拒絶理由の引用文献の原語 フランス語、チェコ語、ドイツ語

出願の拒絶理由の引用文献が英語ならいいのですが、フランス語も結構来ます。ドイツ語もたまに来ます。最近ではチェコ語のが来ました。

最初スロバキア語で読み込んだのですが、どうもチェコ語のようなのでチェコ語で取り込みなおしてみました。

ドイツ語、フランス語の場合はGoogle翻訳で英語に直せばほぼわかります。

しかしながら、チェコ語の場合はそれでもOCRの読み取りミスなどもあり、また、医学用語等の場合は普通の辞書には載ってない単語もあり、英訳してもわからない部分がかなりありました。

そこで、チェコ語の辞書を使って一語づつ訳してみたのですが、ちょっとした語尾の違いで意味が違ってくるのでどの訳が正しいのかよくわからなくなりました。

とはいえ、結論部分とキーとなる部分は何とか理解できたので、拒絶理由に対する反論は書けそうです。

普段は拒絶理由対応も1日3件位はやるのですが、今日はチェコ語の翻訳に半日以上使ってしまいました。たまにはこういう日があってもいいかな、と思っています。ちょうど仕事が少し余裕がある時期だったので。

前職の会社の特許部で、東欧等いろんな国の原語が読める人がいたのですが、その人は辞書で調べて読んでいました。今はGoogle翻訳やExcite翻訳等もあり、辞書もオンラインのがあるので、チェコ語のように普通の人は一生読まないような言語も何とか読めることが分かりました。

今度はタイ語とかに挑戦してみようかと思っています。その前に中国語もきちんと読めるようになりたいですが。

拒絶理由通知の応答期間の延長

出願後、審査請求して拒絶理由が来た場合、通常は60日以内に応答する必要があります。特に補正は、応答期間を過ぎると受け付けてもらえません。

意見書については、指定期間を過ぎても受け付けてもらえることがありますが。意見書は審査官の指定期間、補正書は法定期間だからのようです。

また、現状では、新規性、進歩性に関する拒絶理由に対して実験する場合にのみ1カ月の延長が認められています。

外国人には翻訳等の理由で延長が認められています。

これが4月1日からは、日本人でも合理的な理由(実験が必要)という要件がなくなるため、2カ月の延長が申請さえすれば理由は関係なく認められるようになりました。

このあたり、アメリカや欧州では延長が認められるのに、日本では実験をする場合以外認められず非常に不便でしたが、漸く欧米のように認められるようになったというわけです。これは特許法条約への加入のためのようです。

とはいえ、アメリカではもともと3カ月が応答期限で、その後3カ月まで延長できるので、最大6カ月以内に応答すればいいのに対し、日本では4カ月とまだアメリカよりは短いです。

最近では、拒絶理由の文献も長いものも増えてきて、外国の特許文献の場合数百ページにも及ぶものもあります。

さらに、最近では、例えばチェコ語の引用文献が引かれたこともあり、字が小さくてグーグル翻訳もきちんとできず、読むのに苦労します。

そういうこともあり、無条件に2カ月延長できるのはありがたいです。

外国人の場合は2カ月+1カ月の3カ月の期間延長が認められます。

4月1日の施行ですから、2月3日頃以降に到着した拒絶理由から2カ月の延長が認められることになるのでしょう。特許事務所としても少し気が楽になります。従来の2倍の検討期間が得られますから。とはいえ、2倍の検討時間をかけて従来と同じ料金でやっていては経営が成り立たないので、うまく時間を使う必要があるのは従来と同じですが。

他にも4月1日施行の改正法では職務発明規定の改正、特許料の値引き等があるのですが、それらについてはまた別の機会に書きます。

特許申請を弁理士(特許事務所)に依頼するべき理由

特許申請を自分でやる、という個人や会社もときどき見受けられます。最近では、製薬企業の中には医薬の明細書は社内弁理士が内製する、というところもあります。

医薬の場合には、1つの製品で年間数百億円、数千億円単位の売上をあげることも普通にありますから、その特許1つに数百億円×10(年、存続期間)としても数千億円の価値があるわけです。

ですから、徹底的に手間も時間もかけて明細書の完成度を上げるのは当然でしょう。発明者と何度もやり取りをして時には数百時間かけてでも完璧な明細書にすることに意義があると思われます。

