さい)。

先行技術調査をしない場合は、出願人様の発明は新規性、進歩性がある、という前提で明細書を作成しますが、先行技術調査をしていないので、当所では特許になるかどうかは判断できません(法律上の発明に該当すること(特許適格性)は判断いたします)。

もちろん、先行技術調査といっても、侵害調査のように1つの漏れもないように徹底的に各国の特許文献を調査するようなやり方ではなく、先行技術調査はズバリに近い出願がされていないかを見るものです。範囲も通常は日本の特許文献、または商標出願、登録のみになります。

世界中の特許、学術文献を1つの漏れもないように調査するとなると数千万円の費用がかかってしまいます。英語圏以外ですと、その国の現地代理人に依頼することになり、通常最低でも1カ国20万円以上かかります。新規性・進歩性を厳密に判断するとすれば、そこまでやらないと完全にはわかりません。

出願費用が30万とすれば、拒絶された場合の損失の最大額が30万円~100万円として、100万円のために数千万円かけて調査するのは時間と費用の無駄ですから、10万円程度の先行技術調査をしてそれで近い先行技術がなければ出願する、というのが多くの会社がやっているところです。

もっと徹底している会社は、あえて先行技術調査をせず、特許庁に調査してもらう費用が出願費用、と割り切っていたりします。大企業であれば、予算も十分にあるのでそれでよい場合もあります。

さらに、アメリカのIDS(自分の知っている特許性に関連する文献を全て提出する義務)を考えれば、調査をして近い文献を見つければ見つけるほど、それによって拒絶されるリスクが高まりますから、ある意味、調査をすればするほど自分の首を絞めることになるという見方もあります。

実際、ノーベル賞を受賞した先生があらゆる先行文献をIDSで提出したために、米国ではその中の1つの文献により拒絶理由が来て、その分狭い権利しか取れませんでした。それが引用されなかった欧州ではより広い権利が取れています。そういう意味で、先行文献を知りすぎると、IDSで出さざるを得ないので反って不利になりかねません。そういう意味で、ある会社では特許調査をするな、と知財部が言っているという話も聞いたことがあります。

特許調査してある程度近い技術があっても、何か違いがあれば、補正することで特許にできる場合もあります。全く同じ出願があれば、さすがに特許化は難しいので、そのような出願がないかを調査するのが出願前調査の目的です。

特許出願前の調査はJplatpatを使って簡単に調査することができます。こちらの動画をご覧下さい。若干お聞き苦しい点があるかも知れませんがご容赦下さい。さらに精度の高い調査をご希望の場合は当所までお問い合わせ下さい。

 

出願明細書の書き方と品質の上げ方

特許申請の明細書を本気で気合いを入れて書くと、かなりいいものができます。世界最高レベルの明細書を書こうと思って書くと、やはり、普通に書くよりもさらに優れた明細書が書けます。

企業が依頼してくる特許出願には、非常に重要だから何としても権利化したい、という本当に事業にとって重要なものと、大学の先生との付き合いでとりあえず出願しておこう、というような、それほど気合いを入れなくても問題の少ない出願があります。

なので、企業としても、本当に重要な出願の場合は、これは非常に重要な出願だから、と弁理士に伝えます。そうすれば、弁理士も全力でいい明細書を書こうとしますからいいものができます。

もちろん、発明内容を見て、これはすごい、すごい発明だから、最高の明細書を書こう、という気になるような大発明は、企業様から重要、と言われるまでもなく、世界を変える発明ですから、弁理士としてもよりよい権利を取れるように、細心の注意を払って明細書を作成します。

企業様にしても、1人の人を雇って、研究をさせるとすれば、年間1000万円以上の投資をしています。それを回収できるだけの研究成果を出し、会社に貢献できる社員はそれほど多くないのかも知れません。

商品開発はセンミツ、1000に3つがヒット商品になる、と言われますから。そして、それはかなり運によるところが大きい気がします。

そういう意味では、特許出願した発明がヒット商品になる確率もそれに似たようなもので、特許製品が実際に販売されるか、また、ヒット商品になり、何年間も売れ続けるか?は非常に確率が低いと思われます。

