製薬企業のデータ保護期間と特許 TPP

新薬を開発した場合、データ保護期間というものがあります。

これは、新薬メーカーが出した臨床データを他社が使えない、つまり、そのデータを使って製造承認申請ができない期間、という意味です。

ジェネリック医薬品の場合は、ANDA (abbreviated new drug application)と言って新薬の臨床データがあるので物質としての同一性を示すデータを提出すれば、承認されます。

しかしながら、新薬の場合は、膨大な臨床試験のデータを出す必要があり、それには多額の費用がかかります。

それを使って製造承認した薬があったとして、そのデータを他社が使って製造承認を出されると新薬メーカーは独占の利益を得られません。そこで、臨床試験のデータ保護期間というものを設定してその間は他のメーカーはこのデータを使用できないようにしています。

このデータ保護期間は国によって違い、6年~10年位が多いです。だんだん長くなる傾向にあるようです。このデータ保護期間は特許がなくても独占できますから、これが長くなれば、特許がなくても特許と同じ位長い期間保護できる場合もありえます。

それが今交渉されているTPPでアメリカは12年を主張しているようです。

最近は少し早くなっていますが、臨床試験のデータが出て、承認されるまでに、10年~15年位かかっていました。

特許期間が20年+存続期間の延長5年で最長で25年間ですから、特許出願から13年後に製造承認がおりた場合、特許がなくても、特許を取得したのと同じ位長く独占できます。

米国がTPPでデータ保護期間を長くしたがっているのに対し、発展途上国は逆に短くして、安価な後発医薬品が早く出るようにしたいと考えています。

このあたり、利益を多くしたい開発者と、できるだけ安価に開発品を入手したい消費者の利益は真っ向から対立しています。

最近の米国の特許適格性の変更を見ても、開発者に不利な変更です。市民団体が公平の観点から権利を主張するのはよいですが、ベンチャー企業をリスクにさらすような改正は短期的にはメリットがあるように見えても、長期的には研究開発の意欲をそぎ、新薬開発のインセンティブが下がるのではないでしょうか?

そういう意味で、米国の天然物(遺伝子、タンパク質など)に特許適格性を認めない運用変更は行き過ぎのような気がします。