弁理士に1時間程度の説明と資料のみで依頼しても、発明者が話してない特徴まではさすがに完全には理解できないですから、社内で徹底的にヒアリングすることでよりよい明細書を作成できるとも言えます。もちろん、弁理士もその分野の教授クラスの専門家であれば、少し聞いただけで全貌がわかり、知財部員よりもいい明細書が書ける人もいるとは思われますが。

そういう意味では、内製する場合でも社外弁理士に2重チェックを依頼することの意味はあると思われます。知財部員では気づかない視点からの修正点がある場合もありますから。

上記以外に、個人や中小企業で費用を節約するために自分で明細書を書く、というケースもあります。

その場合には、特許明細書を自分で書く手間と時間と書く人の時給を十分比較検討されることをお勧めします。

時給2000円として、特許明細書を作成するのに半年位かかり、50時間(正味約6日間)かかれば10万円、100時間(正味約12日間)かかれば20万円のコストがかかります。部長クラスが書くとなれば時給はその倍位でしょうから、もっとコストと時間がかかります。そうであれば弁理士に依頼した方が安上がりで質もいいものができます。

しかもその間その人は別の利益を生む得意な仕事に集中できます。例えば、明細書を書く時間を別の研究開発に向ければ新しい発明をして売れるヒット商品を生み出していたかも知れません。

しかし、例えば、30時間以内位(正味4日弱)で明細書と図面を書けるのであれば、ご自身で明細書を書いて自社出願する手もあると思われます。これは一度明細書を書いて弁理士に依頼して出願して、そのシリーズで数値だけを変えればいいような場合等が考えられます。

最初の出願を弁理士に依頼し、その後、ほぼ同じパターンの明細書を書くのであれば、それも可能と思われます。ただし、その間に判例が変更になったり、法改正や審査基準の改定があってそれに気づかなければ思わぬ損失を被るおそれもあり得ますから、そのあたりも自分で監視しておく必要があります。

さらに、自社出願の場合は、細かい明細書のテクニックが十分入ってなくて、拒絶理由に応答できない場合もありますし、あるテクニックを使うことで通常の明細書よりも広く権利が取れる場合もあり得ます。

私も自社出願された後に特許事務所に依頼してきた出願の拒絶理由を何度か体験しましたが、明細書の記載が少なすぎて補正できない、というケースもかなりありました。

自社で明細書を書く場合は将来の拒絶理由が来ることも想定して、それに応じて限定できるように様々なバリエーションを書いておく必要があります。

このあたりは特許事務所はひな形を持っている場合もあり、例えば、「潤滑剤としては、・・・・が挙げられる」等と大量の定義を書いておいて、拒絶理由が来たら、そのうちのどれかに限定して特許にすることも可能ですが、自社出願の場合はそうした記載が不十分で補正できないケースもありました。

また、サポート要件違反(記載不足)の場合は、記載していなければどうしようもありません。もちろん、技術常識であることを主張できれば拒絶理由が解消するケースもありえますが、ほとんどの場合は実施例まで減縮補正せざるを得なくなります。

また、自分で対応する場合、特許化できるギリギリの補正ではなく、限定し過ぎる傾向があります。そのあたりの感覚は特許庁とのやり取りを何度もしないとわかりませんから。

するとせっかく特許申請したのに、他社が特許を簡単にすり抜けられる(エスケープできる)ザルのような特許しか取れず、特許を出願した意味が無くなるケースもあり得ます。

そういう意味から言えば、特許申請は専門家の特許事務所(弁理士)に依頼するのが結局は安上がりではないかと思います。弁理士の数十年の経験が詰まった明細書の価値は数十万円は下らないでしょうから。

実際、アメリカでは1出願300万円も普通ですが、日本ではその10分の1位の料金で出願できます。

 

 

特許異議申立件数はアップルが米国で1位

米国の特許戦略に関する書籍「エジソンが役員室にいたら」には、特許は権利行使しなければ持っている意味はない、というような記載がありました。

特許権を保有していても、侵害者を放置するなら何のために特許権を保有しているのか意味がわかりません。侵害を止めさせるためのものですから(もっとも、直接権利行使する以外にも、特許出願や特許権があることで他社の参入意欲を無くさせるという意味では役に立っている可能性もありますが)。