しかし、それでも、製品の2~5%位が巨額の利益を生み、ヒットして数百億円の売上となり、数十億円の利益を生み出せれば、特許出願費用はそれほど問題にならないと思われます。

そう言う意味では、ある程度の数を出さないと特許製品で利益を得るのは難しいとも言えます。やはり、最初は売れる商品を作るところが重要だと思います。

欧州の口頭審理召喚通知

欧州特許庁(EPO)に出願(PCT出願の移行手続き)すると、サーチレポート、拒絶理由が来てから、口頭審理召喚通知が来ることがあります。口頭審理は審査官が複雑と考えたような場合に出されます。

口頭審理では、当日1回で結論が出るので、できるだけそれ以前の補正書、意見書の段階で拒絶理由を解消して口頭審理を避けたいところです。通常口頭審理の日までには半年以上の期間があるので、その間に補正書、意見書を提出して、審査官に拒絶理由が解消するか、打診できます。

しかしながら、もともと複雑な案件なので、必ずしも事前に提出した意見書、補正書ですんなり拒絶理由が解消するとは限りません。

口頭審理の日(書面提出期限)までに拒絶理由が解消できない場合、可能であれば、日本の発明者が欧州特許庁に出張して口頭審理に参加すれば一番よいのですが、費用の面から難しいケースもあります。

その場合は、欧州代理人(弁理士)にメールや電話等でこちらの意図を説明して、欧州代理人のみに口頭審理に行ってもらうことになります。その場合、この補正をすれば確実に特許になる、という補正をAuxiliary claimとして入れられれば少し安心して任せられます。

しかしながら、拒絶理由(objection)がどうしても解消できる見込みがない場合は、口頭審理の場での対応になるので、何が出て来るかわからない口頭審理にそうした成り行き任せで参加した場合、拒絶されるリスクが高くなります。

最悪、口頭審理で拒絶査定が出る恐れがあり得ます。そうならないように何とか知恵を絞って、確実に拒絶理由を解消する対策を考え出す必要があります。

 

間違った論文が先行技術文献として挙げられた場合

小保方晴子氏の論文はねつ造ということで片がつきましたが、論文は出ているけど、実際は間違い、というのが学会では公然の秘密のようになっている論文があります。

以前私が体験したのは、ハワイでカフェインレスコーヒーができた、という特許が国際調査の引用文献にあがって来たのですが、その論文はウソで、それを書いた教授はウソだとバレて大学を追放になっていました。

しかしながら、その遺伝子クローニングと配列がウソだということを直接的に証明するには、同じ遺伝子を合成し、コーヒーに入れてうまく行かないことを証明する必要があります。

それには、相当な費用と時間がかかるため、現実的には直接的に実験でウソだということを証明することは不可能でした。

で、結局は、それらの事情をしっかり説明して、配列も全く違うし、その教授のその後の研究状況等も説明してJSTの審査員の審査は何とか通すことができました。そのために毎日夜23時以降まで残って説明資料を作ったりしました。

このように審査で、明らかな間違いを含む論文が引用されることはときどきあります。あるいは、要約では差があるように書いていますが、実際のデータを見たら、誤差範囲で到底有意なデータとは考えられないような引用文献もありました。

そのような場合は標準偏差等を根拠に誤差範囲であることを主張すれば引用文献から外れる場合もあり得ます。

しかし、微妙なケースもあり、そういう場合はちょっと苦労することもあります。

完全に間違いではないけど、本質的には微妙に間違っている、というようなケースです。そのような場合でも結局は丁寧に間違いを説明するしかないのですが。

いずれにしても、間違った先行技術論文や先行特許が引例になった場合で微妙なケースは反論に苦労します。特許庁としては、一応論文はウソではない、という前提で出して来ますから。

そして、それがウソである、ということを証明するのはほぼ不可能か、非実際的なケースがほとんどですから、厳しい面があります。しかし、ウソであれば、何等かの証拠が残っているのし、その続報の論文等も調査することで、ウソであることを間接的に証明することができる場合もあります。

真っ当な研究者でもときどき間違った論文を書くので、論文に間違いが含まれるのは仕方ないですが、間違いとわかった論文や特許はできれば取下げて欲しいです。でないとウソの論文のために拒絶理由が来てウソであることを証明するのに意味のない時間が取られますから。