ですから、革新的な製品を次々と開発する企業は特許出願も重要ですが、他社が侵害していないか、常に市場に出回っている製品を監視する必要があります。

こういう侵害品は営業マンが見つけて来る場合も多いので、知財部(特許部)と営業部との連携も大切です。もちろん、日用品等であれば知財部員が買い物に行ったついでに発見する場合もありますが。

そして侵害品を発見したら、まずは警告状を出し、その後交渉して止めさせたり、ライセンス料を取ったりします。

交渉が決裂すれば訴訟に持ち込み差止と損害賠償を求めます。これには相当の費用がかかるので、少しの侵害だと訴訟費用が赤字になるので、ある程度泳がせておいてそれなりの賠償額に達してから訴訟する場合もあります。

こうした侵害品対策ともに、他社の特許出願への対策も重要です。自社製品の製造販売に抵触するおそれのある特許出願はもちろん、自社製品の特許出願に類似する特許出願についてもできる限り見つけて潰す必要があります。

日本でも昨年から異議申立制度が再開されましたが、特許が成立してから6カ月間であれば誰でも異議申立が可能です。

これは米国でも同様で、こうした異議申立が最も多いのが、アップルだそうです。

調査会社Lex Machinaが行った調査によれば、2012年9月から米国特許商標庁特許審判部(Patent Trial and Appeal Board:PTAB)に対し、アップルは252もの異議申し立てを行ったそうです。

日本の会社の場合、化学分野では会社でも年間1~数件程度他社特許を潰したい、という相談を受けますが、年間100件近くの異議申立は非常に多いと思います。それだけ特許部隊がしっかりしているのでしょう。

2位のサムスンが100件ですから、アップルの252件はその2.5倍で、飛びぬけて多いと言えます。

サムスン以下の順位としては、グーグル、LG、マイクロソフトとテクノロジー企業が続きます。なお特許申請件数自体は、意外にもアップルはそこまで多く無いようです。

私が10年位前に米国で聞いた話では、シリコンバレーのIT企業は特許はあまり取らずに、先行者利益で独占する、というような話でしたが、最近では事情が変わっているようです。GoogleやMicrosoftも数百件規模で特許を購入したりしていますから。

シリコンバレーでは他者のアイデアは知っていても盗まないという文化がありますが、東洋は基本的にマネするのでサムソン等が参入してきたことで、シリコンバレーのITの特許戦略も変わって来たのかも知れません。アイデアをサムソン等にマネされて損害が生じることを認識した可能性があります。

また、訴訟に対する防御の意味でも特許を保有するのは有効です。米国では訴訟になれば数十億円の賠償金は当たり前ですし、特許訴訟の場合は3倍賠償もありますから、1000億円規模の賠償金をなることもあります。そういう意味では、防御の意味で特許を保有しておくことも重要でしょう。撃たれたら撃ちかえすことで攻撃的防御が可能ですから。

日本でも異議申立制度が復活しましたが、これは特許を潰す側にとってはとてもいい制度で安価で手軽に特許登録の見直しをしてもらえます。特許を潰したい企業にとっては無効審判よりも使い勝手がよいです。

アメリカでもそれは事情が似ているようで、PTABがその温床になっている、とFortuneは分析しています。

とはいえ米国で特許を潰せる成功率は23%ですから、決して高いとは言えないでしょう。これは、審査部がしっかり審査して、特許にならない出願はきちんと拒絶しているから、とも言えます。

ただ、この異議申立により、個人発明家の特許を潰しているのが実情のようです。大企業なら優秀な特許弁護士が反論して潰されないで済むところを個人発明家の場合は大企業の弁護士との議論に負けるのではないかと思います。

いずれにしても、米国のIT系企業も特許を重視する方向に変わっていているように感じます。

弁理士試験と弁理士受験生の勉強法ノウハウ

昔は弁理士試験の合格者が50人位で特許法の条文を覚えていれば何とかなった時代もあったそうです。その頃は弁理士が出願を1件すれば、新入社員を2人雇える位の報酬があったそうで、ベンツに妾(愛人)、という弁理士もいたそうです。

その後、2000年位までは弁理士試験の合格者数は100人位で、総弁理士数も4000人位で、ちょうどいい人数で、独立弁理士の平均年収も2000万円位と今思えばいい時代でした。

ところが、2000年頃から、弁理士合格者数が100人から200人、300人と増加を始め、最も多い年は900人近くの合格者が出るようになりました。

それにより、弁理士数も4000人台から1万人位まで増加しました。

しかしながら、特許出願件数自体は減少していますから、単純計算すると弁理士の収入は2.5分の1以下になってしまいます。

もっと細かく見れば、年間40万件が30万件弱に減り、弁理士数が2.5倍ですから、30÷40÷2.5=0.3 つまり、昔の3割となります。

昔平均年収2000万なら今は単純計算ではその3割の600万円ということになります。

もちろん、これは平均ですし、企業内弁理士も増えていますから、こうした平均年収はほとんど意味はないですが。

ただ、上記に加えて、企業内弁理士が増えたことで、従来おいしい収入であった、国内優先権主張出願で、ほとんど何も追加なしでも30万円、各国移行で各国毎に20万円、というような、比較的作業が楽な報酬が見直されるようになり、これらに対する値下げ圧力が強まっています。

従来はこれらのおいしい収入により、作業量が多く大変な割には報酬が高くない特許出願料金を20~40万円に押さえても何とかなっていたのですが、おいしい収入だけが削られて、大変な部分も値上げできるとは言えない状況です。

また、リーマンショックで研究費とともに、知財予算が3割カットされたりして、企業の出願件数が半分に減った会社もありました。そういう時期にかなりの値下げを要求され、のまざるを得ない事務所もあったと聞いています。

しかしながら、景気がリーマンショックや東日本大震災から回復したとしても、その時期の料金体系を元の料金体系に戻すことは難しいと思います。

さらに企業内弁理士の増加により、企業内で明細書を書いて自社出願するところも増えてきていますから、特許事務所へ出さずに社内で全部やってしまう製薬企業等もあります。

そういう状況を考えると、弁理士資格を取ったら、ただ座って仕事を待っているだけで年収2000万円、というのは夢物語になってしまいました。

これは弁護士、会計士等士業一般に言えることでもあり、士業はお先真っ暗、という有資格者もかなりいます。

しかしながら、実際には、マクロ的にはそうなのですが、私の周りの弁理士達は伸びている弁理士事務所経営者もかなりいます。

ということは、競争が激しくなり、下の方の参入者は増えて苦労しているけど、実力があり、選ばれる弁理士であれば、逆に業績を伸ばせる、ということでもあります。

そういう意味では、全体的に見れば厳しい環境ですが、弁理士になるメリットは今でも十分あるということです。やり方次第で年収億も可能でしょう。要は、他のビジネスと同じで競争に勝てば残存者利益で金のなる木(cash cow)が持てます。

ですから、優秀で自信のある人は弁理士試験にチャレンジするのもよいと思います。

私は、2008年頃から受験勉強のノウハウを販売しています。ビリからでも東京大学に合格できるノウハウですが、弁理士試験や司法試験、司法書士、社労士、行政書士受験生等も購入され、購入者の中からは、米国公認会計士(USCPA)合格者も出ています。

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食品の用途発明が特許可能になりました 審査基準が4月改定予定

本日特許庁から発表がありましたが、食品の用途発明が認められることになるようです。
https://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/syokuhin_201601.htm

これにより食品企業の特許戦略は大きく変化するものと思われます。
産業構造審議会で審議した結果、4月中を目処に食品の用途発明の
審査基準が改訂されるようです。その前にパブリック・コメントが
ありますが、おそらくほとんど変わらないと思われます。
それにより、

成分Aを有効成分とする○○用剤

成分Aを有効成分とする○○用組成物

成分Aを有効成分とする○○用食品組成物

成分Aを有効成分とする○○用ヨーグルト
などが食品の用途特許として認められる可能性が出てきました。

ただし、動物、植物については、動物、植物の有用性を示しているに
過ぎないので、用途限定のない動物、植物そのものと解釈され、動物、
植物に新規性がなければ認められないようです。

例えば、○○用バナナ、○○用茶葉、○○用サバ、○○用牛肉などに
ついては用途限定がないものとして解釈されますので、バナナ自体は
新規性がないですから、拒絶されると思われます。

動物、植物ではなく
○○用バナナジュース、○○用茶飲料、○○用魚肉ソーセージ、
○○用牛乳 などは用途限定を構成要件に含めて解釈されますので
バナナジュースの新規用途、例えば、頭が良くなる効果等を発見できれば
脳機能改善用バナナジュース等で特許が取れる可能性があるということです。
https://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/pdf/new_shinsakijyun08_shiryou/03.pdf

利益を生む特許と休眠特許 知財部をプロフィットセンターにするには?

会社の売上を上げ、利益を向上させる特許の代表的な例としては、自社のヒット商品に貼りついた特許です。数億円~数兆円の売上を上げる商品であれば他社が参入して来ますから特許で守る必要があります。

特許で自社の優位性を確保することで、競争優位性を構築することが可能です。

逆に製品に貼りついた特許でも、その製品にしか使えない特許の場合は、その製品が売れずに製造中止になったり、そもそも商品化しなかったりすればその特許は単なるコストになります。

とはいえ、そういう特許であっても、中小企業で実用化できる場合もあり、そういう場合はライセンスか売却すれば利益を生み出すこともあります。

また、ある会社にとってどうしてもその特許が無ければ事業ができない、という特許であれば、その会社にとっては数十億の価値がある場合もあります。

しかし、実施しない企業にとってはその特許の価値は0です。

つまり、特許の価値は会社の事業にどう活用できるか、により大きく変動します。0~数兆円まで特許の価値は変動します。

とはいえ、特許出願のときに、その商品が売れるかどうかはわかりません。例えば、医薬品でシード化合物を発見したとしても、それが臨床試験で副作用が出て販売できなくなる場合もあり得ます。そうなると、その化合物の特許にかけた費用は単なるコストになりえます。

しかし、いくつもの化合物について特許を出しておけば、そのうちのどれかが利益を生むブロックバスター医薬になる可能性もあります。そういうのが1つでも出れば、年間1000億円以上の売上を生み、巨額の利益が得られますから、全ての出願費用よりもはるかに大きな利益を生み出します。

こうしたことから考えると、全ての特許が同じように利益を生み出すというわけではなく、利益を生み出す特許と、単なるコストになる特許、その中間の特許が存在します。

だとすれば、いかにして、利益を生み出す特許を増やし、単なるコストになる特許、休眠特許を減らすか?が問題になります。

休眠特許を活用する制度として、特許流通アドバイザーという事業があり、そこでは、各企業の不要な特許を他社に紹介して実用化する、ということをやっていました。そうした、特許のライセンスや販売を仲介する業者を利用して不要な特許を売却してキャッシュに変える、というやり方もあります。

ある大学では、大学特許を海外の特許買い取り企業に販売していました。しかしながら、それにより、日本企業がその特許によって攻撃されるケースもあります。すると、安い値段で売った特許によって日本企業が巨額の損害賠償を払わされる、ということにもなり得ます。

そうしたブーメランのようなことを避けることも企業にとっては重要です。

さらに、侵害訴訟で攻撃を受けた際に、相手を逆に攻撃する(カウンター訴訟)のためにだけ使える特許のあり得ます。

そう考えると、特許はある意味保険みたいなもので、ある程度の数持っていることで、他社特許を侵害した場合に、他社からの攻撃に対する防御として使えることもあります。

なので、製品に多数の特許が貼りついている、電気、機械関係であれば、ある程度の数の特許を保有することは侵害訴訟対策にもなります。

医薬やバイオの場合も数は少ないですが、やはりカウンター訴訟用の特許は持っているに越したことはないでしょう。

そういう意味からいえば、一定の割合で休眠特許が出て来るのは止むを得ないと思われます。そのコストはヒット商品で十分に回収できるのであれば、休眠特許はヒット商品が出た場合に適切に保護するための必要物とも言えます。

ただ、現実から言えば、研究所でたまたま面白い結果が出たから特許出願する、というケースも多いです。また、何に使えるかわからなかったものが、将来大ヒット商品を生み出す発明であることもあり得ます。

そういう意味で、マーケティング主導で製品開発に合せて必要な特許を取得する、という戦略的出願をしなくても、研究者が持ってくる発明を特許出願していてもある程度は知財部の役割は果たせます。

しかし、やはり、商品開発に連動して、その商品を戦略的に守れるような特許を出願することも重要です。

大型商品の企画があれば、開発段階からどういう特許でその製品を守るか、を考えて、知財部の方から特許網(特許壁)を作るために必要なデータを研究者に依頼する、というのも有効ではないかと思われます。

知財部がそこまで出しゃばる必要はない、という人もいますが、昔の知財部は研究者より優秀で無い、というよりも、おじ捨て山のような面がありましたが、今は優秀な知財部員が増えていますから、そうした提案もできるのではないかと思われます。

それにより、知財部をプロフィットセンターにできるのではないか、と考えています。

 

経営者(社長)のための特許戦略(知財戦略)

知財部員にとっては、出願数自体も関心事となり得ますが、経営者(社長、代表取締役)にとっては、売上向上、利益率向上、コストダウンの方が関心事だと思います。

特許を取ること自体で満足される方は少ないと思いますが、稀に、特許証を額に入れて飾ることに意義を感じる人もいます。

特許出願すると直接的には費用がかかりますが、それにより、他社の事業参入を抑制し、市場を独占できれば売上も最大化できます。その効果が見えにくいのですが、うまく特許網を構築できれば、他社の参入を防止することで、売上、利益とも増加させることができます。

そういう意味では、特許を使って市場を独占するか、他社の参入を最小限、あるいは、最高の製品は自社のみが製造販売できる状況を作るのが理想だと思われます。

その場合は、できるだけ網羅的な特許網(特許壁)を構築し、他社がその分野には参入できない位にすると非常に強力な保護が得られます。例えば、花王のヘルシア等は40位の特許、意匠、商標等の知財権が貼りついていたと聞いています。

しかしながら、そのためにはそれ相応のコストがかかります。知財部がコストセンターになっては問題で、プロフィットセンターにする必要があります。

大平国際特許事務所では、シリーズ特許については、割引料金で受任できますので、類似の発明について特許出願をお考えの場合はご相談下さい。

また、近年は、先行文献も増え、針の穴を通す位に難しい特許を申請することも多くなっています。

そういう場合に、針の穴を通して、ぎりぎりで特許を成立させる技術があれば、より強い特許網を構築でき、他社の事業参入を防止できます。

こうしたギリギリのところで特許化するのが得意なのが大平国際特許事務所です。

非常に難しい出願を特許にすることができれば鉄壁の特許網(特許壁)を築くことができます。

事業を守る特許網を構築したい場合は、ぜひ、大平国際特許事務所にご相談下さい。戦略思考、知財戦略、戦術が得意です。

 

特許庁での審査官との面接審査

私(大平国際特許事務所)はややこしい案件(拒絶理由通知)に対しては、まず審査官に電話インタビューを行い、それでも難しいときは、直接特許庁に行って審査官と面接することにしています。面接すると、包袋に応対記録が残りますが、包袋禁反言にならないやり方もありますから問題ありません。

先日も大阪から東京の虎ノ門の特許庁に行って面接審査をしてきました。もっとも、日程などがあえば、関西に審査官が出張することもあるし、TV会議も可能なようなので、よほどの案件以外は電話インタビューか、TV会議でもいいのかも知れません。(2016/8追記:今はインターネット経由でTV会議で複数の箇所をつないでTV面接ができますが)

面接のいいところは、どこまでこちらの言っていることを審査官に理解してもらっているかが直接審査官の反応からわかるので、誤解されていると感じたら、さらに資料を提出するか、既に提出済みの資料を用いて、理解してもらえるようにその場で説明できる点でしょう。

また、審査官の拒絶理由の意味をこちらが誤解している場合もあり、一見難しく見えても実は非常に簡単に解消できる拒絶理由だった、というケースもあります(もちろん、その逆もあり、こうすれば絶対拒絶理由が解消できる、と思う、自信満々の補正案に対して厳しいコメントをもらったこともあります)。

それに、拒絶査定不服審判の請求書あるいは理由補充書は文章で書くわけですが、それを一言で言えば、こういうことです、とまとめて言えば、逆にわかりやすい場合もあります。たとえて言えば、教科書などの本を読むのと、講義を聴くのとの違い、という感じでしょうか?わからなければその場ですぐに疑問点を突っ込んで聞けますし、説明する方も相手に合わせた言葉や説明ができます。

意見書や審判請求書、理由補充書を読むのは、その道のプロの審査官、審判官であっても楽とは言えないでしょう。元々の明細書も普通の人は読むのが苦痛な文章なのに、それをベースにした反論文ですから、なおさら理解しにくい場合もあり得ます。特に反論が10ページ以上もあればそのすべてを正確に理解できるとは限りませんし、読み飛ばしてしまう箇所もあるかも知れません。

それ以前に書く側(弁理士や知財部員、発明者など)の文章力、論理力の問題もあり、日本語として変な記載だったり、誤記や完全な誤解も含まれる場合もありえます。

そのような場合、面接をしないと、完全に誤解されて拒絶されることもあり得ますが、面接をすれば、全くすれ違いで拒絶される、ということは少ないと思われます。

以前、ある特許出願の拒絶理由通知で、審査官の引用文献に記載の発明の認定が完全に間違っていたので、それに反論する意見書を提出したのですが、それでも発明の認定が間違っていたことは認めず、さらに間違った認定に基づいていきなり拒絶査定が来たことがありました。

つまり、出願人が正しい反論をしても、それを審査官が理解してくれない場合もあるわけです。ある意味文章の限界ではないかと思います。

そういう場合は直接会って話をすれば、審査官がどこまで理解してくれているかわかりますから、理解していない点を理解してもらうように、より詳細に根拠を示して説明すれば理解してくれるはずです。

そうすれば、間違った発明の認定に基づいて拒絶されることは防げます。

そういう意味で、大平国際特許事務所では、拒絶理由に対して確実に意見書、補正書で対応できる(拒絶理由を解消できる)、と確信できる案件以外は面接審査をするようにしています。

裏話を言えば、面接をやると費用が余計にかかるので、出願人もやりたがらないケースも多いのも実情です。また、審査記録に面接記録が残るのを嫌がる会社様もあります。将来的に訴訟などで面接記録を根拠に無効の抗弁をされる可能性もないとは言えません(これについては、当所では問題にならないノウハウがあります)。

また、特許事務所にとっては面接審査をすれば1回で解決できることが多く、そうなると拒絶理由が何回も出て、拒絶査定不服審判も請求するケースに比べて儲からない、という面もあります。

審判まで行けば1つの特許が成立するまでに100万円以上のコストがかかることもありますから、特許事務所としては、面接しなければそれだけ儲かるのに、面接で拒絶理由1回で特許になってしまうとそのチャンスを失う、という見方もあります(ちなみに大平国際特許事務所の特許登録率は非常に高いです)。

とはいえ、面接審査して早めに特許登録査定にして成功報酬をもらい、次の案件に移った方が最終的には収益性が良くなる、という考え方もあります。クライアントの会社様にとっても何度も拒絶理由対応し、さらに、拒絶査定不服審判、分割出願など手間と費用がかかるのは好ましくないでしょう。できるだけ早く特許にしたいはずです。

私としては、1つの案件で拒絶査定不服審判まで行って徹底的に争い、それにより特許にすることも当然やっていますが、できるだけ審査の早い段階で面接して特許化するようにしています。これは企業様の出願件数が減少傾向の現状では儲けを少なくしかねないやり方で、経営的にはあまりうまいやり方ではないのかも知れません。

しかし、面接をうまく活用して早めに特許化して拒絶理由応答費用を抑えることにより、より多くの出願をしてもらい、それによりクライアント様の特許網(特許壁)、特許ポートフォリオを強化することでクライアント様の売上げが上がるならそれが一番いい、と考えています。どの特許が将来ヒットするかは予想できない面もありますから、特許出願の数を増やすことも特許による売上げアップ、ライセンス収入増には必要だからです。

つまり、会社の知財部(特許部)をプロフィットセンター化するには、ある程度の数を出願し、それにより巨額の利益を生み出す特許を保有することが必要と思います。そして、そうした巨額の利益を生み出す発明を発掘することも知財部員(特許部員)や弁理士の役割だと思っています。

大平国際特許事務所では、発明者の頭の中に眠っている発明を引き出す、発明コーチング&コンサルティングも行っておりますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせ下さい。

大平国際特許事務所へのお問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ

 

世の中をより良くする特許制度の意義と一流の弁理士

拒絶理由に正しく反論して特許化できれば特許の登録率が上がるわけですが、そこで少し疑問が出てきます。

この出願を特許にした場合、不当に保護を与えることにならないだろうか?というものです。私の根本的なポリシーは世の中をより良いものにする、ということですが、普通は特許にならないものを特許にして本当に世の中をより良いものにできるのだろうか?という疑問です。

もちろん、クライアントである企業様や個人の方にとっては広くて強い権利であればあるほど事業がやりやすくなるので何の問題もありません。むしろそれを実現するために高い費用を払って特許事務所に依頼しているわけですから。

中には一見無茶に思えるような依頼も無いわけではありません。と、いうよりも、業界によっては無茶ばかり、無茶のみ、みたいな依頼が来ることもあります(笑

そういう場合は、あの手この手を使って、ぎりぎりのところで特許化するわけです。本当に針の穴を通すような論理を作り上げ、先行文献との差異を主張し、到底無理、と思えるような拒絶理由に対して反論して特許登録査定を得ることができる場合もかなりあります。というか私にとってはそれが得意技でもあります。

この場合、普通レベルの弁理士では特許査定は無理だろうな、と思うケースもよくあります。そういうとき、ふと、私だから特許にできたけど、一般レベルの弁理士では特許にできずに諦めてしまう人もいるだろう。もしそうなれば、他社もこの技術を自由に使え、世間全体から見れば利益になるのでは?という疑問を感じるときもあります。

とはいえ、強すぎる保護であれば、他社が無効審判なり無効の抗弁ができるわけですから、不当な保護を与えるような特許はもし取れても後で権利行使した際に無効の抗弁で権利行使が制限されます。

例えば、アサヒ対サントリーの特許侵害訴訟のように、当たり前のような発明をうまく特許化したサントリーも、もしかしたら甘い審査官に当たったために特許が取れたけど、アサヒのようなビールの専門家から見たら進歩性を否定する根拠がいくらでもある、というのが実際のところかも知れません。

これは、ある意味、審査官がそこまで徹底的に調べられないために特許になったケースなのかも知れません。例えば、ドイツ語のビールに関する文献には似たような発明が書かれていた可能性はありますが、審査官は古いドイツの文献までは調査しないでしょう。

これは、大学教授が審査官と面接して議論をすれば、ほとんどの場合大学教授が議論では勝ち、特許査定になるのに似ています。なぜなら、大学教授は審査官の知らない理論まで熟知しているからいくらでも反論可能だからです。

しかし、このような形で特許になった場合、もっと詳しい専門家が出てくれば、無効にされる場合もあり得ます。例えば、量子力学の専門家ではない審査官が、おかしいと思っても、大学教授クラスの専門家が理論的に合理的な説明をすればおそらく審査官は納得して特許にするでしょう。

しかし、無効審判や侵害訴訟で量子力学の別の専門家が出てきて議論すれば、無効と認定される(無効の抗弁が認められる)場合もあり得ます。

そういう意味から言えば、無理して特許にしたとしても、合理的な防御機構があるわけですから、非常に難しい拒絶理由を克服して普通では特許にならないものを特許にしても決して非倫理的なことをしているわけでもないと思います。

難しい拒絶理由に反論して、特許化するとクライアント様は非常に喜んで下さるので私も嬉しいのですが、ふと、この行為は世の中全体のためになっているのだろうか?本当にこれを特許にしてよかったのだろうか?と迷いを感じたときがありました。

しかし、そのことにより発明者により強い保護を与え、それにより、さらによりよい発明をする動機づけになり、どんどんよい発明が生まれるならそれが社会を発展させるので世の中全体にとってもよいはずです。

さらに、上で書いた、不当な保護は無効審判や侵害訴訟における無効の抗弁で一定の歯止めがかけられていますから、社会にとっても問題にはなりません。

そう考えると、難しい拒絶理由に対応して特許化することに全く迷いがなくなりました。どんな出願もあらゆる知識、知恵を使ってギリギリでも特許にすることは社会全体にとってもよいこととわかったので、今後も徹底的に拒絶理由を精査して、最高の反論を書いて何とか特許にするように努めようと考えています。

審査官にとってはやりにくい弁理士と思われるかも知れませんが、審査官からおそれられる位論理の鋭い弁理士になるのも一流弁理士の条件と言えるかも知れません。